NECシステム上場初値77%高---異常人気の意味は?

 NEC系ソフト開発会社のNECシステムテクノロジーが先週末の12日、東証1部市場に直接上場した。公開価格の4000円に対してなんと77%も上回る7100円(今3月期連結予想PER34.7倍)と、破格とも思える高人気での初値形成となった。この異常ともいえる超人気ぶりの背景を探った。

 7月24日に新規上場した同じNEC子会社の先輩格に相当するNECエレクトロニクスは、公開価格4200円に対して上場後の初値は27%高い5350円となり、その後わずか約1カ月後の9月1日には、上場初値に比べて50%も上昇して8100円の上場来高値をつける急上昇ぶりをみせている。したがって、NECシステムもかなりの高人気が予想されていた。しかし、今回の初値上昇率はそうした市場関係者の大方の予想をはるかに上回る結果となった。

 準大手証券のIPO担当アナリストは「東証1部への直接となる大型上場で、これだけの初値上昇率を経験したのは初めて。どう考えても、外国人や国内の機関投資家が公開初日に、公開価格に比べて77%の高値まで買い上がるということはあり得ない。この異常ともいえる人気の背景にあるのは、個人投資家の新規公開株に対する買い意欲のこれまでにない強さの証明といえそうだ」としている。12日は朝方から約400万株の買い注文が殺到、初値は7100円と公開価格を77%上回り、一時7270円まで買われ、終値は6860円となった。出来高は公開株数718万株に対して442万株と大きく膨らんだ。

 同社はNEC系のソフト開発会社で、先端の基盤ソフトウェアの開発力に定評があるのが特徴。もともと本社を大阪に構え、西日本での売上比率が60%以上となっている。最近では首都圏へも積極的に攻勢をかけており、昨年4月からは東西2本社制を導入している。NECグループのなかではNECソフトと同様に、ITソリューション事業のうちのソフトウェア会社として位置付けられている。

 外国証券のソフト開発関連企業担当のアナリストは「同社はNECの顧客をバックに抱え、かつ伸び盛りのオープン系のソフト開発を得意としているのが強み。まだ成長途上という印象が強い。確かに公開価格に割安感はあったものの、初値ベースでは今3月期予想PERが34.7倍まで上昇している。比較対照となるNECソフトの連結PERの水準を超え、平均的な大手ソフト開発企業のPER評価を得たといえる。中期では年20%程度の利益成長が見込める」としている。社名通り、大手ソフト開発会社では珍しいテクノロジー主体の企業というのも人気を加速させているようだ。

 当然のことながら、上場初日での異常ともいえる過熱人気の反動安を警戒する必要はあるものの、NECエレクトロニクス上場後の非常に堅調な株価推移を判断材料として参考にすれば、1カ月後のTOPIX(東証株価指数)採用銘柄となるまで目が離せない展開になりそうだ。

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