「サバ一筋」の鯖やから見る、養殖漁業におけるテクノロジー活用の現状と未来

 5日間の日程で、食とインターネット・テクノロジーにまつわるさまざまな事例や業界動向を解説する、本誌CNET Japan主催のオンラインイベント「FoodTech Festival 2020”食”環境が変革する新時代の挑戦者たち」。

 2日目となる10月21日は、魚のサバの養殖から加工品の販売まで、一気通貫で取り組む「鯖や」グループの最高経営責任者 右田孝宣氏が登壇。水産業におけるテクノロジー活用の現状を披露した。

鯖やグループ 最高経営責任者 右田孝宣氏
鯖やグループ 最高経営責任者 右田孝宣氏

生サバ寿司を回転寿司店で出せるクオリティが目標

 19歳までは大の魚嫌い。しかし妻と始めた居酒屋で人気が出たサバ寿司をきっかけに「プロデュースの仕方によっては化ける面白い食材。サバ1本でどこまで大きくなれるかチャレンジしてみよう」と、右田氏が一念発起して鯖寿司専門店の鯖やをオープンしたのは13年前のことだった。

 今では鯖やの他に鯖料理専門店の「SABAR」を国内外に展開し、サバ養殖の会社「フィッシュ・バイオテック」を設立するに至り、もはやサバ一筋の人生といっても過言ではない道のりを歩んできている。

鯖やグループは3社とシンガポールの1社からなる
鯖やグループは3社とシンガポールの1社からなる

 「川上から川下まで一気通貫で」と同氏が話す通り、鯖の種苗生産(孵化)から餌の生産、養殖、加工品販売に飲食店経営と、それぞれで事業化を果たし、さらにはテーマパークとの連携、大手食品会社との共同開発なども手がける。なかでも“川上”の種苗生産から養殖までの研究開発に関わる部分については、フィッシュ・バイオテックが担う分野としてテクノロジーの活用を進め、IT企業との共同事業や産官学連携も展開している。

川上から川下までの一気通貫モデル
川上から川下までの一気通貫モデル
産官学連携も進める
産官学連携も進める
食品会社とコラボし商品展開
食品会社とコラボし商品展開
テーマパーク「おさかな村」が和歌山県にオープン
テーマパーク「おさかな村」が和歌山県にオープン
鯖やグループとしても協力している
鯖やグループとしても協力している

 JR西日本とは、地下海水を用いた陸上養殖の手法を取り入れた共同事業を実施し、寄生虫のアニサキスが発生しにくくなる環境を検証。さらにアニサキスの発生を抑制する餌や、栄養価の高い餌も製薬会社などと共同で開発しながら、これまでに6世代に渡る養殖を経て技術、ノウハウを蓄積してきた。

 現在では一般のサバの養殖と比較して3倍の数が生き残り、成長スピードも早い稚魚を育成できるようになってきている。よりおいしく、健康的なサバを生産することで、現在はまだほとんど流通していない生のサバ寿司を「回転寿司店で出す」ことが目標だ。

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