最終更新時刻:2008年7月25日(金) 21時03分

社長が語る・人生を変えた運命の転職#1--須加力氏(株式会社ファーストアーキテクト)

マイナビ転職編集部

2008/03/26 14:57  

profile 須加力さん

1949年生まれ。70年、桐蔭学園工業高専学校電気工学科を卒業し、日本IBMに入社。72年に退社後、1年間のアルバイトを経て横河ヒューレット・パッカードに入社する。82年以降、外資系IT各社を転職しながらSE、PM、コンサルティング業務に従事。2004年、ファーストアーキテクトを設立し、業務システム開発と企業形態の理想をめざす。

会社勤めは向いていないのかもしれない――模索を続けた1年間

高い競争率を勝ち抜いて新卒入社した日本IBMを1年半で退社した。1972年、22歳だった。

須加力さん

「当時、日本IBMはコンピュータ市場の90%を握るような巨大な企業で、非常に堅くスクエアな社風でした。私は桐蔭学園工業高等専門学校電気工学科の卒業で、第一期生だったんですよ。つまり15歳から20歳まで先輩がいなかった。そんな環境でずっとやってきたので、出来上がった企業風土に馴染めないということもあったのでしょう。社会人としての基礎を学ぶ意味ではとても勉強になりましたが、それも1年半学べばもういいだろうと思ったんですね」

自分で何かを作り出したい! そう感じた須賀さんは、IBMを飛び出してしまった――もしかしたら自分はサラリーマンに向かないのかもしれないと考え、まったく違う分野に職を求めた。バーテンダー、生花店店員、守衛……。しかし、数カ月続けると仕事に必要なことはほぼ身についてしまう。

「するとそれ以上、先に行きたいとは思わなくなってしまうんですね。1年間、いろんなアルバイトをしましたが、結局、これをずっとやっていこうと思えるような仕事はなく、やっぱり自分はコンピュータをやりたいんだなということがよくわかりました」

自由を求めて――自分が何をしたいのかを見つめ直す

いや、それほど悲愴感はなかったですよと笑う須加さんだが、心の底からやっぱりコンピュータの仕事がしたいんだという確信を得るまでには1年の歳月が必要だったことになる。若き日の試行錯誤の中で、ようやく行く手にはっきりとした光が見えたのだ。当時、コンピュータ関連でまともな仕事をしようとするなら、企業に属する以外に道はない。須加さんは再び企業組織の一員となることを選択する。今度は好きなコンピュータの分野でもっと自由に仕事ができる会社を求めて、横河ヒューレット・パッカード(現・日本ヒューレット・パッカード)に入社。当時、同社は測定器が中心で、コンピュータ部門はまだ十数名を擁する小部門に過ぎなかった。

須加力さん

「IBMの基盤はアメリカの東海岸エリアで、ヒューレット・パッカードは西海岸エリア。もともと文化風土がまったく違う。自由な横河ヒューレット・パッカードの雰囲気はとても居心地がよかったですね。そんな中で、入社後5年間は科学技術計算系コンピュータの関連システム開発に携わりました。その後の5年間は汎用コンピュータを使って工程管理システムの設計などを行うビジネス系の業務です。まだ日本にないマシンを使って、ビジネスコンピュータはどういうマインドなんだというようなことを話し合ったりしていました。非常に充実した日々でした」

組織も肌が合ったし、経済的にも安定していた。何の問題もなかった。しかし、入社して10年が経ち、30代初めとなっていた須加さんはまたしても転職の道を選択する。 「私はエンジニアでいたいという気持ちが強かったのですが、会社としてはマネジメントをしてほしいという流れになってきました。それから、32ビットコンピュータという当時としては非常に斬新だったコンピュータの開発プロジェクトが、中止になってしまったんです。技術的に面白いものがなくなってしまった。それは私のやりたい方向とは違う。では、今、自分はどうしたいのか、という疑問が見えてきて、私は会社を出たわけですね」

転職先は日本タンデムコンピューターズ。横河ヒューレット・パッカードの出身者が作った会社だ。須加さんの仕事の舞台は、社員数700名の大企業から15名のベンチャー企業へと移る。

転職はいつもチャレンジだった――社会の流れを“読む”から“担う”へ

日本タンデムコンピューターズに在籍した7年間は、主に金融系のプロジェクトに参加した。

須加力さん

「とても充実していたし、振り返れば、自分がいちばん伸びた時期だったと思いますね。30歳前後にちゃんとしたチャレンジをして、突き詰めて何かやったという経験がないと、40代、50代になったときに萎(しぼ)んでしまうのではないでしょうか」

T銀行の新国際ネットワークシステム構築では、プロジェクトマネージャーとして海外のソフトウェアハウスを指揮し、東京、ニューヨーク、香港、ロンドンなどの海外拠点にシステムを導入。

「非常に困難なプロジェクトでしたが、これで、システム全体のアーキテクト・デザインを自分で生み出せるという手応えを感じられるようになりましたね。でも達成感でいっぱいというわけでもなく、すでにプロジェクトが軌道に乗った段階で次のことを考えていました。実は上司には1年前から辞めると宣言していたんですよ」

須加さんは次第に、ベンダーとして決められたハードを使わなければならないという制約から離れた自由な環境で仕事をしたい、と考えるようになっていた。目標は、個人の力で企業システムにどれだけチャレンジできるかを確かめること。ITコンサルティングという新しいステージが見えていた。

それからは請われる形で、日本ストラタスコンピュータ、AT&Tソフトウエアジャパン、フューチャーシステムコンサルティングにそれぞれ1〜2年ずつ勤務。多様な業種のプロジェクトを手掛けながら、SEを束ねるマネジメント、UNIXベースのシステム構築、コンサルティング業務など、幅広い経験を積み重ねた。そして1993年、オーディンコンサルティングを設立し、ITコンサルタントとして独立。44歳になっていた。

そして起業へ――数々の転職によって培われた想いが、そこにはある

「いろいろ転職を重ねてきましたが、私にとって運命の転職といえば、やはり、日本IBMから横河ヒューレット・パッカードに移ったときでしょうね。その間の1年間にさまざまな職種体験をしたことが非常に重要だったと思います。コンピュータでやっていくんだと決心し、エンジニアというベースが見えたことで自分の生き方がはっきりした。それからは自分の核がブレることがなくなった。今思えば、そのためには1年間という時間が必要だったんでしょう」

違う人生があったかもしれない、なんて考えたこともないという須加さん。転職はすべて必然性のある選択であり、そこには出会うべくして出会った人たちがいた。しかし、そんな須加さんにして、自分の方向性を見いだすために必要だった20代初めの1年間がある。そして、そこから第一歩を踏み出した時、須加さんはその後の人生を決定づける運命の転職を果たしたのだ。

振り返れば、それから常にチャレンジを続けてきた須加さんだが、チャレンジの意味合いは年齢とともに変化してきている。

「若い頃の転職は自分の能力を磨くことに挑戦するという“内に閉じた”形でしたが、だんだん社会に挑戦しようという“外へ開いた”形になってきました。コンピュータの世界や社会の次の流れを読むことから、自分がその流れを作っていくということ、それが今の私の最終目標となっています。具体的には、新しい手法でソフトウェアをつくって、そのやり方が社会全体に影響を与えていく。そんなITの潮流を作っていきたいと考えています」

2004年、須賀さんはメソドロジーソフト(現・ファーストアーキテクト)を設立。要求仕様から運用まで一貫してブラウザで開発できるシステム開発ツールを完成させ、ベテラン技術者や身体に障害を持つ技術者も在宅で開発できるような新しい働き方も提唱する。その構想には「個人の方向性を柔軟に許容できるような会社でありたい」という須加さんの転職体験に根ざした思いも込められている。

転職者へのメッセージ

須加力さん

チャンスの前髪をつかめ!!

人生で重要なのは、成功するか失敗するかというより、トライしたかどうかだと思います。トライしなければ後悔する、ではトライした結果として失敗したら後悔するのか。成功するか失敗するかはわからないけれど、どちらにせよ後悔しないというのが、選択するということなんじゃないですかね。あとで会社を辞めなきゃよかったと思うようなら、それは自分に対して、きちんとディシジョン(判断+決意)をしなかったということじゃないでしょうか。

それから、偶然のようにやってくるチャンスをチャンスとしてつかむためには、やはりセンスを磨いていないとダメですね。幸運の女神には前髪しかないというように、チャンスはすぐに通り過ぎていくから、あれこれ迷っている暇はない。その時のひらめきに従った方がいいと思います。神の啓示みたいなものですね。転職はギャンブルではないけれど、大局的に見れば、人生の選択は自分を賭けたギャンブルともいえるわけです。ギャンブル同様に、感覚を研ぎ澄ませていないと負けてしまう。何かひとつのことを突き詰めてやってきた経験こそが、そんなチャンスを教えてくれる、という気がしますね。

Company Information

  • 企業名:株式会社ファーストアーキテクト
  • WEBサイト:http://www.fast-architect.jp/
  • 所在地:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-7-6
  • 設立:2004年8月

須加力さん

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