EUのソフトウェア特許試案に非難の声

 欧州の経済学者グループは、欧州議会が提案したソフトウェア特許に関する法律に対し、容赦ない批評を発表した。それによると、この法律は特許専門の弁護士にしかメリットをもたらさず、欧州のソフトウェア産業に悪影響を与えかねないという。

 25日(現地時間)に発表された欧州議会への公開状では、ロンドン大学、オックスフォード・インターネット研究所、サセックス大学などの12人の経済学者が、提案されているコンピュータプログラム関連の特許審査基準を明確化するための指令(Patentability of Computer-Implemented Inventions)は、現在の内容のままなら9月1日の投票で否認されるべきだと主張している。“computer-implemented inventions”(「コンピュータプログラム関連の発明」)という言葉はソフトウェアを含むが、ソフトウェアに限定されるものではない。

 欧州内で一貫性のある特許フレームワークを構築するという、EC委員会が掲げた目標を賞賛する一方で、経済学者らは、ソフトウェアの発明が簡単に特許を取得できることが経済に与える潜在的なインパクトに関して、さらなる調査が必要だと述べている。

 経済学者らは、現在の草案では、災難を招くだけのものになりかねないと述べており、大企業が特許を蓄え、小規模企業からの競争に対して自社を防御するのに利用するとの動きを推奨するものだとしている。このテクニックは、数年前に特許プロセスが緩められた米国ではよく使われているものである。

 「表面では行政における明確化をうたっているが、提案された指令はソフトウェア特許のポートフォリオを拡張する機会を与え、それを推奨するものだ。このようなポートフォリオが悪用された場合、欧州における発明・成長・競争力は不利な影響を被りかねない」と経済学者らは記している。

 経済学者らの評価は、多くのソフトウェア開発者や欧州ベースのIT企業の意見と一致するものだ。提案中の指令への反対論者は、15万人以上の署名を集めた請願書を作成しており、27日午後ブリュッセルにある欧州議会の建物の前でデモを行うことになっている。参加予定者のなかには、ソフトウェア特許に概ね賛成している人も含まれている。

 今回の欧州議会の特許発案は、欧州議会の法務委員会(JURI)の監視の下で進められており、欧州連合の加盟国内で特許システムを調和させることを目的としている。同案により、コンピュータ関連の特許取得は容易になり、特許は欧州内で効力を持つ。現在のシステムでは、欧州特許局(EPO)で認可された多くの特許は、各国の特許制度では効力を持っていない。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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