単なるチップ供給企業からの脱却を図るインテル、パートナーシップを重要視

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 インテルは12月11日、インテルビジネス・コンピューティングアップデートミーティングを開催した。講演者には、セールス&マーケティング事業本部副社長兼ソリューション市場開発事業部ディレクターのデボラ・コンラッド氏が登壇した。

 コンラッド氏は冒頭、Nicholas Carr氏がHarvard Business Review誌に寄稿した「もはやITは重要ではない」とする論文を取り上げ、これ以上ITの成長が見込めないとする価値観と、この論文に反論する「IT革新がもたらす無限の可能性」という2つの価値観を紹介した。テクノロジーを通じた産業の近代化は、生産性の向上とコストの削減という2つ方向性を打ち出している。コンラッド氏は、「確かにITの予算は平坦化しているのは事実だが、それでも需要は増大している」とコメントする。

 「ITに対する予算が限られているのであれば、その”財布の内訳”をどのように扱うかがこれからの重要な課題になってくる」とコンラッド氏は語る。独自のRISC環境から、標準をベースにしたインテルの環境に移行することで全体のコストを削減し、その結果余った予算を生産性拡大の余地としてさらに開拓していくのがインテルの戦略だ。例えば、金融分野は特にITによるイノベーションに積極的に取り組んでいる分野であり、UFJ銀行ではインテルの技術とLinuxを組み合わせることで新しいメリットを享受することが可能になった。また、金融に関する新しい法制が敷かれる今日においては、ITを使ってそれら新システムにきちんと対応していく必要がある。

セールス&マーケティング事業本部副社長兼ソリューション市場開発事業部ディレクタ、デボラ・コンラッド氏

 インテルの戦略は、単なるチップ供給企業からの脱却を図ることにある。「例えば、オラクルなど他企業と連携し、パートナー企業の製品を市場に出やすくするための手助けを行うことも重要な戦略の1つだ」とコンラッド氏は語る。インテルでは、「技術革新」「パートナーシップ」「ソリューション」の3分野を重要なベースと見なしている。その上で、PCの買い替えなど法人用クライアント需要の活性化、ワイヤレスコンピューティングでのリーダーシップ、優れた価格対性能比を背景にした企業コンピューティングに注力している。

 例えば最近の調査では、企業における平均的なPCの寿命は4〜5年だという。コンラッド氏は、「調査によれば、企業の多くは未だに旧式の技術を使い続けており、その数は1億3500万台とも言われている。このことは、生産性の低下を招き、またセキュリティ面での危険性も高い。しかも新しいPCに買い換えた方がメンテナンスのコストを削減できるメリットもある。買い替え需要を喚起して、PCの寿命が2〜3年となるよう推進したい」と述べる。

 また、ワイヤレスコンピューティングをベースにしたモバイルコンピューティング分野にも重点を置いている。「Centrinoモバイルテクノロジーなどに代表されるワイヤレス技術は、IT成長の触媒となっている。ワイヤレスによって、小売業などの分野で新たな革新がいくつもなされている」とコンラッド氏は語る。例えば、製造業では技術者がタブレットPCを利用することで、紙媒体のマニュアルから解放された。また、医療分野でもワイヤレスコンピューティングが新たなコラボレーションツールとして活躍している。

 さらにコンラッド氏は「これまでになくパートナーシップが重視される」と語る。インテルのエンタープライズソリューション戦略では、「インテルの製品が必要だと思われるためにもパートナー企業が重要だ」という。現在、世界中で5万社以上がインテルのアーキテクチャを利用しているといい、これらのパートナー企業同士が同じ目的を掲げて生産性を向上させるためにアライアンスを組む必要があるという。

 インテルでは、各業種別に垂直方向で専門的知識を集めインテルテクノロジーと組み合わせている。インテルでは、資源エネルギー、通信、デジタルメディア、小売業、医療、ライフサイエンスなど対象に活動しており、日本では特に製造業、金融サービス、行政・公的機関・教育の3分野に重点的に取り組んでいる。

 また同社は、各業界における傾向、ビジネスチャンス、提案すべき価値などを把握する。さらに、信頼できるテクノロジーアドバイザーとしての地位を確立するために、上位1000社以上のCEO、CTOなど首脳陣と1対1の関係を持つようにし、「トラステッドアドバイザリ」として活動をしている。これらの企業の中には、日本企業も50社以上含まれている。

 インテルは、中立な立場からの技術助言を行うほか、IT化推進の助力も行う。さらに、インテル自身のIT化を自らショーケースとして提示することもあるという。こうしてソリューションの導入期から深くパートナー企業と関わりを持つことで、最初の採用者としてのメリットにより市場シェアを確保する。こうして得られたノウハウによって、他の企業に対してもベストプラクティスを提案することが可能となる。

インテル

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