キャリアコンサルタント尾方僚が、あなたと直接お会いして応募フォームを徹底的に指導・添削します。書類選考は転職活動において最初の関門。あなたのキャリアをプロがヒアリングし、応募フォームに書き表せていない部分をどんどん引き出します。人事に「会ってみたい!」と思わせる応募フォームを一緒に作成しましょう!
書き込み要素が少なすぎるのはマイナス
尾方さん: まず1社目から、どんな仕事をしてきたのかを詳しく聞かせてください。
永田さん: 1社目は家電専門店に就職し、店舗に配属になりました。そこで、携帯電話の販売、契約を担当していました。といっても在職期間が1カ月なので、あまり仕事らしい仕事はしていないのですが…。
尾方さん: これは試用期間中に辞めたということですか?
永田さん: そうです。
尾方さん: 1カ月で辞めたのはどうして?
永田さん: 入社してすぐに社長の不祥事が発覚しまして、「この会社はおかしい」と思って辞めました。

尾方さん: そうですか。試用期間中に辞めた会社に関しては、あえて職務経歴に書かない人もいます。転職回数が多くて不利になるなどの考えからでしょうね。でも永田さんの場合、1社目を書かないと、学校を卒業してからの期間が空白になってしまい、それはそれであまり印象もよくありません。この会社は現在もありますか?
永田さん: ちょうど辞めるとき、ほかの会社に吸収合併されています。
尾方さん: では、こうしましょう。退職理由として、「吸収合併のために退職」と書く。こうすれば読み手は、「ああ、1社目は新入社員を入れたものの、吸収合併で人員整理をせざるを得なかったのだな」と思ってくれるでしょう。今のままだと、「1カ月で辞めているのは、何か本人に問題があるのでは?」と思われかねません。それから、職務経歴を新しい順に書いて、1社目は最後にもっていくといいでしょう。
永田さん: 時系列で古い順に書かなくてもいいのですか?
尾方さん: 職務経歴は古い順に書かなくてはいけないという決まりはありません。書類のアピール度をよりアップさせるためには、最もアピールしたい部分を目立つように書くという工夫が必要です。逆に言うと、書かなくてはいけないけどあまり強調したくない内容は、できるだけ目立たせないようにすることも大切なんです。
とはいうものの、勤務期間が1カ月だけだとしても、1社目の書き込みが少なすぎます。研修内容など、もう少し書き込みを増やす必要がありますね。
永田さん: はい、わかりました。
尾方さん: 2社目ではどんな仕事を?

永田さん: 2 社目はアパレル卸売業の会社です。入社1年目は経理部の売掛管理を担当し、ひたすら伝票で入金、未入金の確認をするという仕事をしていました。2年目も基本的には同じ仕事をしていたのですが、あるとき、「今の時代、この仕事をコンピュータを使わずにやっている会社などあるのか? コンピュータを使えばもっと効率化できるはずなのに」と思い、部長にシステム開発の提案をしたのです。そうしたところ、部長から「じゃあ、従来の仕事量を少し減らして、お前やってみろ」と言われ、システム開発を行いました。入社4年目には情報システム部に異動になり、社内ネットワークの構築、社内パソコン講習、ホームページやサーバーの運用、管理などを中心にやってきました。
尾方さん: まず、永田さんの応募フォームでは、同一の会社でありながら、職務経歴を(2)と(3)に分けて書いてしまっているので、ここを直しましょう。今のままだと、違う会社のような印象を受けてしまいます。
それから、2社目も書き込み要素が少なすぎます。たとえば、売掛管理の伝票処理を毎日どれくらいこなしていたのか、システム開発したことでどのような効果があったのか、また、社内のネットワーク構築にどれくらいの期間をかけたのか、パソコン講習ではどんな点に工夫したのかなど、書き込める要素はまだたくさんあるはずです。書類だけで永田さんのこれまでの仕事ぶりが見えてくるくらい、書き込みをしないと損ですよ。
永田さん: はい、わかりました。

- たとえ在職期間が短くても、研修内容を盛り込むなど、書き込み要素はできるだけ多くする
- 在職期間が短い場合はとくに、退職理由をきちんと書き込む。これによって読み手に納得してもらえる場合もある
- 職務経歴は古い順に書くなどの決まりはない。アピール度の高いものをトップにもってこよう
PRポイントにメリハリをつけよう
尾方さん: 売掛管理のシステムを開発したというお話でしたが、それによって経理部は何か変わりましたか?
永田さん: まず、当時は売掛管理の業務に8人の社員が関わっていたのですが、現在は3人でこなせるようになっています。また、たとえば「現在、A社は未入金」などの情報は、営業の担当者レベルでしかつかんでいなかったのですが、それを担当者以外の社員、課長、部長など、下から上までチェックできるようにしたのです。顧客からの入金の状況が目に見えるようになったことで、問題発見が可能になりました。
尾方さん: システムをつくり、情報をオープンにし、さらに売掛分析までできるようになったわけですね。情報システム部に異動してからの社内LANの整備は、社内でネットワーク委員会を立ち上げるなどして行ったのですか?

永田さん: いいえ、実質社内で動いていたのは、私を含めて社員は2人でした。できるだけ外注コストを抑えるということもあり、社内レイアウトの作成やLANの構成図作成などを自分たちでやり、配線を電気屋さんにお願いするという形で進めました。ちなみにパソコンの台数は140台です。
尾方さん: えっ、それはすごい。社内LANの整備によって、会社内は何か変わりましたか?
永田さん: 最初はなかなか活用されなかったのですが、あるとき、何人かの社員からパソコンの使い方がよくわからないという意見を聞いたのです。すぐ社員全員にアンケートをとったところ、パソコンを使えていない人が多くいることがわかりました。せっかく社内LANを整備し、各社員の机にパソコンを設置しても、これでは意味がないと思い、パソコン講習を会社に提案したのです。そして始業前と終業後に講習を実施しました。講習のテキストをつくり、タイムスケジュールを組んで講師役をやりました。たとえばエクセルの講習では、できるだけ社員が興味を持つように、普段から実際に業務で使っている数字を例に説明するなどしました。
尾方さん: で、徐々に社員がパソコンを活用するようになったわけですね。
永田さん: はい、講習後も社員の意見を聞き、メインフレーム上のデータをテキスト変換してパソコンで見られるようにし、社員が希望する表をつくれるようにするなどしました。

尾方さん: このように、自分の行動によって部署や会社が具体的にどう変わったかをまとめておくと、それは「仕事の成果」としてアピールできる内容になりますよ。
永田さんは、応募フォームへの書き込みは少ないですが、詳しくお話をお聞きしていくと、いろいろとアピール要素を持っていることがわかります。職務経歴が長い人や複数の職種を経験している人すべてにいえることですが、多くの業務をこなしてきた人は、書類にメリハリがなくなってしまう場合が多いのです。永田さんの場合、「社内インフラの整備」「ネットワーク運用・構築」「パソコン講習」「ホームページ運用」などと細かい項目を立てて、これまで関わってきた仕事をズラズラと並べるだけという書き方をしてしまいがち。しかしそれではアピール度は弱いのです。
入社1年目は何をしたか、2年目はどうだったかというように、年代順に自分の仕事を振り返ってみるとわかると思いますが、自分がやってきた仕事には流れがあるはずなのです。そして、仕事内容もレベルアップしているはず。つまり、年度を重ねるごとに仕事面で成長しているはずなのです。書類はその成長度合いがわかるように書いたほうがメリハリが出ますよ。
たとえば、どんな会社でも年齢を重ねるとリーダーシップを求められます。永田さんは、「パソコン講習で、社員の意見を聞き、わかりやすい言葉で説明し、興味をひくような内容に工夫した」と示すことで、リーダーシップの成長性をアピールできますね。
永田さん: たしかにそうですね。

- 自分がやってきた仕事によって部署や会社がどう変わったかを書けば、それは「仕事の成果」のアピールになる
- やってきた仕事をただ並べるだけだと、応募フォームの印象は薄くなってしまう。仕事面でどう成長してきたかがわかるような書き方にする
- リーダーシップのように、年代が上がるごとに求められる能力がある。その能力のアピールも忘れずに書く
売り込むポイントの角度を変えてみよう
尾方さん: 永田さんは、最終的にどういう仕事に就きたいとか、どのように仕事を続けたいなどの目標はありますか?

永田さん: 運用系の仕事をしていると、会社の数字など、内部の情報をどんどん知っていくと思うので、その情報をいかに経営に役立てるかというような仕事をしていきたいと考えています。経営に関する知識を身につけて、最終的には経営層にいきたいですね。
尾方さん: えっ? 運用系から経営というと、ちょっと飛びすぎのような感じがしますね。その中間の目標はありますか?
永田さん: そうですね、飛びすぎですね(笑)。その前にデータ分析や、マーケティングなどを目標にしたいです。
尾方さん: 応募フォームの内容と、いままでの永田さんのシステムに関する楽しそうなお話振りから、このままSEになりたいのかなと思っていたので、ちょっとビックリしたんです。ということは、今の内容のままでは、応募フォームをチェックする採用側には、永田さんの目指すところが何も伝わってないわけです。
書類上で自分のキャリアを見せるときには、ストーリーを持たせることが大切です。先ほどの、「成長度合いがわかるように書く」ということにも通じるのですが、永田さんがこれまでどのように仕事をしてきて、どのように成長し、その結果、どこを目指しているのかが見えるようにしないと。社内ネットワーク担当としてやってきた仕事を並べるだけではなく、次のキャリアにつながるような仕事のやり方を自分はしてきたのだということを、示さなければなりません。つまり、キャリアの最終目標を達成させるためには、これまでの経験をどの角度からアピールするべきかを考える必要があるのです。
永田さん: そうしないと、たとえ面接までいって「データ分析をやりたい」と話しても、面接官はピンとこないかもしれませんね。

尾方さん: そうなんです。今のままでは「このままネットワーク担当者としてやっていきたい」という角度のアピールになってしまっています。このままでは、面接以前に書類で落ちてしまう場合もありますよ。書類の段階で、「このキャリアならいらないや」と思われてしまってはもったいない。
自己PR部分でも、もっとアピールできるはずです。これまでのお話をお聞きしていると、永田さんは業務を進めていくなかで問題を発見し、問題解決のために何ができるかを考え、実行していく能力に長けていると感じます。これは、ビジネスマンにとってはかなり重要な能力なので、ここはもっと具体的にアピールしてもいいでしょう。
また、会社の数字などから問題点が見えてきて、このあたりから「分析、ゆくゆくは経営に関わりたい」という流れがあるのでしょうから、ここをしっかり書くことで、応募フォーム全体によりストーリー性を出せるはずです。
永田さん: わかりました。やってみます。

- 応募フォームに書いた自分のキャリアにストーリーがあるか、チェックする。
- 最終的な目標、そこにいくまでの中間の目標を改めて考えてみる。そこへ到達したいという意欲が見てとれるような内容にする
- 自己PRは、「人と接するのが好き」など、新卒のような言葉は使わないこと。職務内容に書ききれなかったこと、最もアピールしたい内容を盛り込もう