情報処理大手の日立情報システムズの業績が順調な推移をみせている。自治体向けのシステム構築が予想以上に好調なのに加え、民間向けでもウェブ関連のネットワーク構築やセキュリティなどの分野からの受注が拡大する可能性が高まっている。日立情報の株価は6月上旬以降ほぼ3100円台を中心とした今年の年初来安値圏での推移を続けているが、株価反発の気配を見せはじめているというのだ。
コスモ証券は6月24日付で日立情報についてレポートを発表し、「第1四半期の売上・受注は概ね計画通り。自治体、ネットワーク構築が好調」として投資判断で「B+」(5段階のうち上から2番目で、今後半年以内に株価パフォーマンスがTOPIXを5〜15%程度上回ると予想)を継続した。このレポートのなかでは「足元の株価で試算した今3月期予想PER約23倍は情報サービスセクターの平均的な予想PER約28倍や、同社株価の過去3年間の平均的な予想PER27倍などから考えて若干の割安感があると考えている」などとし、今後の収益成長期待なども合わせて考え、今期予想PER27倍にあたる3700円(6月25日の終値3170円)を今後6カ月間の目標株価に設定している。
業績が順調な推移となっているのは、まず、地方自治体向けのシステムインテグレーションが好調なことが挙げられる。2006年3月末の合併特例法の期限(合併を行う自治体に財政援助が行われる)が迫っていることもあり、住民情報システムの合併需要が拡大している。また、民間分野では、都心を中心としたオフィスビルの建設ラッシュが進んだことで、顧客企業の移転などに伴って、コスト削減に役立つことから無線LANやIP電話構築の受注が好調な推移をみせている。
さらに同社は、同じ日立系の日立ネットビジネスとの経営統合によってアウトソーシング事業の効率化が一段と進む見通しだ。また、日立がグループを挙げて力を入れている、ICタグを利用した業務システム構築支援サービスを開始していることでも注目を集めている。
会社側では、今3月期の連結業績について、売上高1800億円(前期比13.4%増)、営業利益100億円(同9.4%増)、経常利益103億円(同9.6%増)、純利益58億円(同10.1%増)、1株あたり純利益134.19円と見込んでいる。
こうして、今期の連結業績について、ほぼ2ケタの増益を予想しているにもかかわらず株価は低迷を続けており、依然として低水準にある。同社の株価は2月25日に年初来の安値2925円をつけてから上昇トレンドとなり、いったんは3月29日に3840円の年初来高値をつけた。ところが、それ以降ほぼ一貫して下降トレンドを強いられている。しかし、現在の株価水準は3100円台と年初来安値に近いレベルにあり、ここからは反転上昇に向かう可能性が高まっている。7月下旬の第1四半期の決算発表に向けて注目場面を迎えることになりそうだ。
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