最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

「グーグル経営陣、大量の株式売却」の真相に迫る

文:Elinor Mills(CNET News.com)
編集校正:坂和敏(編集部)

2006/02/15 19:01  

 Googleの共同創業者Sergey BrinとLarry Pageは、2005年12月にそれぞれ1億6000万ドル以上に相当する自社株を売却した。

 この金額は、一般の人々にとっては宝くじで1等を当てたような大金だ。しかし、数十億ドル相当のGoogle株を保有する2人は、過去1年あまりの間に毎月このような売却を続けてきている。

 Thomson Financialの見積もりによると、Googleが2004年8月に株式公開を果たして以来、Brinはおよそ650万株を売却し、16億8000万ドルを手にした一方、Pageも約580万株を売却し、14億ドルを手にしたという。さらに、株式公開前にGoogleに加わっていた現CEOのEric Schmidtも、210万株以上を売却し、5億200万ドルを超える金を手に入れている。

 無論、急成長を続けるハイテク企業の経営陣が自社の株式公開後に持ち株を処分して巨額の富を手に入れるというのは、とくに目新しい話ではない。MicrosoftのBill Gatesが世界一の大金持ちになったのは、手取りの給料が高かったからではない。また、OracleのLarry Ellisonも自家用ヨットで世界のあちこちに出かけているが、その費用を確定拠出型年金から得た資金でまかなっているわけではない。

 それでも、Googleの経営陣が保有株式を売却するペースの速さや、その売却で手にした目の飛び出るような金額に対して、一部のコーポレートガバナンスの専門家は眉をひそめている。「経営者が自社株を売却すれば、それは自社に投資するよりも有利な運用方法が他にあることを認めることになる」と、デラウェア大学のWeinberg Center for Corporate Governanceでディレクターを務めるCharles Elsonは述べている。「企業のトップが大量の自社株を売却することは、他の株主に対して特に強力なメッセージを送ることにはならないと思う。私は経営者の自社株売却を好ましいこととは思わない」(Elson)

 同様の意見を持つ者はほかにもいたが、Elsonは特に批判的だった。それに対し、Wall Streetの株式アナリストらは、17カ月の間に株価が400%近くも上昇し、Googleに早くから投資していた人々が十分な見返りを得たという事実に満足している。

 Piper JaffrayアナリストのSafa Rashtchyは、われわれの問い合わせに答えた電子メールのなかで、「企業関係者による自社株売却が、株価に肯定的な影響をもたらすことはなく、ときにはそれが危険信号となる場合さえある」と述べている。「Google経営陣の自社株売却については、それ自体が大問題になるとは思えないが、確かに金額が桁外れに大きいように思えるし、いくぶん気がかりな部分もある」(Rashtchy)

 Rashtchyがこの件をあまり心配していないことは明らかだ。同氏は数週間前に、Google株式の上限予想をそれまでの445ドルから600ドルに引き上げている。

売却はとうの昔に計画済み  なぜ、それほどのんきに構えていられるのか。考えられる答えの1つは、Google経営陣が何か不可解なことをしたり、自分たちの利害と他の株主の利害を切り離したりしていると考える理由がいまのところはない、というものだ。彼らはすでに途轍もない額の金を儲けており、Googleがこれまでのようなペースで成長を続ければ、さらに多くの金を手にすることになる。

 実は、Googleの経営陣は、同社が株式公開する前から、株式売却に関する計画を注意深く練っていた。株価の下落を予想した企業の幹部が、実際に下落する直前に売り抜けた場合はインサイダー取引として非難されるが、Google経営陣の場合はそれとは事情が異なる。彼らの株式売却は、はるか昔に決定されていた。彼らはあるスケジュールに沿って売却を進めているが、このスケジュールでは、特定の数の株式を一定の期間にわたって売却するよう予め調整されている。

「10b5-1」と呼ばれるこのプランを使えば、経営者は一定の間隔で自社株を売却し、それが株価の変動に対応したものには見えないようにすることができる。Google経営陣は2004年にこのプランを採用すると発表したが、BrinとPageが売却するのはそれぞれ全体の20%以下で、またSchmidtの場合は15%強だった。つまり、この売却プランの完了時点では、2人の創業者は当初の持ち株の80%以上を、Schmidtは85%弱を持ち続けることになる。1月9日時点でBrinはいまだに3240万株を直接/間接的に保有していたことから、株式公開時に保有していた株式の約17%を売却した計算になる。Pageの保有株式数も同時点で3290万株となっており、全体の14.5%を手放したことがわかる。さらに、Schmidtが直接/間接的、さらに有限パートナーシップや信託を通じて保有する株式数は1270万株で、全体の14.5%をすでに売却している。

 Googleの2人の創業者は、それぞれ1年に1ドルしかサラリーを受け取っていないが、同社の株価が急上昇したことで、米国で最も富裕な人々のリストの上位に名を連ねることになった。雑誌Forbesの推定では、BrinとPageの資産はそれぞれ110億ドル(2005年9月時点)で、同誌の長者番付で2人は第16位にランクインしていた。また、自分のサラリーをやはり1ドルにしたSchmidtは資産総額40億ドルで、52位に入っていた。なお、1位にランクインしたBill Gatesの資産総額は510億ドルだった。

 Googleの幹部らは、この件に関して以下の声明を発表しただけだった。「Googleが株式公開したのは1年以上前のことだが、その時に上級幹部全員が10b5-1プランに加入することを求められた。Eric、Larry、Sergeyの3人が行った株式売却は、いづれもこのプランの単なる結果だ。彼らは当初保有していたGoogle株式の大部分をいまだに持ち続けている」

 株式公開後に大手インターネット関連企業の幹部が株式売却で手にした金額を比べてみると、Google経営陣がこの17カ月間に手にした額が他社の幹部のそれをはるかに上回っていることがわかる。Thomson Financialによると、たとえばYahooを創業したJerry YangとDavid Filoは、1996年の株式公開後1年半にわたってまったく自社株を手放さなかったという。また同社の元CEO、Tim Koogleが売却した株式の数も30万株弱(1060万ドル相当)に過ぎなかった。

 eBayでは創業者のPierre Omidyarが170万株の自社株を売却し、2億7400万ドルを手にしている。また、同社CEOのMeg Whitmanは90万株を売却し、1億3700万ドルを手に入れた。一方、Amazon.com創業者のJeff Bezosはわずか18万株(2300万ドル)しか手放していない。

 しかし、Google経営陣がいまだに大量の自社株を持ち続けていることから、彼らの株式売却による悪影響の可能性は大幅に軽減されていると、コーポレートガバナンスの問題を研究するThe Corporate Libraryのシニアリサーチアソシエイト、Paul Hodgsonは述べている。

 「Googleの創業者が株式を売却することに異議を唱える者はいないと思う。彼らがすでにこれほど大量の自社株を持っているからだ」とHodgsonは述べ、さらに「彼らがGoogleに賭けていることはいまでも非常に明らかだ」と付け加えた。

特集

「ソーシャルメディアキャンペーン」の半数は失敗--アナリストが指摘する理由
多くの企業がソーシャルメディアキャンペーンを計画している。しかし、ガートナーによると、キャンペーンを始める理由が明確になっていなければ、失敗に終わることになるという。
人工知能による会話マーケティングの可能性
日産NOTEのウェブサイトがおもしろい。人工知能を用いて、ユーザーの質問にCMでおなじみのキャラが反応してくれる。裏側で実現しているのは、PtoPAが開発したソフトウェア「CAIWA」だ。同社はこれをウェブマーケティング分野でも活用しようとしている。

オピニオン

■インタビュー

Windows VistaにとってXPはライバルか?--マイクロソフト グローバルマーケティング担当Brad Brooks氏Windows VistaにとってXPはライバルか?--マイクロソフト グローバルマーケティング担当Brad Brooks氏
コンシューマー市場向けの取り組みを強化すると発表したマイクロソフト。日本におけるWindows VistaやWindows Media Centerの現状をどう見ているのか、コーポレートバイスプレジデントのブラッドブルックス氏に話を聞いた。
「iPodを日本で一番売りたい」--ビックカメラ有楽町店に聞く新iPodの魅力「iPodを日本で一番売りたい」--ビックカメラ有楽町店に聞く新iPodの魅力
発表後初の週末となった9月13日に、新iPodファミリーの店頭イベントを開催したビックカメラ有楽町店本館で、店長の石川勝芳氏に、iPodの販売状況と店内での取り組みについて伺った。

■コラム

進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能進化するユーザビリティテスト〜「ユーザー行動観察調査」の効果・効能
近年のウェブサイトリニューアルプロジェクトでは「ユーザビリティテスト」を実施することが当たり前になってきたようです。今回は、単なる「使いやすさ調査」を超えた「ユーザー行動観察調査」の効果・効能を紹介します。
“オトコの遊びゴコロ”をくすぐるロマンたっぷり「自動車ケータイ」“オトコの遊びゴコロ”をくすぐるロマンたっぷり「自動車ケータイ」
香港や中国のケータイショップでは、「おぉっ!こりゃかなりいける!」とワクワクしてしまう怪しいトンデモケータイに出会うことがある。そんな魅力あふれる製品の1つが、今回ご紹介するケータイである。
ソフトバンク株価の下落加速--iPhone一巡し資金繰りを懸念ソフトバンク株価の下落加速--iPhone一巡し資金繰りを懸念
日経平均が約4年10カ月ぶりに1万円の大台を割り込む中、ソフトバンクの株価が、全般相場の低迷にも増して下落が加速している。

企画特集

ネットと家電をつなぐチャレンジ「Life-X」
第一題:ライフログ・シェアリングサービス「Life-X」の第一印象は?
エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」エンタメCGM「gooメーカー☆メーカー」
【第2回】メーカー/占いのコンテンツを作ってみた!

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々I am Jamming!
外資系エグゼクティブの日々
クロサカタツヤの情報通信インサイトグッバイ、レバレッジ!(1)
クロサカタツヤの情報通信インサイト
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」9月イベントお知らせ
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
ケータイ時代のスタンダードiPhonista Nightの事後報告
ケータイ時代のスタンダード
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance新サービスをローンチしました
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance
鈴木健の天命反転生活日記パラレルワールドとしての電脳コイル
鈴木健の天命反転生活日記

読者ブロガー

インフラコンサルティングの最前線コンサル業界進化論〜悪評の原因を考える〜
インフラコンサルティングの最前線
WebClip - ウェブのニュースと Second Life (セカンドライフ)琴線に触れた発言集 - エンジニアの未来サミット
WebClip - ウェブのニュースと Second Life (セカンドライフ)
夢幻∞大のドリーミングメディア騒がれないと不安になる人たち
夢幻∞大のドリーミングメディア

リサーチ

■リサーチコラム

薬事法規制の厳しい健康食品に代わり、増え続ける化粧品メーカー
薬事法規制が厳しくなる今、特に規制が厳しい健康食品にかわって化粧品を販売しようとする企業が増えている。そこで、覚えておきたい化粧品と薬事法の関係について簡単にまとめた。
携帯電話の待ち受けに関する調査--最も利用される画面は「自分で撮影した写真」
携帯電話の待ち受け画面に関する調査を実施したところ、10・20代は飽きやすく待ち受け画面を頻繁に変更する傾向にあり、30・40代は季節感や臨場感を重視することが明らかとなった。
電子マネーによるライフスタイルの変化に関する調査--電子マネーコアユーザーは、高所得者層
電子マネーによるライフスタイルの変化に関する調査したところ、電子マネーを活用するのは高所得者層に多く見られた。また、1度に1万円以上チャージするユーザーは10%強であることも明らかになった。

■調査レポートダウンロード

金融不安の市場に、IR活動は何を頼るか!?
CMS未導入企業300社へのアンケート 担当者のホンネを徹底追求

■調査発表

【ゲームクリエイターの方へ】攻めの開発体制を敷くAQインタラクティブ社の中途採用・求人情報をレポート
Alibaba JAPAN、カー用品店に関する調査 カー用品専門店の認知、利用ともトップは「オートバックス」
調査結果「携帯OS『Android』認知度調査、6割が『知らない』 〜ユーザー期待のメーカーは?」

イベント情報

Microsoft Windows SharePoint Services 3.0によるチームサイトの構築
主催:グローバルナレッジネットワーク株式会社
Microsoft .NET入門
主催:グローバルナレッジネットワーク株式会社
Microsoft SQL Server 2005 インフラストラクチャの設計(#4612)
主催:グローバルナレッジネットワーク株式会社

CNET Japan セレクション

ココが変わった、新型「ニンテンドーDSi」--「ニンテンドーDS Lite」と比較
任天堂が11月1日に発売する新型ゲーム機「ニンテンドーDSi」はどんな点が新しいのか。既存のニンテンドーDS Liteと比較するとともに、新機能を紹介する。
フォトレポート:本体が分離するNTTドコモの「セパレートケータイ」の謎に迫る
NTTドコモは家電展示会「CEATEC JAPAN 2008」において、端末が2つに分離できる携帯電話「セパレートケータイ」を展示している。どのような仕組みなのか、何ができるのかを、写真で紹介する。
話題のスマートフォン、写真で見るBlackBerry Bold
RIM製スマートフォン「BlackBerry」の新モデル「BlackBerry Bold」を2008年度第4四半期にも発売すると発表したNTTドコモ。話題のBlackBerry Boldを写真で紹介する。
こんなものもありました--CEATECで見つけたオモシロ新技術たち
幕張メッセで開催されている展示会「CEATEC JAPAN 2008」では、幅広い分野の最新技術が一堂に会している。ここではその中でもユニークな新技術や展示を紹介する。
「iPhone 2.2」アップデートの概要が明らかに--App Storeのインターフェースなど変更
アップルは、新たな「iPhone 2.2」アップデートのリリースに向けて準備を進めている。Safariに加え、App Storeのインターフェース変更などが予定されている。
ケータイはまだまだ進化する--CEATECで見た未来の技術
幕張メッセで開催されているデジタル家電の展示会「CEATEC JAPAN 2008」では、携帯電話関連の新技術が数多く展示されている。その様子を写真で紹介する。

今日の見どころ

自動車の未来を垣間見る--2008年パリモーターショーのコンセプトカー

2008年度グッドデザイン賞が発表--環境を意識した新基準も

GMのハイブリッドカー「Chevrolet Volt」、パリモーターショーに登場

レビュー

今週の新製品総チェック:新PS3が登場!ニコンが発表した映像製品「UP」とは?
「東京ゲームショウ2008」が10月9日から開催され、新PS3やXboxの新作ゲームなど、ゲーム機の大型発表が相次
[レビュー]2011年画質を備えた高画質、多機能Blu-ray--ソニー「BDZ-X95」
ソニーのBlu-ray Discレコーダー新製品が登場した。2007年から引き継がれる「やりたいことから選ぶ」シリー
今週の新製品総チェック:よりモバイルPCとして進化した「Let's note」が登場
松下電器産業の「Let's note」、デルのデスクトップPCとPC新製品が数多く登場した。Let's noteは9時間駆動
今週の新製品総チェック:フルサイズCMOS搭載のキヤノン「EOS 5D Mark II」が登場
キヤノンからもフルサイズCMOSセンサを搭載した「EOS 5D Mark II」が登場した。合わせてコンパクトデジカメ

CNET_ID

メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。