論争の火に油を注ぐMicrosoftの存在
Alexis de Tocqueville Institutionが今週はじめに、まもなくこのレポートを公開すると発表した際、これは「自分がLinuxの発明者であるとするLinus Torvaldsの主張に真っ向から挑む」ものだと述べていた。これに対し、オープンソース陣営は即刻非難を浴びせ、このレポートはMicrosoftが密かに同シンクタンクに書かせたものだと示唆した。
実際のところ、Microsoftは過去5年間、同シンクタンクに資金を提供してきていると、Microsoftのある関係者は語っているが、どれほどの金額が支払われているかは明らかにしなかった。同関係者の話によると、Microsoftは、American Enterprise Institute、Center for Strategic and International Studies、Heritage Foundation、Cato Instituteをはじめとする複数のシンクタンクに資金を提供しているという。
レポートの著者であるBrownは、勤め先への資金提供者に関して、複数の資金源があると述べただけで、具体的な説明は差し控えた。また同氏は、資金提供者とは関係なく、調査を行っているとした。「自分の考えを公にする。ただ、それだけだ。だれかを宣伝するために、その片棒を担いでいるわけではない」
TorvaldsがLinuxの「発明者」にはあたらない、という点に関しては、BrownとTorvalds自身の考えが一致している。
「Linuxに関して自分が果たした役割を説明するのに、『発明者』というのは必ずしも適切な言葉ではないと思う」(Torvalds)
このレポートでは、Torvaldsが実際にUnixのソースコードを目にしたかどうかについても、疑問を提起している。このソースコードについては、豪ニューサウスウェールズ大学教授のJohn Lionsが授業で使うために自分の注釈を付けたものが公開されていた。この注釈付きのコードは違法であるにも関わらず広く出回っていたことから、「LinusもまたLionsの注釈版を持っていたと、多くの人間が考えている」と同レポートには記されている。
これに対し、「そんなことはない」とTorvaldsは述べ、「Lions bookというものがあるとは聞いていたが、実物を目にしたことはなかった。もちろんUnixのソースコードもだ」と付け加えた。
Brownと彼の同僚は、20数名の人間と面談を行い、その結果をこのレポートにまとめている。「Torvaldsにもコメントを求めたが、彼は返事を寄越さなかった」という。一方、Torvaldsは、同シンクタンクからそのような電子メールは送られてきていないと述べている。
BrownがLinuxをめぐるこの問題を取り上げた背景には、オープンソースソフトが出回ることで、米国が生み出した技術が他の国々に簡単に利用されるようになってしまうのではないか、という彼自身の懸念がある。「知的財産が簡単に盗めてしまうとしたら、それを核にした経済など実現するわけがないではないか」(Brown)
この論争が政治問題やビジネス上の問題に発展すれば、Brownが今後数カ月のうちに出版を予定している、この調査を基に執筆した書籍に、ますます多くの注目が集まることになりそうだ。
IlluminataのアナリストDordon Haffは、この調査レポートについて、時として議論を呼びそうな部分も見られるものの、結局はそれほど目新しい主張でもないと述べた。「オープンソースの役割について再考させられるような驚くべき事柄は何も語られていない」(Haff)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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