DSF、「形式手法」を開発場面に取り入れる際のノウハウを文書として公開

ZDNet Japan Staff2010年11月24日 18時07分

 NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所、東芝の5社と、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立情報学研究所が参加している「ディペンダブル・ソフトウェア・フォーラム(Dependable Software Forum、DSF)」は11月24日、活動成果の第1弾として、エンタープライズ市場向けのソフトウェアを対象とした「形式手法活用ガイド」をまとめ、同日よりDSF公式サイトで公開した。

 同ガイドは、エンタープライズ系ソフトウェアを開発するプロジェクトメンバーが実際の開発場面に形式手法を導入するときの参考となるもの。形式手法(フォーマルメソッド)は、数理論理学を基盤として、対象システムやソフトウェアの機能、振る舞いについて正確な記述と系統的な検証を行う手法や技術の総称。社会システムや組み込み系ソフトウェアなど、高信頼、高品質が求められる分野を中心に、形式手法に注目が集まっているという。

 2009年12月に設立されたDSFでは、形式手法適用評価ワーキンググループ(Formal Methods Application WG:FMAWG)の中で、形式手法の適用事例やノウハウを蓄積してきており、今回、ディペンダブル・ソフトウェア(可用性、信頼性、安全性、機密性、完全性、保守性といった複合的要件を満たすソフトウェア)実現の有力な手段である形式手法を実際の開発現場で有効に活用するために、各参加企業が連携して作成した形式手法活用ガイドの公開に至った。

 形式手法はエンタープライズ系ソフトウェアの開発に適用する場合のコストが膨らむという固定観念と活用できる技術者の不足のため、適用事例が少なく、その効果も一般に公開されていないという。DSFは適用効果を確かめるために記述実験を行い、形式手法がエンタープライズ系ソフトウェア開発上流工程での誤り発見に効果があることを確認。具体的には、レビューによって誤りが除去されたと考えられる設計書を形式手法で記述し直すことで、複数の設計書で書かれている内容の矛盾や仕様の解釈が複数あるという誤りを発見することができたとしている。

 また、形式手法の実務への適用において課題となる「現場利用を踏まえた適用手順や体制」「形式手法を用いる際の定石や作法の知識」「形式手法に関するスキルや教育方法」の3点について対策を検討し、まとめているという。今後DSFでは、「より現実的な開発場面での効果や利点・欠点」という課題への対策として、より開発現場に近い場面を想定して形式手法適用の有効性を評価する実証実験を企画するとしている。

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