「3Dテレビは競合他社対抗へのファクター」--パナソニック、2010年度経営方針を発表

加納恵(編集部)2010年01月12日 11時06分

 パナソニックは1月8日、2010年度の経営方針説明会を開催した。子会社化した三洋電機を含む新パナソニックグループの方向性や、創業100周年を迎える2018年のあるべき姿、新中期計画などを発表した。

三洋電機子会社化でエナジー事業に本腰

 「太陽電池、二次電池のキープレーヤーである三洋電機を加えることで、グループに広がりと深みが得られるようになった」と、代表取締役社長の大坪文雄氏は新パナソニックグループを表現する。

 2010年度から2012年度までの新中期計画でも、重点事業6つのうちの1つにエナジーシステムを挙げるなど、エナジー関連のシナジー効果には大きな期待を寄せる。

 三洋電機の薄膜太陽電池「HIT」に対しては、パナソニックが持つ販売チャネルやエネルギーマネジメント技術を掛け合わせることで、事業の拡大を推進。この分野において、2012年度には国内ナンバー1、2015年度にはグローバルトップ3になることを目標として掲げた。HIT生産能力を現在の600メガワットから1.5ギガワットに増強する2015年度までには1000億円規模の投資も行う。

 リチウム二次電池事業では、パナソニックの高容量、長寿命、安全技術と、三洋電機の生産技術を融合させ、シェア拡大を狙う。車載用、家庭用市場での提案力を強化し、2015年度には売上高1兆円、シェア40%以上を目指すという。

 しかし、AV機器や白物家電など、両社で重複している事業もある。そうした事業に関しては「互いの強みを見極め、やめるべきはやめる。課題を出し切り一気に改革する」(大坪氏)とスピード感を持ちながら、取り組むとした。

 撤退する事業に対しては、「2009年12月21日に正式子会社化が決定した後、両社でコラボ委員会を立ち上げ検討している。現時点では具体的に事業名を挙げることはできない」とした。ただし「似たような事業をやっているからといって、直ちに止めるという発想ではない。お互いの生産力、開発力、販売力でシナジーを生み出せるかどうかが大切」とし、単なる商品ラインアップではなく、将来性を見極めて再構築すると話した。

3Dテレビは競合他社に対抗する1つのファクター

 エナジー事業以外では、エアコン、空気清浄機などの「冷熱コンディショニング」、薄型テレビ、モバイルAVなどの「ネットワークAV」「セキュリティ」「ヘルスケア」「LED」を新中期経営計画の重点事業として据えている。

 ネットワークAV事業の中心となる薄型テレビでは、新領域の開拓とボリュームゾーン攻略の2本柱で展開していくとのこと。新領域の開拓として挙げられたのは、フルHD 3DプラズマテレビとLEDバックライト液晶テレビだ。大坪氏は「2010年春からフルHD 3Dプラズマテレビを50型以上で導入していく。LEDバックライト液晶テレビは、2010年度に一気に全モデルの30%まで比率を増やす」と明言した。

 また、競合メーカーであるサムスン電子について質問が飛ぶと「強烈なリーダーシップを持つ企業だ。薄型テレビの生産量では、我々をはるかに凌駕している。従って数だけを追いかけるよりも、質の面で対抗していくことを考えたい。その大きなポイントになるのが3Dテレビだ。我々は3D製品においてBlu-ray Discプレーヤー/レコーダーなどの家庭用機器から、2眼式カメラや編集機器などの周辺機器までを揃えている。こうしたエンド・ツー・エンドの充実を図り、サムスン電子への対抗の1つのファクターにしたい」と意欲を話した。

  • 6つの重点事業

  • 3D事業導入

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