IT大手各社、小売業界でのRFIDやEPC利用に向けた動き

 新しい在庫追跡技術の導入を目指す小売業者各社と、その支援に参加するハイテク企業のおかげで、赤ん坊のお尻ふきからキャットフードに至る、さまざまな製品が数年後にはワイヤレス対応となるかもしれない。

 ハイテク企業の中核をなす米Intel、米Microsoft、米Sun Microsystemsの各社は、今週ニューヨークで開催されている全米小売業協会(National Retail Federation:NRF)の展示会の場を借りて、小売業界向けの在庫管理に関する新たな進展を発表した。

 Intelは、Electronic Product Code Retail User's Group of Europeというフォーラムの設立に向け、仏Carrefour Group、独Metro Group、英Tescoなどで構成されるコンソーシアムと協力を進めている。米国時間12日に立ち上げられた同フォーラムは、配送センター、倉庫、店舗の売り場などでの在庫管理で、他の技術より優れていると考えられるRFIDタグや電子製品コード(Electronic Product Code:EPC)などの技術の導入促進を目指している。

 一部の企業では、これら2つの技術を併用する可能性が高い。RFIDタグを使うと、その内容に関する情報が納められた電子タグを使って、配送業者がパレットなどをマーキングできるようになる。このデータは、各種デバイスを利用してワイヤレス回線で読み取ることができる。一方のEPCは、バーコードをチップで代用するシステムを実現する。同団体によると、一部の小売業者は、これら2つの技術は併用しても、あるいは別々に導入しても在庫の追跡が容易になる、長期的には一般管理費の削減につながると考えているという。

 1万400店舗を展開するヨーロッパ最大の小売業者であるCarrefourと、TescoおよびMetro Groupは、3社を合わせるとヨーロッパの小売業界のシェアの大半を占めている。これらの企業はコストを削減できるかもしれないが、一方のハイテク企業も、在庫管理費削減に役立つ製品を小売業者に販売することで、それを上回るメリットを得られる可能性がある。たとえば、小売業者にならって垂直市場における自社の立場向上に務めてきたIntelは、RFIDタグ読み取り機などの製品向けチップの販売数を増やせるようになる。また、Sun MicrosystemsやMicrosoftなど他のベンダーも、新しい在庫追跡技術の導入に合わせて、コンピュータのハードウェア、ソフトウェア、およびサービスの販売量を増やせる可能性がある。

 EPC Retail Users Group of Europeでは、いくつかの技術やその導入と利用モデルについて解説した白書など、各種の資料を準備する予定で、この情報は小売業界にも公表するという。

 一方、他の企業も在庫管理技術に、これまでより直接的に関与しようとしているところだ。

 Sun Microsystemsは同日、自社のRFID用ソフトウェアを提携先の米Aldata Solutionsが開発した在庫追跡用ソフトと組み合わせ、企業の在庫管理用に販売すると発表した。同社はまた、テキサス州ダラスにRFID試験センターをまもなく開設することも明らかにした。この施設は1万7000平方フィートの広さを持つ倉庫になっており、同社が先にスコットランドに開設した施設と類たものになるという。

 またMicrosoftも同日、RFIDのような小売業界向けの技術を開発する独自のプロジェクトを立ち上げたと述べている。

 RFIDタグの利用は、米Wal-Martのような巨大小売りチェーンがこの技術を導入し始めることから、今後数年間に全世界で拡大すると見られている。昨年、Wal-Martは納入業者上位100社に対し、2005年1月1日から、同社向けに出荷する何百万個のもケースやコンテナに、RFIDタグを付けるよう要請を出している。

 米IBMは同日、2004年11月から開始予定の、独Metro Groupによる同様のプロジェクト、「FutureStore Initiative」を支援すると述べた。この開始時には、Metro Groupに商品を納める100社がRFIDタグを利用して、Metroの10カ所ある中央倉庫や250の店舗へ配送されるパレットや輸送用クレートの在処を見つけ出せるようにするという。

 こうした動きは、長い目で見ればコスト節減に役立つと言われているが、まったく代償がないというわけではない。市場調査会社の米IDCが先週明らかにした予想では、米国の小売業界が支払うRFIDへの支出は、2003年の9150万ドルから、2008年には13億ドルまで増加するという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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