宇宙科学のシンフォニー

文:Holly Jackson(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年09月02日 07時00分

 宇宙に音があるとすれば、どんな音だろうか。

 作曲家のNolan Gasser氏なら、きっと、高音のバイオリン、鳴り響くシンバル、低音のトロンボーンを合わせた音にするだろう。同氏にとって宇宙は、メロディーと宇宙科学が絡み合う交響曲(シンフォニー)だ。新しく作曲する「Cosmic Reflections」で、Gasser氏はそれを証明しようと計画している。

 「頭の中で各パートを聞くことができる。自分がやりたいことの1つは、どことなく『宇宙のテーマ』を思わせるような、作品全体に広がるテーマを作ることだ。どうすれば音楽でこれを表現できるだろうか。まだわからない」(Gasser氏)

 Gasser氏にとって、宇宙と音楽を融合しなければならないのは今回が初めてではない。前の作品である「GLAST Prelude」(こちらで試聴できる)は、同氏を宇宙へと導いた。Gasser氏は、米国時間6月11日に軌道に打ち上げられた米航空宇宙局(NASA)のGLAST(ガンマ線広域望遠鏡衛星)のために、10分の曲を作曲した。GLASTからの初の画像は8月26日、テレビ記者会見で公開され、新たに名前が変更された。

 しかし、音楽のアイデアの生みの親は、スタンフォード大学の物理学者であるPeter Michelson博士だった。GLASTプロジェクトの研究責任者の1人であるMichelson博士は、音楽の演奏と一緒に新しい観測衛星を打ち上げたいと考えた。博士は、友だちを通じて、Pandoraのインターネットラジオサービスを支える音楽技術「Music Genome Project」の主任音楽アーキテクトでもあるGasser氏と知り合った。

 「GLASTプロジェクトを開始した当時、科学的な研究成果を人々に伝えるだけでなく、観測衛星が世界中の科学者や技術者によって生み出されたいきさつを伝える方法を見つけたいと考えていた。『GLAST Prelude』は、観測衛星の製造と打ち上げの興奮を効果的に伝え、聴衆はGLASTが高エネルギー宇宙で見るであろう景色を垣間見ることができる」(Michelson博士)

 GLASTは現在、地上350マイル(約563.3km)の軌道を旋回中で、少なくとも5年間、ガンマ線バースト、暗黒物質、ブラックホール内の物質の加速について、秘密を探ることになる。NASAにとって、GLASTは毎日、全天を調査する初のガンマ線観測衛星だ。GLASTは、広視野望遠鏡(LAT)とGLASTバーストモニタ(GBM)の2つの装置で構成されている。

 Gasser氏の「GLAST Prelude」では、望遠鏡の背後にある歴史、過去の天文学者への敬意、電磁スペクトルとガンマ線を音楽で表現したものがひとつになっている。

 曲のお披露目は、GLASTの6月11日の打ち上げパーティでのAmerican Brass Quintetによる演奏のレコーディングだった。「GLAST Prelude」は、ゴダード宇宙飛行センターによる映像と組み合わせられて、科学音楽ビデオとして、複数の教育サイトに掲載された、とGasser氏は述べている。

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