専門メーカーの顔ぶれ
エンタープライズDRM市場には、大企業のほかに、専門メーカーも数社参入している。こうしたメーカーの製品は、メールメッセージからAutoCADの設計図ファイルまで、たいていの文書フォーマットを扱える。
各社の製品には、ユーザーがインターネットに接続できない場合の処理のやり方などで、違いがみられる。MicrosoftのRMSでは、最低でもアクセスを処理するサーバに最初のチェックインを行う必要があるが、Liquid Machineのサーバソフトでは、文書作成者がオフラインのパーミッションを設定できるようになっている。
「セキュリティレベルをあげたいが、モバイル環境で仕事がやりにくくなるのは嫌だと考えている人々は多い」とLiquid Machine(本社:マサチューセッツ州レキシントン)の製品戦略・マーケティング担当バイスプレジデント、Ed Gaudetは述べている。
作者のデスクトップから離れた文書にどんな処理が行えるかに関しても、競合する製品ごとにそれぞれ違いがある。なかでも、最も細かく制御できるのはAuthentica(本社:マサチューセッツ州ウォルサム)の製品で、他人が文書を使用中でも、作者がそのパーミッションを変更できるようになっている。
「われわれは、非常に細かいコントロールをできるようにしている。自分のPCから、誰かが文書を入手して処理している様子が把握できる。そして、その人物のやっていることが気に入らなければ、その場でパーミッションの設定を変更できる」とAuthenticaのCEO、John Bruceは説明している。
また、IT管理者が基本レベルのセキュリティを保障するため、全ての文書に適用するポリシー設定の方法にも、各製品で違いが見られる。従業員の仕事がDRMに邪魔されないためにもポリシー設定は重要だとSealed Media(本社:カリフォルニア州ロスガトス)のCEO、George Everhartは述べている。また従業員がアクセス権を細かくコントロールできるようにする必要もある。重要なのは、各々のビジネスにとって最適なバランスを見つけることだ。
「ボタンをひと押しするだけで全てが保護されるような魔法の技術は存在しない、というのがわれわれの基本前提だ」とEverhart。「優れたセキュリティプロセスにはみな、人間が関わっている。プロセスは使いやすく、完全にセキュアでなければならない。あまりに目障りなシステムだと、従業員はそれを使わずに済む方法を見つけてしまう。また、逆に仕組みが簡単すぎると、悪い連中がそれを迂回する方法を見つけてしまうだろう」(Everhart)
Everhartなどの専門メーカー幹部は、MicrosoftやAdobeなどの大手メーカーによる市場参入を心配してはおらず、むしろ特定の文書タイプや認証アプリケーションに縛られたくない潜在顧客に、自らの存在をアピールするチャンスだと捉えている。
「(大手が参入したことで)われわれの正しさが証明されたようだ」とAuthenticaのBruce。「人にDRMの話をすると、『それで儲けられるのか』と訊かれる時期が長く続いた。ところが、いまや大手メーカー2社がわれわれの側に立ち、『これは重要だ』と言ってくれる。世界がわれわれの方に向かっているのはいいことだ」(Bruse)
AdobeやMicrosoftの関心は業界にとってもありがたいと、Sealed Mediaのマーケティング担当バイスプレジデント、Mark Pattonも同意する。コンテンツ管理ソフトウェアメーカー--たとえば同業界トップでSealed MediaのパートナーでもあるDocumentumなどのサポートも、エンタープライズDRM業界にはプラスとなる。しかし顧客にとって最大の動機となるのは、Microsoftなどの企業の面目をつぶし、法的な難問をもたらした出来事かもしれない。
「CEOが文書流出で1度ひどい目に遭えば、その企業のDRM技術への関心が大いに高まる」とPattonは述べている。
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