Wal-Martの顧客層
しかし、対象にする顧客や、低価格品販売業者との評判から、家電製品の売上拡大へ向けたWal-Martの取り組みには限界があるかもしれない。
たとえば、電子機器専門の小売りチェーンであるBest Buyと比較すると、Wal-Martの顧客の方が購買力で劣る傾向があるとのデータも出されている。
The NPD Groupのまとめたデータによると、Wal-Martで家電製品を購入する顧客層は、年間世帯収入4万4999ドル未満が52.5%を占めるのに対し、Best Buyはその割合が29.2%に過ぎないという。Best Buyは、年間世帯収入4万5000〜9万9999ドルという顧客層が44.4%という大半を占めるのに対し、Wal-Martではその割合が37%になる。Wal-Martの顧客で10万ドルの世帯収入がある層はわずか8.9%だが、Best Buyの顧客では25.2%にもなる。
統計データはともかく、プラズマテレビの購入を検討する消費者がWal-Martを連想するようになるまでには、まだ時間がかかるだろう。しかし、新市場への参入に取り組む同社にもいくつかの強みがある。その1つが豊富な品揃えだ。同社の店舗には、衣料品、食料品、玩具、そして医薬関連品まで求めて買い物客が集まってくる。
「Wal-Martは食料品や衣料品だけでなく、そこに行けばすべてがそろう場所」になりたいと考えているとBakerは語っている。
Wal-Martの低価格戦略が特売ファンの注目を集めていることを示す証拠もある。VideoHelp.comというファンサイトでは、iLoレコーダーの情報交換が始まり、iLo DVDレコーダーのスレッドが十数ページにもふくれあがっている。
「飛び抜けた魅力はないが価格が手ごろだ。基本機能はそろっている。それ以上望むなら予算を上げればいい」(「EvilWizardGlick」の書き込み)
価格は魅力的かもしれないが、Wal-MartはiLoで大きな危険を冒しているわけではない。同社はこのブランドを5月に立ち上げたが、正式な発表は1度も行っていない。Walmart.comサイトでは42インチのプラズマテレビを除く全製品を販売しているが、同社は全店舗でiLoの在庫を抱えているわけではない。
つまり、デジタル家電用に余剰スペースのある店舗や、競合店舗が少ない場所など、同社はiLo製品を販売できると考える場所でだけその販売を行っている、とBakersは理論づける。
この分野での競争は今後いっそう激しくなるだろう。だが、Wal-Martには時流という味方が付いている。ハードディスク搭載型DVDレコーダーのような現在のハイエンド機器の価格が下がるなかで、同社は米国で最も多く音楽CDや映画タイトルを販売するようになっている。
「音楽や映画の売上トップが再生用機器の販売でもトップに立つのはさほど困難ではない」(Baker)
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