「5年後は今と同じ運び方はできない」--ヤマトHD、共同輸配送の新会社設立

 ヤマトホールディングスは5月21日、共同輸配送のオープンプラットフォームを提供する新会社「Sustainable Shared Transport」(SST)を設立したと発表した。同社は4月から一部のパートナー企業と実証を行っており、事業開始は2024年度中を予定している。

 SSTは、荷主企業の出荷計画や荷姿、荷物量などの情報と、物流事業者の運行計画などの情報をプラットフォーム上でつなぎ、需要と供給に合わせた物流のマッチングを行う。輸配送はヤマトグループに限らず、リソース情報を登録した物流事業者が担当。プラットフォームの基盤システム構築は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「物流・商流データ基盤」を構築した富士通と共同で行い、利用開始は2024年の冬を予定している。同業他社からの閲覧や外部からのアクセスをブロックし、安全で円滑な共同輸配送を実現する。

SSTが目指す姿 SSTが目指す姿
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 また、地域の複数の物流網を集約する共同輸配送を実行。これまで低積載かつ長時間労働で幹線輸送を担っていた地域の物流事業者が、複数社の域内配送を担うことで、積載率と稼働率を向上させる。

 さらに、「標準パレットの使用」によって、複数社の混載輸送を行い、約40%で常態化している積載率を70%まで向上させる。また「定時運行」、「セミトレーラーやダブル連結トラックなどの高積載車両の活用」などによって、高積載で安定した運行を目指す。ほか、ドライバーの宿泊などを伴う個社ごとの長距離輸送ではなく、中継拠点ごとにドライバーを交代する短中距離リレー輸送を行うことで、働き手の負担を軽減。2024年度は、東京、名古屋、大阪間で1日40線便を運行予定だとしている。

 SST 代表取締役の高野茂幸氏は新会社設立の背景として、物流の2024年問題や気候変動への対応を挙げる。「業種ごとにシステムや規格、商慣習などが異なる中、企業間の垣根を超えた共同輸配送による物流効率化が求められている。5年後は、今と同じ運び方はできない」と、高野氏は述べた。

 同社は2025年度末までに、1日80線便を運行し、持続的で安定した輸送手段を確保するとしている。また、温室効果ガス排出量の低減・削減率42.2%を実現し、ドライバーなど働き手の労働環境、処遇の改善と共に、省人化率65.1%を目指す。

 今後は2024年度中に第三者割当増資を予定しており、荷主企業や物流事業者に限らず、幅広いステークホルダーから出資を募るという。

プレスリリース

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