IBMは先週、Windowsサーバソフトウェアの最上位バージョンに課されていた厳しい要件を緩和した。これにより、場合によってはシステム全体の価格が30%も下がることになり、関心を示す顧客層が拡がる可能性がある。
Microsoftとサーバメーカー各社は、クラッシュの回数を最小限に抑えるべく、「Windows Server 2003 Datacenter Edition」に厳しい規制をかけていた。たとえば、ハードウェア、ソフトウェア、ストレージの選択肢は認定済みの数種類のコンフィギュレーションに限られ、顧客はサーバメーカーからサポートサービスを購入する必要もあった。
Windows Server 2003 Datacenter Editionは、重要なタスクを実行するハイエンドのマルチプロセッササーバ用に設計されている。クラッシュの回数の低減に必要な品質と互換性を入念にテストするため、Microsoftは同オペレーティングシステムと一緒に使える製品を一部の限られた認定ハードウェアとソフトウェアに限定していた。
さらにMicrosoftは、サポート契約を結び、IBMやUnisysのような認定サーバメーカーに事前にシステムを設定させることまで顧客に要求していた。
IBMは先週、これらの制限が緩和されつつあることを正式に認めた。変更の内容としては、顧客は今後サポート契約が不要になり、選択肢の限られるDatacenter認定のハードウェアだけでなくIBM認定のハードウェアがインストール可能となり、またIBMから出来合いのマシン購入する代わりに、顧客やコンピュータリセラーが自分でDatacenterサーバのインストールが可能になったことなどが挙げられる。
Microsoftは以前から、Unixシステムやメインフレームが独占してきたハイエンドサーバにWindowsを浸透させようとしてきた。Windowsには信頼性やセキュリティの問題があったが、Windowsが徐々に成熟し、Intelベースサーバの性能が向上したことで、その均衡にも変化が見える。
Datacenterの条件緩和はある問題の解決にもつながる。ハイエンドのEXA Intelサーバを担当するシニアブランドマネジャーのDonn Bullockは、Datacenterサーバを運用するだけの技術を持つ顧客には、広範に及ぶ丁寧なアフターケアはほとんど必要ない、と話している。これまでの規定では、顧客はWindowsのEnterprise Editionが利用できる8プロセッサシステムから、Datacenterが必要な16プロセッサ以上のシステムに移行することができなかった。
「スケーラビリティを上げるために、EnterpriseからDatacenterに乗り換えようとしても、これだけの価格差があってはなかなかできない。これらの顧客は、スケールアップはしたくても、Microsoftに追加サービスの購入を要求されたくはないと考えている」(Bullock)
しかしBullockは、サポートサービスさえなくなれば、「現在の新しいDatacenter製品は以前より30%近く安くなる」と話している。今回の措置により、Datacenterの価格はIBMのEnterprise Editionに近づく。これはローエンド製品で、8プロセッサ搭載サーバに限定されている。
2002年には、Datacenterの価格が思い切り高く設定されていた。NECによると、Microsoftはサーバメーカー各社にDatacenterを1本2万4000ドルで販売していたという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」