マイナビ転職編集部
2008/01/16 01:32
今回登場するのは大学卒業以来、転職を重ねながらも自分のスキルを磨き、一貫してSEとしての道を歩いてきた西山さん。転職をキャリアアップの分岐点と捉え、ステップアップを繰り返してきた彼の経験から見えてくるものとは?

西山裕二さん(仮名)31歳
中学生の頃からプログラミングに興味を持ち、大学卒業後、SEとして鉄道関連のシステム会社へ入社。その後javaを学び、ソフト開発会社や大手建設会社にて、さらに経験を積み重ねる。現在は大手建設機械メーカーの社内SEとして働きながらも、転職を視野に、さらなるスキルアップを目指している。
転職Before⇒After
職種 SE→SE
雇用形態 正社員→正社員
年収 約650万円→約600万円
勤務時間 8:45-17:15→9:00-17:45
休日 土日祝→土日祝
転職活動履歴
22歳 1997年4月〜
【1社目】
・システム会社SE(正社員、約4年間勤務)
26歳 2000年12月〜
・PCスクールでjavaを学ぶ(約1カ月間)
2001年1月〜
【2社目】
・ショッピングサイトのシステム開発(業務請負、約半年間)
26歳 2000年12月〜
【3社目】
・ソフト開発会社SE(正社員、約4年間)
30歳 2005年7月〜
【4社目】
・建設会社社内SE(正社員、約9カ月間)
31歳 2006年4月〜
【5社目】
・建設機器メーカー社内SE(正社員、現在)
転職回数 4回
内定社数/応募社数 4社/20社
転職の条件
・スキルアップ
・海外経験ができる
・社内異動の融通が利く
・労務条件が整備されている
求人情報の入手先
・人材紹介会社



卒業後、迷うことなくシステム会社に入社。当然、SEとして開発の仕事を任されると思っていた西山さん。ところが最初に与えられた仕事は、希望とは大きく異なるものだった。
中学生の頃からパソコンを使って何かを作ることに興味がありました。システム会社へ入社する時も、独学とはいえ既に10年以上プログラミングをやってきただけに、自分には開発部門で即戦力として働くだけの知識があると自負していました。でもその自信が生意気だと思われたんでしょうね。予想もしていなかったシステム運用部門に配属され、開発から遠ざけられてしまったんです。希望とかけ離れた業務に取り組む毎日は、本当に辛かったですね。配属直後から、ずっと異動を訴え続けていました。
2年後にようやく異動が決まったものの、配属された部署は、手がけるシステムの仕様も方向性も決まらず、チーム全体が迷走を繰り返しているような状態。手がける仕事も当時は興味を感じていなかった分野ではありましたが、外部エンジニアと接したり、新しい技術や知識に触れて、自分のスキルが上がっていることを実感できましたね。ほとんど家にも帰れないような毎日でしたが、やりがいも感じていました。
ところが、苦労の末に開発したシステムが稼動を始めると、しばらくは以前のような運用管理の業務が続くと言われてしまったんです。当時は、ちょうど2000年問題が片付いた時期で、汎用機からオープン系へスキルを転換していく必要性も感じていました。環境を変えてでも、それを実行しなければいけないと思い、退職を決意したんです。



退職後、スクールに通ってjavaを学び、汎用機からオープン系システム開発へと活躍の場を移した西山さん。個人での業務委託を経験したことで、再び企業に属する道を選ぶ。
1カ月のjavaのカリキュラムを終えたところで、スクールから紹介されたのは、業務委託でのショッピングサイトのシステム開発でした。初めて個人で請け負った仕事でしたが、1カ月の勉強だけで身に付けたjavaとデータベース構築の知識では、追いつくだけで精一杯。技術不足であることを痛感しましたね。悩んだ末、半年で仕事を辞退し再就職を決意しました。もう一度、企業に属しながら学んだ技術を生かしたいと考えるようになったんです。
そんな頃、たまたま購読していたビジネス誌で、自分の出身地の小さなソフト会社の記事が目に留まったんです。立ち上げ1年程度の新しい会社で、Javaの仕事が出来るかどうかも、その記事からはわかりませんでした。でも、新しい会社だからこそ、何もないところからでも、自分の提案でプロジェクトを動かしていけるのではないかと思い、javaの経験をアピールして自分から売り込みをかけると、その場で採用が決まったんです。
入社後はJavaのプロジェクトのリーダーを任され、願っていたとおり、身に付けたjavaの技術は生かせましたが、ほとんどは詳細設計以降のいわゆる下流工程からの仕事ばかり。自分たちが苦労して作り上げたシステムが、その後、どれだけ企業の業績に貢献したかを知る機会もなく、もの足りなさや不満がありました。そして、より上流の工程に関わるためには、社内SEを目指した方がよいと考えるようになっていったんです。



自分の手がけたシステムの「その後」が見たいと、社内SEとして転職することを決意。求人の少ない、厳しい条件の転職活動の末、大手建設会社への入社を決めるが……。
転職活動を始めてみると、Javaの経験に対する需要は高く、人材紹介会社から紹介される案件はかなり多かったですね。でも、そのほとんどはシステム会社からのもの。それでは「組み立てるだけ」のエンジニアからの脱出は難しい。とにかく手がけたシステムの貢献度をこの目で見たいと思っていましたから、どんなに給与などの条件が良くてもその希望に沿わないものは全て断りました。
結局、転職活動の末に、大手建設会社へ社内SEとして入社しました。自分の希望にも一番近く、汎用機とjavaの両方を経験していることを高く評価してくれ、全ての面で納得しての転職でした。ところが、実際に仕事を始めてみると、業務は想像以上にハードで、自分が一番見届けたいと望んでいた、開発後のシステムの評価や貢献度などを考える余裕すら、まったくないほどだったんです。
仕事に追われ続ける毎日に、正直「転職に失敗したかな?」と思う時もありました。でも、ユーザーの意見を取り入れながらのシステム構築を経験し、スキルの上乗せを図ることもできた。「社内SE」というステップは、エンジニアとしてのキャリアアップのためには必要だったと思いますが、結局、9カ月で退職を決めました。



現状を把握し、そこにある問題を解決することが、結果的に複数回の転職という選択になってきた西山さん。そんな彼が見つめる将来の自分の姿とは?
現在の会社は、Javaの経験者がおらず、社員のSEとしての教育水準も今まで一番低いため、問題が発生すると、私が対処しなければいけない状態。それでは社員のレベルの向上もしませんし、その上、何をやるにも上司や親会社の許可が必要という、その風通しの悪さにも限界を感じますね。ただ、オフショア開発の一環として、近々海外赴任の予定があり、また新たな経験を積めるので、これを踏まえたうえで次のステップ考えながら、ゆっくりとですが転職活動を始めているんです。
ものづくりが好きなので、できればメーカーの社内SEとして転職したい気持ちはあります。でも日本のメーカーでは転職回数の多さが嫌われるので、自分のキャリアだとかなり厳しいでしょうね。だから次は外資系企業かITコンサルの道に進むしかないかもしれないとは思っています。仕事漬けになるのがほぼ確実で、今まで避けていたITコンサルの仕事も、今後、さらに上のレベルを目指すのであれば、避けて通れない道なのかなとも思うんですね。
転職活動を始めてから、まだ1カ月も経たない状況ですが、すでに何件かの紹介を受けています。中には有名なITコンサル会社からの誘いもありますし、「今まで歩いてきた道は間違っていなかった!」と実感しています。同時に、ITにおける自分の幅広い経験とスキルを最大限に生かすには、やはりITコンサルの道に進むべきかなとも思います。そうやって一つずつ新しい経験を重ねながら、最終的にはCIO(最高情報責任者)のような存在になれたらいいなと思いますね。
短いスパンで転職を繰り返すことがマイナスイメージとして捉えられがちな中にあって、転職を重ねる中で常に新しい経験・スキルアップを図り、前向きな転職を経験してきた西山さん。それは常に彼が「自分に足りないスキル・経験」を認識し、自分への目標として課してきた努力の結果でもある。転職を繰り返してきた中で「自分が得たもの」を明確に主張できるだろうか? それが「転職=スキルアップ」となる第一歩なのかもしれない。

▼<戦略的転職の適・不適>
“戦略”としての正しさも、自分の方向性と一致しなければ無駄になることがある
今回登場した西山さんのように、どういったタイミングで、どのような場に自分を置くかを考えた転職は、「戦略的」とも言えるでしょう。
まだ部分的にではありますが、この1年ほど景気も上向き、中途採用に関しても活発な動きが目立つようになりました。転職を考える人にとっては良いことなのですが、かつてのバブルのころに似ているのが気になります。
バブルの時代は、「戦略的転職」を奨励する意見が多くなりました。実際、どんどん前向きに転職をして、ステップアップされた方もいます。
でもその一方で、戦略的なつもりであったものの、結果としてはいたずらに転職回数を増やしただけという場合もありました。
このまま景気回復が進むと、再び「戦略的転職」が注目されることが考えられますが、そのときに、自分がそれに適しているか否かを見極めることはとても重要です。
そのためには、今までの自分の行動と、その後の気持ちを振り返ることが、大きなヒントになると思います。特に、新しい行動に踏み出した後や、目の前に予想もしなかった事態が起きたときに、どう感じましたか? 後悔をすることが多い方は、ちょっと考えた方が良いかもしれませんね。
こうやって考えることは、「戦略的転職」に適しているかどうかを知るだけでなく、これからのキャリアを考える上で、自分を知るヒントにもなりますよ。
2007 3/2 掲載
キャリア・カウンセラー/セミナー講師
13年間、個人と企業を結ぶ仕事に従事した後、03年に「がんばれ工房」を設立。6000人以上の転職相談の経験から、転職するのがベストの選択かどうか、生き方・働き方から共に考える転職相談を行っている。一人ひとりと長いお付き合いをすることで、キャリアのホームドクターとして活動中。
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