「ただ乗り」されてもグーグルのトラフィックは必要?--ジレンマに悩む新聞業界

文:Greg Sandoval(CNET News.com) 翻訳校正:大熊あつ子、長谷睦2007年06月05日 17時14分

 もう何年も前から、新聞社は、Googleが自分たちの記事の見出しをインデックス化し、こちらには一銭も払わずに記事の概要を提供するのを静観してきた。

 表向き、Googleは新聞の読者が記事をオンラインで見つける手助けをしている、ということになっている。しかし、新聞業界では、Googleに無料で記事を使わせることが新聞社にビジネス上のメリットをもたらしているのか疑問だ、とする声もあがっている。

 Los Angeles TimesやChicago Tribuneの発行元であるTribune Companyの新オーナー、Sam Zell氏は2007年4月にスタンフォード大学で行った講演の中で、記者たちに「米国の新聞すべてがGoogleのコンテンツ盗用を許さなかったら、Googleの利益はどれほどのものになっていただろうか?」と問いかけた。

 Washington Postの報道によると、Zell氏は記者たちの返答を待たずに「さほど多くはなかったはずだ」と述べたという。

 ブログを持っている人なら誰でも巨大なメディア企業と読者の数を争える時代に入った今、新聞社はニュースの見出しを集約するサイトや検索エンジンとの関係を、より厳しい目で見直そうとしているのかもしれない。ただし、一部のアナリストはメディア企業に対し、なぜ見直しにこれほど長い時間がかかっているのか、という疑問を抱き始めている。

 ジャーナリスト養成スクールPoynter Instituteで講師を務めるAly Colon氏は、次のように話す。「新聞社は、リンクの価値を理解して、前向きに取り組もうと努力している。検索エンジンは、新聞のサイトにトラフィックをもたらす存在のはずだ。しかし、その一方で(ジャーナリズムは)大変な仕事だ(中略)。新聞業界では、自分たちジャーナリストの仕事が十分な対価を得られるか、検索エンジンの出方を見極めようとする動きが起きるだろう」

 Googleはこれまで、見出しのインデックス化に対する新聞社への支払いについては、一貫した姿勢を取り続けてきた。Googleの広報担当は電子メールで「ニュースコンテンツのインデックス化に対して、料金は支払わない」と明言している。

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