マイナビ転職編集部
2008/01/16 12:01
日本最大のコミュニティサイト「ジオシティーズ」の総合プロデューサー、世界最大のポータルサイトYahoo!日本法人の営業推進部長……。まさに、日本のインターネットの本流を歩んできた男、小川淳。彼の武器は、常に物事の本質を見据え続ける眼である。
1959年、京都府生まれ。近畿大学商経学部卒業。広告代理店勤務を経て、ソフトバンク入社。その後、ソフトバンクの社内異動で日本最大のコミュニティサイト「ジオシティーズ」の総合プロデューサー、Yahoo!日本法人の営業推進部長などを勤め、2001年トライベック・ストラテジー株式会社を設立。
小川氏率いるトライベック・ストラテジー株式会社では、企業のWeb戦略策定からサイト構築、運用・サポートまでをワンストップで提供している。小川氏はその中で、代表取締役社長を務める傍ら、ウェブサイト・コンサルティング・チームのプロデューサーも兼任している。
かれこれ10年以上、ネットの本質について考え続けてきました。そしていま思うのは、インターネットは、人と人を結びつけるためにあるということです。つまり人々が情報を交換し合い、お互いに利益を得るためのインフラだと思うんです。
僕は、「ジオシティーズ」で、コミュニティサイトの運営に携わってきました。その経験の中で思ったのは、100人の人がいれば、100通りの知識があるということです。どんな人でも自分の好きな分野や、自分の家の周りのことは、他の人よりも多くの知識を持っている。普通は、そうした知識は個人の中に眠っているだけです。埋もれている知識を表に引っ張り出して、他の人に渡す。そうするともっと楽しくてすてきな世の中が生まれるんじゃないか。そしてそれがインターネットの本質ではないか、と。
そう考えたときに、いまの世の中にはインターネットを使って人々を結びつけ、かつそれをビジネスとして成立させているサービスはほとんどないように思えました。ユーザーにも喜ばれ、企業にも利益を生むWebサービスを実現したい。そんな思いで会社を立ち上げました。
企業のWeb戦略を成功させる鍵は、徹底してユーザーの視点から考えることです。ブログにしろSNSにしろ、あくまでも道具なんです。いま、Web2.0 が騒がれていますが、僕は“Web0.0”の時代からコミュニティサイトをやってきた(笑)。以来、常にユーザーにとって楽しく、企業にとってメリットのあるWebサービスをどうやって作るかを実践してきました。その目から見ると、いまのWebサービスはまだまだ十分ではないと感じているんです。
小川氏の経歴を語る上で外せないのが、日本最大のコミュニティサイト「ジオシティーズ」の成功である。当時、氏は総合プロデューサーとして「ジオシティーズ」のテコ入れに注力していた。この体験が、“徹底してユーザー視点から考える”というスタイルを確立する。
1997年の半ばでした。当時はソフトバンクで孫正義さん直轄の部署で働いていたのですが、突然「ジオシティーズのコミュニティサイトを何とかしてくれ」と言われたんです。
それまでの「ジオシティーズ」は、米国のサービスをローカライズしたものに過ぎませんでした。そこで、ユーザーインターフェースを日本人の感覚にマッチするように作り変えました。使い勝手やサイト上の表現をすべて洗い直したんです。もう1つやったのは、簡便にホームページをアップできるツールの提供でした。当時はファイルをFTP(File Transfer Protocol)でアップする仕組みだったのですが、初心者にはどうにも使いづらかった。そこで、インターネットが分からない方でも簡単にホームページを作成してアップできるツールを作ったんです。
これが功を奏して、「ジオシティーズ」の個人ホームページは、毎週倍増のペースで増えていきました。同時に、ユーザー同士のコミュニケーションもどんどん活発になっていった。インターネットというと、どうしてもバーチャルな世界のように考えられてしまう。でも、本質的には、インターネットは、現実に生きている人々が感じるリアルなニーズに応えるための道具でしかないんです。この時の経験が、僕のスタイルの基礎になっています。
1年後、「ジオシティーズ」の会員数は100万人を突破。日本最大級のコミュニティサイトの座を獲得する。しかし、小川氏の前進は止まらない。すぐさま次のステップへと進んだ。
次に考えたのは、コミュニティサイトで、どうやってビジネスを展開していくかということでした。そこで、まず一般的なバナー広告のビジネスモデルをやってみました。しかし「ジオシティーズ」は個人ホームページのコミュニティサイトですから、広告を出した商品について何を書かれるかわからない。ですから広告主は個人のホームページにバナー広告を載せることに、あまり乗り気じゃなかった。これを何とかしなければならなかったんです。そこで思いついたのが、特定の商品に興味を持っているユーザーたちのページを集めて、その商品のファンサイトとして紹介し、ユーザーの口コミを利用してプロモーションを行うという手法でした。
最初にこの手法を適用したのは、当時の某自動車メーカーのモデルチェンジのプロモーションでした。メーカーのサイトとファンのホームページの両方に遷移できるバナーを作って配布したんです。もちろん、ファンサイトには、いいことばかりが書いてあるわけじゃない。けれど、それが逆に良いんです。実際に車に乗っている人たちの言葉は、メーカーの宣伝コピーよりもずっと強く消費者の心に深く刺さる。この時期に、インターネット・マーケティングの本質について深く考えることが出来ました。
ソフトバンクでの経験が与えたのは、マーケティング手法やコミュニティサイト運営のノウハウだけではない。ソフトバンクの総帥(そうすい)、孫正義氏の直近で働くという経験は、氏の仕事に対する姿勢にも大きな影響を与えた。
孫さんとの出会いは、僕のビジネスマン人生にとって間違いなくエポックメイキングな出来事でした。とにかく、仕事に対する情熱がケタ外れなんです。それまでに会ったどの経営者とも違っていた。まず、相手が誰であろうと偉そうに構えるところがまったくない。新米社員であっても、直接話しかけ、真剣に話を聞く。そして、時には相手が誰であろうと顔を真っ赤にして怒る。とにかく真っ直ぐなんです。
今でも思い出すのは、1995年頃に開かれたある会合です。大手の量販店やメーカーの社長さんを1000人ぐらい集めて孫さんが話をしたのですが、その時に孫さんが「ビジネスでメールを使っている人は手を挙げてくれ」と言ったんです。ところが、手を挙げたのは約15、6人だった。当時のインターネットといえば、まだ始まったばかり。誰もいまのような世の中になると予想していませんでしたから無理もない。
ところが、孫さんは顔を真っ赤にして滔々(とうとう)と語りだしたんです。「これからはソフトもネットで流通する世の中になる。だから、みんな真剣にインターネットに取り組んでください」と。あの時の孫さんの顔は、いまでもハッキリと思い出せます。いま、世の中は孫さんの言った通りになっている。孫さんのそういう嗅覚はずば抜けていました。そして嗅覚以上にすごいのは、ピュアさです。語る言葉に嘘偽りがない。真剣にそう思っているから顔を真っ赤にして話す。リーダーとは自分が良いと信じたことを、本気で相手に伝えることができる人物なんだということを学びました。
その後、小川氏はYahoo!の営業推進部長などを経て、トライベック・ストラテジー株式会社を設立。当初7人だった会社も、現在は37人になった。まさにインターネットの本流を歩んできた小川氏。その氏が目指すものは?
当社はようやく軌道に乗ったばかりです。会社を立ち上げて2年ぐらいは常に不安でした。マンションの1室でやっているような、Web制作プロダクションで終わってしまうのかと思った時期もありました。僕はあまり悩んだりするタイプではないのですが、さすがにあの頃は辛かった。これでいけると思えるようになったのは、つい最近のことです。
それでも設立以来、我々のポリシーは一貫して変わっていません。いかにしてお客様の良き相談相手になるか。ホームページの制作者でもなく、コンサルタントでもない、お客様の相談役。ユーザー視点を忘れずに、上流の市場分析からサイト構築、コンサルティング、マーケティングまで一貫して提供することにより、お客様がやりたいこと、やるべきことにマッチしたWebサービスを提供することです。
その先は、独自開発した技術を使って、日本の企業にマッチした独自のサービスを確立していきたい。CRMやCMSといった手法は、ほとんどが米国発です。いまの日本では、それをそのまま企業に当てはめているのがほとんど。その発想自体をゼロベースで考え直し、個々の日本企業に本当に馴染むサービスを提供してみたい。地に足をつけ、企業にもその先のユーザーにも喜んでもらえる、Webサービスを実現していきたいです。
アクアリウムが趣味と言う小川社長に、心休まる美しい水草を教えてもらいました!
■リシア
水槽の中が、芝生を敷き詰めたようになる美しい水草です。もともと水面に浮いている植物なのですが、それをわざと水の中に沈め、強い光と二酸化炭素を与えることで、水中で繁茂させるんです。見ているだけでウットリしてしまいますよ。
■クリプトコリネ
この水草はすぐ溶けてしまうので育てるのが難しいです。それだけにキレイに葉が開いたときの喜びはひとしおです。アクアリウムは、地球上にある生態系を水槽の中で再現するという、ロマンのある遊びなので本当にオススメです。
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