マイナビ転職編集部
2008/01/16 01:16
大手システム開発会社に15年勤めている挑戦者は今、転職を考えている。希望職種はシステムエンジニアだ。しかし、すでにシステム開発の現場を離れて5年以上経つ。ライバル企業でもある中堅システム開発会社の採用担当者は、果たして37歳のSE志望者のキャリアをどう見るのだろうか…。
もう一度、システム開発に関わりたい!
西浦 信輔さん(仮名)
Shinsuke Nishiura
システム開発の実際経験年数:10年
現在の状況:37歳。転職を考えている。
職務経歴:国立大学の情報工学科を卒業後に現在の会社に入社。その後、システム開発に関わる部署をいくつか経験する。開発プロジェクトにおいては、主にシステム評価の仕事に従事していた。ほか、開発拠点管理、製品出荷作業、レスポンスセンターへの問合せ管理などの経験がある。現在は主に外注管理の仕事をしている。
保有資格:第二種情報処理試験、SAP、ASAP技術者
志望職種:システムエンジニア
希望年収額:550万円以上

業種
システム開発
募集職種
電気・電子・IT関連企業。システム開発部門の強化を図るため、システムエンジニアの中途採用の募集をしている。システム設計能力やキャリアはもちろん、マネジメント能力を問う。人事部では、適した人材を採用するのはもちろん、社内活性化につながる人材を求めている。
応募資格
25〜40歳位まで。大卒以上。システムエンジニアの経験者のみ。
求める人材
年齢相応のキャリアを持つ人。
中堅企業のI社の中途採用は応募数も多かったが、人事部は、書類選考では通過条件の壁を低く設定し、できるだけ多くの応募者のなかから面接で人材を見極めたいと考えていた。面接会場に現れた西浦さんはかなり緊張している様子。額には汗、言葉も上ずってしまっていた。しかし、誠実な性格は伝わってきていた。面接は冒頭から…。
面接官 会社でのキャリアを簡単に聞かせてください。
西浦さん 入社して2年目までは社内のEDPシステム開発、3年目〜4年目は社内のLSI設計部門向けに、UNIXシステム上で動くCADシステムを製造しておりました。
面接官 そのシステムはどのぐらいの規模だったんですか? 人/月で言うと…。(1)
西浦さん 40人/月ぐらいの規模です。
面接官 そのなかで、あなたはどんな役割をされていたんですか?(1)
西浦さん プロシーディングによるプログラムです。5年目〜10年目まではVANシステムにおけるFAX配信システムの設計と製造、および評価を担当していました。
面接官 同じく、そちらはどのぐらいの規模で、どんな仕事ですか?
西浦さん 同じく40人/月ぐらいで、ホストとUNIXサーバを通じてUNIXサーバでFAXを送信するようなシステムです。
面接官 そのシステムのお客様はどんな業種になるのでしょうか?
西浦さん 製造と物流のお客様です。
面接官 そのときのあなたの仕事は?
西浦さん このときも設計と評価と、システムの構築を担当していました。
面接官 では、プロジェクトマネジャーと一緒にお客様のところへ行かれて、設計するものについて話されたりしましたか?(2)
西浦さん 回数は少なかったんですが、設計するシステムについてご説明させていただいたことはあります。
面接官 プロジェクトでは、同じようなシステムをお客様ごとにカスタマイズしていくんですか?
西浦さん はい。
面接官 だいたいひとつの商談でいくらぐらいの金額だったんですか?
西浦さん 500万円ぐらいから1,000万円ぐらいでしょうか。
面接官 そのプロジェクトはプロジェクトマネジャーがいて、ご自身がいらっしゃって、あとほかは何人ぐらいいらっしゃったんですか?
西浦さん 開発関連会社のほうに10人ぐらいいて、製造をしてもらっていました。
面接官 設計っていうのはすべてやられたんですか?
西浦さん 設計のおおまかな方針をマネジャーが決めて、細かなところを私と開発関連会社でやっていました。
面接官 その製造に関しては、スケジュールとか品質管理とかは、ご自身でやられるんですか?(3)
西浦さん 関連会社評価のレポートとかが上がってきたら、私がチェックして、足りなければチェックポイントを追加していました。
キャリアについて尋ねられたら、仕事の規模やチームなかでの役割について答える。面接官はつねに、「あなたはどういう立場で何をしていたのか」を聞き出そうとしている。
ここでは面接官は顧客対応ができる人材なのかを聞いている。相手の質問の意図を汲んでPRする絶好の機会でもあった。
ここで面接官はプロジェクトマネジメントについて聞いている。スケジュール管理、予算管理、人員管理、品質管理ができる人材なのかを見極めているのだ。
その後、同様に西浦さんのキャリアについての質問があったが、PRにはつながっていなかった。西浦さんは現在、外注管理の仕事をしていて、システム設計の仕事からは離れている。面接官はその点が気になったようだ…。
面接官 今回、ご応募されているのはシステム設計ですよね。システム設計の現場から長く離れていらっしゃいますね。この世界ではテクノロジーは日々変わっていきますが、その点、どのようにキャッチアップされていますか?
西浦さん 会社では設計の仕事はしていなかったので、参考書を買って自宅で勉強していました。
西浦さん C言語を。
面接官 WEB系とかDBはどうですか?
西浦さん いや、やっていません。(5)
面接官 プロジェクトに入ったとしたら、どの工程だったら、ご自身の経験を活かせるんでしょうか?
西浦さん 関連会社の製造をチェックしてきましたので、評価についての工程ができると思います。
面接官 西浦さんが勤めている会社は大きな会社ですから、評価についても独自のテスト項目を持たれているんでしょうね?
面接官 ということは、当社において外注先に製造を頼んで、そこがテストできないとすれば、西浦さんにお願いすればできると思いますか?
西浦さん できると思います。
面接官 将来的にご自身は技術者としてキャリアを深めていきたいのか、プロジェクトマネジャーとして管理の仕事をしていくのか、どっちだと思いますか?

面接官 では、管理系の仕事をしていくために、一度製造の現場に戻って、現場感みたいなものをつかみたいということでしょうか?
西浦さん そうですね。どこが問題になりそうだとか、チェックポイントだとかを、今の技術に合わせて深めていきたいと思っています。
面接官 では、プロジェクトマネジャーを目指すということは、当然お客様との折衝もありますが、そのあたりは得意ですか?
西浦さん 10年ぐらい前だとお客様との経験がありますが、ここ10年は社内とのやりとりばかりだったので、そのへんは不安があります。(8)
現場を離れている間のテクノロジーの変化にどう追いつくのかの勉強だから、現場にいた当時の既存技術ではなく、新技術の勉強をしていることが望ましい。
やってないことを「やっている」というのはダメだが、勉強していたり(しようと思っているのであっても)、社内の同僚の話を聞いて学んだ点であったり、技術者としてのテクノロジーのトレンドに興味を示す姿勢があればベターだった。
面接官は西浦さんのシステム評価についての実績を聞きたかったのだ。設計の現場から長く離れている西浦さんの社内における活かし方を面接官は模索している。
転職する限りは、「この会社でこんな仕事をしたい」という明確なキャリアプランがほしい。「どちらかというと」という西浦さんの回答は、37歳で転職しようとするSEとしては心もとない。
ここでは「経験は少ないがやっていきたい」というチャレンジする気持ちがほしかった。「不安です」だけでは面接官も不安になる。
ここにきても、西浦さんの回答はPRにはつながっていなかった。面接官は、転職動機の質問をする。
面接官 そもそも転職の動機なんですが、システム製造の現場から離れていて、社内的には現場に戻るのが難しくて、だから転職で現場に戻りたいという意図ですか?(9)
西浦さん 社内的には、人員不足の部署が他部署から人材募集をするという社内公募制度があります。(10)
面接官 そういう社内公募制度を使って、会社内で現場に戻ることはできなかった?
西浦さん その制度というのは同じ部署に1年以上いないといけないという条件がありまして、今のところ、その条件に至っていないんです。
面接官 そもそも転職はいつごろから考えたんですか?
西浦さん 約3年ぐらい前です。
面接官 では、その3年で社内公募制度を使って異動するチャンスはなかったのですか?
西浦さん 実際、5年前に社内制度を利用して異動しました。最初の3年はシステム設計に携わる仕事が多かったんですが、後半は事務的な業務になって、自分の意図していた仕事ではなくなってきました。
面接官 では、ご自身がこれからシステムエンジニアとかプロジェクトマネジャーをやっていくとすれば、どんな仕事をやっていきたいですか?
西浦さん UNIX上で動くアプリケーションの開発などをやっていきたいと思います。
面接官 現場にいれば何日も徹夜することもありますが、ここ数年はそういった経験はありますか?
西浦さん ここ数年はありません。残業は1カ月で40時間ぐらいです。
面接官 納期間際は徹夜になるかもしれませんよ。肉体的にも精神的にも大丈夫ですか?
西浦さん ちょっと不安があります。そういった緊迫した状況に置かれたことは、ここ何年もありませんので…。(11)
面接官 ご自身がシステムエンジニアとしてやっていくうえで、PRするポイントってありますか?
西浦さん 異なるプログラムのテストをしてましたので、評価については自信があります。
面接官 外注を管理しての評価工程について自信があるということですね。ありがとうございました。
西浦さんは会社を変わりたいのではなく、システムに関わりたいだけではないのか? という確認だ。社内ではそれが叶わないなら、転職もやむを得ないが…。
西浦さんは転職の理由を答えていない。条件に合うまで待てば異動できるなら、転職の必要はない。「○○だから貴社で働きたい」という理由がないので、“異動できない人の受け皿を求めての転職”とマイナスイメージで受け取られることも。
あれもできない、これも不安だ、では評価すべきポイントが見当たらない。SEとして現場に戻りたいというチャレンジなのだから、少なくともチャレンジする意欲を見せてほしい。
西浦さんのキャリアを見ると、外注管理をしながら評価を担当していくのが得意だということはわかります。SEの場合は、得意分野と新しい技術への興味、それを吸収していこうという意欲をいかに訴えるかが大切です。技術者の人は話ベタな人も少なくないのですが、それは問題ありません。ただ、他者と差別化できる点については詳しく話すべきでしょう。
西浦さんの場合は設計や製造の現場から長く離れていて、しかもその間、新しい技術を取り入れる努力をしていない。これが決定的な欠点です。転職によって現場に戻るのは難しいのではないでしょうか。だとすると、プロジェクトのサブマネジャーとしてやっていき、近い将来にプロジェクトマネジャーを目指すキャリアプランをおすすめします。しかしその場合も、新しい技術を取り入れていく努力が必要です。
西浦さんの場合、今は転職すべきときではないとも思われます。40歳前でシステム製造現場に戻るのは難しい。プロジェクトマネジャーとしても実績がない。だとすれば、社内で管理の仕事で実績を積んでから転職したほうがいいでしょう。40歳を超えてもプロジェクトマネジャーとして転職している人はたくさんいますから。それが社内でできないとすると、独学で勉強したり資格をとったりすることが必要でしょう。

キャリアと勉強が足りないと痛感しました
自分でもわかっていたんですが、キャリアや勉強が足りないと思いました。それがわかっただけでも来たかいがありました。
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須藤 祥宏(すどうよしひろ)さん
株式会社ディ−アンドエムホールディングスHRMシニアマネージャー
1960年生まれ。外資系のクレジットカード会社、システムソリューション会社などで採用担当マネジャーや人事マネジャーを歴任後、2004年12月より現職。
面接の厳しさには定評があるが、特に学生や若年層の面接には時間をかけ、そのアドバイスが役立ったとの声も多い。ヘッドハンターや人材紹介会社とのコネクションも数多く持つ。
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