---わかりました。では、人々の興味を引くためのイノベーションとして、Microsoftは何をしていますか。
Microsoftがアクセシビリティの分野で行っていること、つまり視覚障害者などがコンピュータを使えるようにするための取り組みを見れば、その影響力がわかります。我々は、もっと簡単で楽しく学習ができるようにするためのコンピュータにも力を注いでいます。グラフィック機能を、真面目な仕事のため、そして純粋な娯楽用のために改良しています。グラフィックに関しては、今まで以上に劇的なブレイクスルーが起きています。テキスト翻訳ができれば、英語の情報を世界中の誰もが読めるようになります。
学生には、音声認識がどのように活用される可能性があるかを伝えます。また、企業が自社データを理解するのを助けるデジタル化のアプローチを見せることもできます。機能のデモをするだけで、学生は本当に喜びます。
こういった技術と、より多くの人を惹きつけるものの間には断絶があります。ソフトウェアの検証や新しいセキュリティアルゴリズム、新しいコンパイラアルゴリズムなどには発明が必要です。こういった本当に難しいプラットフォームの仕事を希望している人々にとっては、決定的に重要な、深い問題がたくさんあります。チャンスはあります。人がそれを結び付けるのです。人々は影響力を持ちたいのです。ウォール街には、「我々が世界を変え、より良い場所にする。あなたは障害者を助けることができる」と言えるようなデモを持ってこいと言いたい。法律事務所などには(これらの企業は素晴らしい企業もあるので、誤解しないでください)、世界を良くしろと言いたい。現時点でこういったことを実行するためには、コンピュータ科学を組み合わせて、生物学など多くの分野に適用する必要があります。
---現在我々が使っているコンピュータ言語は今後5年間も同じですか。それとも、何らかの進展があるのでしょうか。
我々が今日使っている言語は、十分に満足いくものではありません。入力システムは不十分です。XMLとはもっと直接的に連携する必要があります。メッセージパッシングも不十分です。学問の世界では、これらのひとつひとつを解決する方法が提案されています。ただし、JavaやC言語、Visual Basic、またCOBOL (Common Business Oriented Language) がなくなるとは言いません。これらは重要な言語であり続けるでしょう。
---COBOLも活躍し続けると。
ええ、絶対に。人々がCOBOLで書かれたアプリケーションを使っているからです。しかし、WebサービスやXMLなどに対応する言語がたくさんあるでしょう。ひょっとすると、セキュリティが最も強いかもしれません。いずれにせよ、XMLのためのデータモデルは、今の言語との相性が良くありません。現在、Microsoftや他の企業は既存の言語を拡張する予定です。新しい言語も出てきます。しかし、これらの環境を考えるときに重要なのは、ある特定の言語を中心とするのではなく、研究機関や産業界が言語の拡張を十分に行いつつも、既存のコードやツールを使えるようにすることです。
---産業界がLonghornや新しいバージョンのOfficeを目にするのは数年先のことです。Microsoftはそれまでの間、どう売上を伸ばし、企業ユーザーを呼び戻し続けるのですか。
課題は、顧客の望みどおりのことを実行することです。そしてご存知の通り、顧客の希望はITコストの削減とセキュリティや信頼性の向上に集中しています。これから半年の間に、我々はWindows XP SP2を発表します。そして来年をめどにWhidbeyを発表します。これは、Webサービスを進化させ、アプリケーションの所有権を大きく改善させるものです。
我々はソースコードの分析とトラッキングツールに関して実施したことのすべてを、実際にVisual Studioに組み込みました。これによって、開発者が同じものを得られるようにしたのです。Visual Studioに関するWhidbeyの大量リリースでは、我々自身が非常に要求度の高い大規模プロセスのために発明しなければならなかったものを取り上げました。そしてこれを小規模のプロジェクトで、同等の必要性があるもののために提供しています。SQL Serverも発表します。OneNoteやInfoPathのアップデートも行います。新しいサーバリリースも行う予定です。これはLonghornの前に出される可能性が高いです。
たくさんのアップデートが行われますが、それぞれが重要顧客の抱える課題と結びついています。我々はOffice 2003の採用を促すと共に、Office 2003用のテンプレートを増やす計画です。XP、特にSP2の採用も進めていきます。
---IT支出が近年横ばいとなっていますが、Microsoftのビジネスにおいて個人ユーザーの重要性は増しましたか。
いいえ。我々の売上の大半は、常に企業ユーザーからのものです。その中でも特に大手企業で、システムを管理しやすいものにしたいという要望の高い顧客が中心となります。個人ユーザーが自宅に複数のマシンを持つようになったとき(現状ではそうではありませんが)、顧客が求めるのは管理ゼロの状態です。ですから、企業ユーザーのニーズに応えるために実行していること、つまり管理コストをとにかく下げるという努力は、最終的には個人ユーザーのニーズに応えるものとなります。
多数のサーバと多数のアプリケーションを持つことは、今日では難しい目標です。しかし、我々の主要顧客が求めるものは、すべての顧客にとって重要な何かへと我々を後押ししてくれます。大手の顧客にはIT部門があり、これらのIT部門は個々の部品をどう組み合わせたいかということを明確に表現してくれるからです。ただし、セキュリティと管理の問題は彼らだけのものではありません。
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