オラクル、Oracle 10gを正式出荷--価格引き下げでMSに真っ向勝負

Martin LaMonica(CNET News.com)2004年02月04日 20時20分

 Oracleは米国時間3日、Oracle 10gデータベースの出荷を正式に発表し、合わせて中規模企業ユーザーの拡大を狙った価格引き下げを行った。

 CNET News.comが以前伝えたように、OracleはすでにOracle 10gデータベースのUnix版およびLinux版をリリースしている。また、MicrosoftのSQL Server 2000データベースに価格面で対抗するため、エントリーレベルのバージョンの価格を1プロセッサあたりおよそ5000ドルに引き下げている。同社幹部によれば、Oracle 10gのWindows対応バージョンは、「数週間以内」の出荷を予定しているという。

 Oracleは、Real Application Clusters(RAC)機能のエントリープライスも、1プロセッサあたり1万5000ドルに引き下げたが、この金額は「Oracle Standard Edition」と呼ばれる同社のミッドレンジのデータベース製品の価格に相当する。同社によれば、多数のサーバをお互いに結合し、アプリケーションを実行するために使われるクラスタリングソフトウェアは、これまでハイエンド製品の「Oracle Database Enterprise Edition」の2万ドルもするオプションしかなかったという。

 Oracleは、自社の主力製品の重要なアップグレード版となるOracle 10gで、いくつかのハードウェアサーバを互いに結合することで、より良いパフォーマンスと信頼性を可能にする「グリッド」機能を導入している。RACサーバのクラスタリングソフトウェアは、Oracle 10gの「グリッド」機能の基盤となっている。

 今回、価格を引き下げ、、またデータベース管理の簡素化を狙った機能強化を行ったことで、Oracleは中規模企業市場でシェアを拡大していく構えだ。同社は、今後の成長において、この市場を重要分野と位置づけている。

 「我々は、多角的なアプローチで、これまであまり食い込んでいなかったローエンド市場でのビジネス拡大を図る」と、OracleのJacqueline Woods(価格/ライセンシング部門バイスプレジデント)は述べた。

 Oracleは昨年の10月に、1基のプロセッサを搭載したサーバの場合、1プロセッサあたり5995ドルで販売される「Standard Edition One」という新製品を発表した。Oracle 10gの発表に伴う今回の価格変更で、同社のデータベースの最低価格は、2基までのプロセッサを搭載したサーバの場合、1プロセッサあたり4995ドルになる。

 また、IBMも同月、DB2 Expressデータベースを、2基までのプロセッサを搭載したサーバの場合、1プロセッサあたり4000ドルで提供するというオプションを追加した。OracleやIBM、Microsoftは企業のデータベースソフトウェア市場を支配しており、企業がデータベースへ投資する費用の大半がこれらの企業の売上となっている。

 IBMとOracleによるライセンシング条件の変更は、MicrosoftのSQL Serverデータベースや、中規模企業や大企業の各部門で構成される同社のユーザーベースを狙った直接的な猛攻撃といえる。また、Microsoftのデータベース販売は、SQLサーバをベースにアプリケーションパッケージを構築する、VAR(付加価値再販業者)やシステムインテグレータのようなパートナー企業にも大きく依存している。

 従来、直販部隊を通してデータベースを販売してきたOracleは、パートナー企業との関係を改善する取組みを強化していくと述べた。同社は独立系のソフトウェアプロバイダや他のパートナー企業をリクルートし、中規模企業向けに販売されるアプリケーションにOracleのデータベースを組み込むようインセンティブを提供していると、同社のRobert Shimp(テクノロジーマーケティング部門のバイスプレジデント)は述べている。

 Oracle 10gで追加された技術的な改善によって、Oracleのデータベースはパートナー企業や中規模企業にとってさらに魅力的なものになっていると、Shimpはコメントした。同氏は、とりわけデータベースの管理や設定、保守が簡単になったことが、強力だが複雑というOracle製品の評判を一変させることに役立つだろうと語った。

 「使いやすさと管理のしやすさで、市場に出回っているどんなデータベース製品とも勝負できる」(Shimp)。

 Oracle 10gでは、「構成管理パック」という、データベースシステムを設定するための一連のツールが導入されている。この新しいパッケージは、診断、調整、変更管理のための、同社の3つの既存の企業管理パックを補完するものになる。なお、これらの製品の価格はいずれも3000ドルとなっている。

 Oracleのデータベースを基にしたカスタムアプリケーションを開発している、アイオワ州デモインのソフトウェア開発業者、Cisco Inc.にとって、データベース管理が簡単になったことは、重要な改善点だ。「我が社のエンジニアたちは、これまでOracleのクラスタリング機能を学ぶのに四苦八苦していた」と、同社最高経営責任者(CEO)のMike McDermottは述べている。

 「10gは、構成と設定に関して、負担を取り除くことで、クラスタリングをずっと使いやすいものにしている」(McDermott)

 Oracleは、今回の価格引き下げで、Microsoftのエントリーレベルのデータベースに対抗しようとしているが、Microsoftではこれに対抗する予定はないという。

 「Oracleが価格をゼロまで下げたとしても、ユーザーはSQL ServerのTCOがOracle製品より安いことに気づくだろう。価格の引き下げ圧力は感じない・・・怯えているのは彼らのほうだ」と、MicrosoftのSQL Server製品管理ディレクターのThomas Rizzoは述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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