ポルノは唯一の「金のなる木」か?
しかし、EZTakesのFlynnによると、ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスや既存のダウンロードサービスは必ずしも消費者にとって利用しやすいとは言えないという。消費者は、特別なセットトップボックスを入手するか、PC上で映画を見るか、さもなければ「コンピュータエンジニアリングの学位を保有」する必要があると同氏は述べる。その点EZTakesのサービスでは、消費者はダウンロードした映画を自分のディスクに保存でき、映画製作会社側も包装/在庫関連のコストを削減できる。
Flynn の推計によると、EZTakesのシステムの利用に必要な、記録型DVDドライブと高速ネットワーク接続環境が揃っている米国内の世帯数はおよそ2000万世帯に上るという。
しかし、新しいビデオサービスを提供するには、インターネットとテレビ受像機との接続の他にもう1つ越えるべき壁が存在する。資金繰りに苦慮している起業家らの話によると、その壁とは、利益を出すのに十分な量の良質のコンテンツを入手しなければならない点だという。その結果、多くの起業家は主流のコンテンツ製作者がライセンス条件を緩和するのを待つ一方で、成人向け娯楽への依存を強いられている。
新興企業のObjectCubeは3年前にインターネットVOD技術を開発した。すでにいくつかの映画製作会社や配給会社が同社のソフトを通じて映画の販売/配給を行っているが、その中に主流の企業は含まれていない。
映画の配給会社はObjectCubeのソフトを利用することにより、映画を1本丸ごと販売することもできるし、1分毎に課金することもできる。「アダルト映画の視聴者は話の筋を気にしないので、(1分毎に課金する料金体系の方が)うまくいく」という。
同社は決してアダルト市場をターゲットにしようと考えていたわけではない。Janarthananは2002年に同社を設立し、数回に渡り大手映画製作会社と必死に交渉を行ってきた。
しかし、「(交渉を)散々引き延ばされた挙げ句に、業を煮やしてあきらめた」とJanarthananは語る。
Janarthananは1年もたたないうちに蓄えを全て使い果たし、気付いたらConsumer Electronics Showとほぼ同時期に開催されたアダルト分野の技術会議に出席するためラスベガスに向かっていた。アダルト系のエンターテインメント企業各社は、即座に彼のアイデアにしがみついた。
同システムがアダルト系映画製作会社に人気があるのは、同システムを利用することにより消費者は家にいながらコンテンツを購入できるためだ。しかし、特定市場におけるObjectCubeの成功については、他にもあまり知られていない理由が存在する。主流の映画製作会社は、同社に対しDVD売上の大半の分配を要求するが、アダルト系映画製作会社は売上のおよそ1割しか要求しないため、残りの全て(多額の利益)が映画配給会社や放送会社の懐に入る。
各アダルトサイトは過去1年以上に渡り同ソフトを利用してきた。Janarthananは、向こう3年以内に主流の映画製作会社が映画の販売用としてこの種の技術を導入する可能性は少ないと見ている。
インターネットVOD業界の起業家らは、自身の持つ創造性や楽観的な物の考え方に助けられながら、困難に立ち向かっている。そして、なかには、投資家からの資金調達に成功する人もいる。
消費者にとって、DVDを入手する方法はすでにたくさん存在する。だがPeerflixは、市場の推移を見ていれば、DVD市場のビジネスモデルには改善の余地があることが分かると述べる。今週初め、ベンチャーキャピタルの3i と BV Capitalは、Peerflixに投資する意向を明らかにした。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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