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サーチエンジン市場激変、専門家はこう見る

構成/文:野田幾子
編集:山岸広太郎(CNET Japan編集部)
2004年06月21日 10時00分
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Yahoo! JAPANが突如として発表した検索エンジンへの切り換え、そして検索広告でのオーバーチュア全面採用──。Googleとの決別が与えるSEO(サーチエンジン最適化)/SEM(サーチエンジンマーケティング)への影響とは。検索エンジン業界で活躍するSEO/SEMサービス会社の各氏にお集まりいただき、YahooやGoogleの広告戦略、各検索エンジンの今後の動向などについて語ってもらった。

滝日伴則 Tomonori Takihi
アイオイクス 代表取締役
2002年2月、SEOのコンサルティングを行うミクスド(現アイオイクス)を設立。代表取締役に就任。南カリフォルニア大学映画学部卒。
高山雅行 Masayuki Takayama
アイレップ 代表取締役
リクルート人材センター(現リクルートエイブリック)を経て、1997年インターネット広告代理店のアスパイア(現アイレップ)を設立し代表取締役に就任。神戸大学経済学部卒。
大内範行 Noriyuki Ouchi
ECジャパン 代表取締役会長
日本IBM、マイクロソフトを経て2000年6月にイージャパン(現ECジャパン)設立。大手ポータルサイトのプロデュースやSEOなどを手がける。北海道大学経済学部卒。
ジェフ・ルート Jeff Root
ECジャパン サーチマーケティング バイスプレジデント
シカゴ出身、ニュージーランド在住。北米や中央アメリカのコスタリカなどでSEOに携わる。日本には10年前から何度も行き来する。
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Yahoo! JAPANのYST採用による、SEOへの影響は

--5月末より、Yahoo! JAPANも米国に引き続き自社サーチエンジン「Yahoo! Search Technology」(YST)を導入しましたね。これまでGoogleに焦点を当てていたSEOサービス企業には少なからず影響があるのではないかと思うのですが。

ルート: SEOやウェブマーケティングをする者にとって、こういう状況はいつものこと。Yahoo! JAPANも以前、gooからGoogleへとスイッチしたでしょう。サーチエンジンの世界は、新しいエンジンが生まれたり、いいエンジンがなくなったりの繰り返しでしたし。

 ウェブマスターの立場から言えば、ひとつの検索エンジンが強い状態はちょっと危ないです。検索エンジンが変わるとそれだけすべての作業に影響が出ますから。検索エンジンがたくさんあれば、もっと安全な状況になります。現在GoogleとYahooがある、それにMSNが台頭してくれば、理想的な状況になるでしょう。私たちからお客様に伝えたいのは、「とにかく、パニックにならないで」ということです。

大内: 主要サーチエンジンが増えればリスクが分散する、それは投資と同じです。ユーザーにも選択肢ができるのは健全な状態なので、長期的に見ればいい状態だと、ルートと話しています。

滝日: お客様からもたくさんの問い合わせがあり、大丈夫かと心配してくださる方も少なからずいましたね。しかし、実はサービスを提供する側にとってもいい状態なんです。長い間Googleの特徴に合わせてきましたが、それはつまりGoogleへの依存率が高いということ。もしGoogleがダメになれば、共倒れになってしまいますから。

 また検索エンジンが異なるといっても、根本的な部分は変わらないものなんです。ですから大切なのは、サイトの最適化。オプティマイゼーションを忠実にやれば、どんな検索エンジンでもある程度の効果が出るものです。Google対策とは言ってもリスクを分散させるためにいくつかの手法を駆使して多面的な展開を行っているので、Yahoo! JAPANがサーチエンジンをGoogleからYSTにする影響は、世間で言われているほどはないものなんですよ。

 もちろん、Googleに特化したオプティマイゼーションのためのサイトはYahoo! JAPANの検索結果で順位が落ちるでしょうけどね。一般的な企業/サイトを運営している人たちへの影響も、それほどないのではないでしょうか。個人的には、思ったよりも早くYSTへ切り換えたなと。また、思ったよりも性能がいいというのが第一印象です。

--検索広告を扱うアイレップとしてはどう見ますか。

高山: マーケット的にはリスティング広告の伸びがすごい中で、SEOのニーズが一段落したのかなと思っていたんです。今回、Yahoo! JAPANがGoogleからYSTへと切り換えたことで、根本は変わらないと言いながらも、YahooとGoogleの対策をどう万全にしていくかというニーズは間違いなく出てくるでしょう。ですから、SEOのニーズはグッと上がるだろうというイメージは持っています。

 もうひとつは、料金を支払うことでクローラーによる周期的な巡回とインデックスへの登録が保証される、ペイドインクルージョン(PFI)をYahoo! JAPANがやるかどうか。そのときYahooブランドなのかオーバーチュアブランドなのかということはありますが。それによって、一般的には「SEM=SEO+リスティング」と言われるSEMの位置づけに、PFIが加わる可能性がある。これらをどう最適化するか、というニーズも出てくるでしょう。PFIがでてくれば、市場がまた大きく変化する気がします。

アドセンスのネットワーク拡大に注力するGoogle

--Yahoo! JAPANが今度は、スポンサーサイトでオーバーチュアのスポンサードサーチを全面採用に踏み切りましたね。YST導入後、間髪を入れずに発表されたこの動き、みなさんはどう考えますか。

高山: 我々はGoogleのアドワーズもオーバーチュアのスポンサードサーチも両方扱っていますが、アドワーズに関して言えば 当然検索のボリュームが落ちます。Googleは現在アドセンスのネットワークを急速に拡大中なので、Yahoo! JAPANの日本におけるGoogleネットワークに占める比率は意外に低いのですが、やはりYahooに載る、載らないという話は、日本の広告主にとって相応のインパクトがあるのではと踏んでいます。オーバーチュアも検索ボリュームが増えますから、そういった意味では今後のSEMにおけるリスティングの予算をどう組んでいくかというところに影響が出るでしょうね。

滝日: Googleはこの数カ月かけていろんなサイトと提携し、アドセンスのネットワークをどんどん広げていますよね。クリックレートがどうしても低くなるというのもありますが。

大内: 私は、アドセンス的なものが広がっていくということに対して、一面では正しいと思います。メディア、情報サイトやブログに飛び、他人の意見を聞いて商品へアクセスするという流れは、これからもどんどん広がると思います。

滝日: Googleの戦略は、そういうフリーネットワークを通っていくこと。自分たちだけで集約型のものを作る以外にネットワークを全面に出すのは、そこでひとつ市場を作る意志があると思いますが。

高山: アドセンスがこれから伸びるかどうかのポイントは、関連性の低いコンテンツに広告を出した場合、クリック単価をディスカウントする「スマートプライス」がどれくらい機能するかにあります。検索結果に連動して出るのとアドセンスで出るのを比較をしたときにROIがほとんど差が出ない程度にスマートプライスが機能し始めるのなら、Googleのネットワーク拡大戦略は功を奏すと思うんです。

 ROI的に差が明確につくと、広告主は「アドセンスには出さない」という選択肢も選べてしまうので、Googleがせっかくネットワークを拡大しても広告主がつかないということになってしまう。もちろん、オーバーチュアのコンテンツマッチも同様です。

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