だから僕らは、経営者の道を選んだ(学生起業家討論:後編) - (page 2)

佐俣アンリ、文:田中誠2007年10月12日 12時00分

国内ベンチャーの未来

佐俣:日本全体の景気は上がっているものの、新興市場の状況は良くないという現実はあると思います。5年後、10年後を考えるとそれは危機とも取れますが、そのあたりは日本の将来を担う世代としてどう感じてますか?

喜洋洋:中国に帰った時に思ったのは、とにかくみんな勉強をしていることです。僕もかなり勉強していた自信はありましたが、ヤバイなと思うくらい勉強してました。このままだったら将来抜かされるなというのは、僕も相方も感じましたね。

 日本に住んでいると今のままでもいいやと思ってしまうところがありますが、発展途上国のモチベーションは日本とかなり違います。きめ細かさや気配りなどに関しては日本は世界一だと思うので、そういう良いところを活かして日本ももっと頑張るべきだと思います。

伊藤:僕は大丈夫だと思ってるんです。今日、こうやって話していてもみんな意識は高いし…。

 ただ、これを広める努力はしないといけないですよね。僕たち学生同士で話していても、意識の高い人はいるのに、そこから仲間を広げていくのが大変なんです。

 あと、僕が気になるのは、思いやりなどの心の問題ですね。日本のベンチャーが海外でやっていけるのか、という話に関しても、果たしてそういう思いやりの心を持ったような人がやっているのかという疑問はあります。

 親が子供を育てるような、先輩が後輩を育てるような環境、そして僕らが横のつながりを持って話し合えるような環境、そういうものを作ることが重要だと思います。経済的な面より、そういうことをしっかりする方が大事だと思います。

佐俣:社会的に感度が高くて頑張っている人ほど、最後は教育の問題を考えるんですよね。それはいい流れだなと思います。

伊藤:日本の経済がつぶれるつぶれると言っても、実際はつぶれないじゃないですか。たぶん、下の方の人の意識ってそんなに変わらないと思うんです。そういう意味でも横のつながりが強くなれば良くなると思います。中小企業の仲間で話し合えるようなシステムができれば日本は良くなると思いますよ。日本って世界で一番いい国だと思いますもん。

太田:僕自身のやりたいことっていうのは、僕がイメージできる人を何とかしてあげたいと思うところから始まるんですよ。「タダコピ」もまさにそのひとつで、たくさんの学生に情報を提供してあげたい、金銭的な負担を軽減させたいということなんですね。

 だから世界とか日本とかの枠はあまり意識したことはなくて、日本は好きですが依存もしてないという感じです。

 ただ、日本が不利だなと思うのはやはり英語に関してですね。中国にしても、みんな英語が話せるようになっていて、自分自身もホームステイに行ってこれはマズイなと思いました。英語という世界では標準化されている言語があるにもかかわらず、それを修得できていないというのは大きく出遅れていると思います。

「楽しく、そして世に問いたい」

佐俣:僕も語学の驚異はすごく感じてます。留学生はみんな日本語をうまく話すし、韓国の学生も3カ国語くらい話せますしね。

 ただ、僕はマクロ的にはポジティブに考えていて、それは今の学生が経営を楽しんでやっているからです。今の上場企業の社長さんって、何かに追われてるのかと思うくらいネガティブな印象ですよね。それは本当にどん底から這い上がってきたような人、マイナスな感情からスタートにしてる人が多いからかもしれない。

 でも、今の若い人は恵まれた世代で、楽しいからやってる。楽しんだ上で、もっと世に問いたいから経営をやってる。平和ボケと言われているけど、そういうポジティブな考えはいいと思いますね。

喜洋洋:それは確かにそうですね。発展途上国はお金持ちになりたいというような目標があって、それはシンプルなだけに強いです。でも、日本のように理念や夢から始められるのは、日本だからこそできる恵まれた環境で、良いことだと思います。

佐俣:そういう健全な事業欲があれば日本もまだまだいけるんじゃないかと思いますよ。強烈な渇望感はないんだけど、そういうステージにいる国って意外とない気もしますしね。

 では最後に、将来的にはどんな会社にしたいかをみなさんお聞かせください。

西嶋:私たちの会社名、モバキッズの由来はモバイルとキッズなんですが、キッズには子供心や遊び心を世界に発信していきたいという意味と、私たちがまだ学生で若いので、会社と共に大きくなっていきたいという意味が込められています。

 今あるモバイル、携帯電話というのは世の中をすごく便利にしていると思うんですが、便利にするだけでなく、そこに面白さやワクワクさを加味したものを当社が発信していきたい、作っていきたいなと思ってます。

 将来的には携帯のインフラの方に移っていくかもしれないし、携帯ではない違った形でやっていくかもしれません。いずれにしても世の中を幸せにするサービスや商品を生み出していきたいと思います。

伊藤:BeGood Japan は日本を良くする会社なので、それはこのまま続けていきたいと思います。あと、ルームシェアというのが今の日本には選択肢としてないんですよね。ですから、一人暮らしや実家通いと同じようにルームシェアがスタンダードになればいいなと思います。

喜洋洋:私たちは国同士の交流をもっと促進したいです。今は各国の事業が点になっていると思いますが、それが海外と結びつけばたくさん線が生まれると思います。そういうことをやっていきたいと思います。

太田:先ほども言いましたが、「不可能を可能にする」「たくさんの笑顔を創造する」を企業理念として掲げているので、この軸に乗っ取った上で自分たちのやりたいことを実現できる組織にしていきたいと思ってます。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]