「増資」を単純に考えていませんか?--これが必須のチェック項目です - (page 2)

中村知子(未来予想パートナー)2007年11月02日 19時35分

新株の割当先決定後の処理

 無事に割当先が決定した場合には、割当先との間での諸々の必要書類を交わす必要があります。そこで必要となる資料や決議事項を順にまとめてみたいと思います。

手順1. 取締役会の議事録

  • (ア)新株の割当先の承認決議
  •  新株発行は既に承認決議していますので、その新株のうち、何株をどこに割り当てることにする、という決議を取りましょう。

【要チェック】
 割当先が先に決定している場合には、割当先と割当数と価格を含めて一式を株主総会で決議することも可能です。

手順2. 割当先との事務処理手続き

  • (ア)株式代金払込口座案内
  •  新株の代金をいつどこの口座に振り込んで下さい、という通知書類です。メールや電話で伝えるよりもこういうものは書類で形に残すことが重要です。
  • (イ)株式申込証
  •  新株の申込書になります。いくら振り込むのか、そして、その結果、資本金がどのように変動するのかについてあらかじめ申し込み書類をもらっておきましょう。
  • (ウ)配当金振込指定
  •  株主になるのですから、当然配当を支払うことが出てきます。その際に、どこの口座に配当金を振り込めばよいのかをあらかじめ割当先から取得しておきましょう。
  • (エ)投資契約書
  •  割当先の会社は、おそらく何らかの利害関係や事業提携を目的として、貴社へ出資をすることになります。先方から投資にあたっての契約をしたいということになると思います。雛形は各社各様ですが、一般的には報告義務を怠らないことや、実質的な経営支配者が会社を辞任する際には株式買取を努力すること・・・といった項目が記載されていることが多いです。

 一言で第三者割当増資を実施するといっても処理は非常に面倒なものです。つまり、お金がなくなりそうになってから資金調達活動を開始するのでは、到底間に合いません。通常は、資金繰り計画をたて、調達計画を綿密に計画して、増資計画時点の半年程度前から活動をするようにしていかないと、計画通りに調達活動を終えることはできません。みなさんの会社ではいかがでしょうか? この機会に、調達計画を見直してみましょう。

未来予想パートナー
中村知子

会計事務所での様々な業種の会計・税務コンサルティングの実務経験。その後、転職を機にIPOに向けた管理部門整備の経験を経て、現在、未来予想株式会社にてベンチャー・中小企業向けの経営企画・管理・財務部門のコンサルティングならびに実務支援の専門家として活動中。

未来予想の主なベンチャー支援向けサービス:「EIP型マネジメントASP Miraizβ(登録無料)」、資金調達支援サイト「資金調達.bz」(登録無料)

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