Real ID Actはまもなく上院に送られるが、同法案が上院でも可決されるかどうかは不透明だ。上院の規則の下では、下院に比べて法案を容易に廃案にできるためだ。司法委員会の民主党最有力メンバーであるPatrick Leahy上院議員のある側近によると、同議員は同法案の一部について懸念を抱いているという。
テロに関する小委員会の民主党最高幹部であるDianne Feinstein上院議員(カリフォルニア州選出)はCNET News.comに送った電子メールの中で、「同法案の要旨については、基本的に支持する」と述べ、さらに次のように続けた。「連邦政府は、全ての運転免許証やID文書が準拠すべき標準を定める権限を持って然るべきだ」
無論、ナショナルIDカード自体は何ら真新しいアイデアではない。欧州、アジア、南米では、多くの国々が国民にそのような文書の常時携帯を義務付けており、不携帯時に捕まった場合は法的罰則が科される。
Patriot Act(愛国者法)成立のきっかけとなった同時多発テロの後の激動の時期でさえ、米国でナショナルIDが採用されなかった理由は、多くの米国民がナショナルIDに対し、政治的、文化的、さらには宗教的懸念を抱いていたためである。
一般に保守派や自由主義者の人々は、ナショナルIDカードの導入により政府の権力が強化されるのではないかとの懸念を抱いている。また、人権擁護団体は、行政の情報管理能力や、個人情報盗難の損害を被る可能性について懸念する傾向にある。
ナショナルIDカードに対するこれらの懸念はかなり以前から存在したが、最近、RFIDなどの技術が登場し、高度な追跡が可能になったことにより、懸念はさらに高まっている。もっとも、それらの技術によりID文書の安全性が強化され得るというプラス面もある。Real ID Actには、RFIDとバイオメトリック技術のどちらを採用するかについて明確な記述はないが、同法案は、DHSに対し「コンピュータで読み取り可能な技術」の採用を義務付ける一方で、採用方法について広範な裁量権を与えている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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