下の<図表1>に、事業計画(特に数値データ)のデータフローをまとめました。こちらを見れば分かると思いますが、すべての数値データはリンクされていて、一点が変われば、すべてが姿を変えることになります。「すべてのデータがリンクしているのに、あれがあるのにこれがない…」という場合には、つじつまのあわない数値データになっている可能性があります。
また、図の黄色くなっている枠(重要指標、人員計画、投資計画)が変われば、一気にすべての数値データが変わっていく理屈になります。
例えば、ECサイトの運営をしている会社は、重要指標に会員の獲得数値や会員の獲得コストなどを使うケースがありますが、それが大幅にズレることで、すべての計画がずれ、資本政策にまでズレが生じるということにもつながります。
ここまでくると、もはや経営者の頭の中のイメージだけで構成できるものではありません。また、イメージだけでは、当然、外部への投資家に伝えることもできません。経営陣のイメージを数字に落とし込むことが重要なタスクであり、事業計画というものの存在は、単純なビジネスモデルをまとめた紙ではないということです。
下記は事業計画を確認する時にチェックする主なポイントの一例です。ぜひ自社の計画書類と照らし合わせて自問してみて下さい。
・重要指標があるか。もしあれば、その重要指標をコントロールするために営業活動や投資がなされているか。
・売り上げ、人員計画、コストをどんぶり勘定していないか。
・投資とコストをしっかり判別できているか。エクイティファイナンスと融資をしっかり使い分けて調達計画を立てているか。
・資産になるものとならないものを区別しているか。それがB/Sに計上されているか。
・資金繰り計画は入出金サイトを反映しているか。消費税や社会保険、他税金等は加味しているか。
・資本政策は将来にわたり計画されているか。新株を無用に発行していないか。資金繰りに反映されているか。資金調達分がB/Sにも反映されているか。
最後に、当社で事業計画のお手伝いをする際によく使うシートをご参照ください(※サンプルファイルの中身の数値データは仮想のペットグッズサイトをまとめたもので実在しない数値データです)。
ダウンロードファイル(1):「利益計画の算定シート」
ダウンロードファイル(2):「中期計画のシート」
会社の特性に応じて変動はしますが、非常に大きな労力をかけることになります。ただし、これをまとめることではじめて事業のスタートをできるという側面も持ち合わせているということを、ぜひご理解いただきたいと思います。
次回は資本政策についての実務ベースで何を勘案するべきかを中心にまとめたいと思います。
※本コラムは毎週金曜日(祝日を除く)に掲載します。
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