1980年代後半になると、携帯型カセットテーププレイヤーの売れ行きに翳りが見え始め、ソニーはそれに替わる録音可能な媒体を模索し始める。通常のCDが急速に普及していたが、ソニーは、聞きたい曲の一発頭出しができて録音も可能な媒体が消費者を引きつけると信じていた。 そこで同社は1992年に、ミニディスク(MD)とその記録形式ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)を登場させた。
しかし、1990年代は、MDではなく、コンピュータとネットワークオーディオの10年となってしまった。 消費者は、どんどん溜まっていく自分のCDをいちいちMDする理由を見出せなかった。 1990年代後半になるとMP3の人気が爆発して、広く一般にも認知されるようになり、MP3プレイヤーが話題を集めるデバイスとなった。
ソニーはここでもつまずいた。開発リソースの大部分をミニディスクに投入していたこともあり、同社は引き続きミニディスク路線を推し進めた。 系列のレコード会社が、またたく間にMP3カルチャーの一部となってしまった無許可のコピーやインターネットを介した音楽ファイルの交換を懸念していたことも、同社がMP3形式を全面的に受け入れるのを阻害する一因となり、他社にその点をうまく利用されてしまった、とアナリストらは分析している。
ソニーは、コピープロテクトが可能な独自のATRAC形式を推し進めることで、MP3形式に対抗しようとした。同社のMusic Clipデジタルプレイヤーには高度な不正コピー防止機能があったが、ユーザーは聴きたい音楽を同製品やPCにチェックインおよびチェックアウトしなければならなかった。このため同製品は、ウォークマンのような大ヒットとはほど遠い結果に終わった。
そうした状況の中で、AppleのiPodが登場した。取り外し可能なディスクの代わりに大容量のハードディスクを備え、iTunes音楽ダウンロードサービス用の独自形式を採用したAppleは、ソニーばりのやり方でビジネスを展開し、今のところ成功を収めている。
ソニーがConnectを立ち上げた目的の1つは、失った勢いを取り戻すことだ。 AppleのiTunes Music StoreではiPodしか対応しない点を意識して、ソニーはConnect互換のさまざまな音楽プレイヤーが発売されていると強調している。
「消費者はソニーだけが提供できる柔軟性から利益を得られるだろう。市場に存在するほとんどの携帯音楽プレイヤーの中から、自分のライフスタイルに合った価格の製品を選択できるからだ」とSony ConnectのジェネラルマネージャJay Samitは述べている。
Connectと互換性がある音楽プレイヤーは、既に250万台以上も出回っており、価格も60ドル〜400ドルと幅広い。ソニーは、こうした製品の数が今年中には合わせて700万台に達するとみている。
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