仙台から新しいモバイルサービスを発信--K sound designの挑戦 - (page 2)

 こうしてスタートを切ったK sound designの初年度売上高は3000万円に達し、2年目には年率300%増となった。「2年目の売り上げは9200万円に上り、初の黒字達成となりました。しかし、ここからさらに成長していくには、新たな目標を掲げていく必要があります。これまで受託制作をやってきましたが、それだけでは高収益につながらない。これまでの経験で自社サービスを始めるだけの地力が備わってきました。そこで自社で企画を考え、開始したのがMooでした」

 Mooの企画段階でIPAの中小ITベンチャー支援事業に応募し、採択された。企画内容は、小泉氏が以前から携帯電話の使われ方に疑問を感じ、解決策を考えていく過程で誕生したものだった。

 「これまでモバイル業界に8年間身を置いてきて、携帯電話のネットサービスがPC向けの縮小版のようになっていることを切なく思っていました。携帯電話が持つ独自の良さを生かしたサービスができないか。そこで思いついたのが、携帯電話で撮影した動画を楽しむことでした」

 携帯電話のビデオ機能はまだまだ画質も使い勝手も良いとは言えない。しかし、メリットは場所を選ばず、気軽に使えるところ。そこに着目し、小泉氏は友達同士で気軽に動画を共有できるサービスを発案した。サービススタート時は完全招待制というクローズドの場を提供。会員が動画をアップロードすると、お互いにリンクしている会員にメールで知らせが届き、閲覧できるというシステムだ。動画にコメントを付けられるなど、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の要素を含んでいる。10月には招待制を廃止し、ユーザー数は一気に5倍となったという。

 「コンテンツを核としたコミュニティでは、似た好みを持つ人が集まります。こういったサイトは広告価値が高い。また、物販もしやすい環境です。今後は数十秒くらいで観られる動画の販売を考えています。好みが同じ友人同士で推薦しあったり、簡単に購入できたりするというシステムを構築していく予定です。これを来年、再来年の主幹事業に育てていきたいと考えています」

 宮城県では現在、県内のIT企業を支援する「みやぎe-ブランド確立支援事業」を行っている。K sound designはここでも支援を受け、10月13日には無料のモバイルゲームサイト「ゲームセンター輝」をオープンした。このサイトはK sound designのフラッシュ技術を示すためのショーケースとして位置付けられており、ここで使った技術を外販していく考えだ。

 「これはMooも同じで、モバイルSNSを始めたい会社にシステムをOEM提供していきたいと考えています」

 モバイルはインターネットにつながるためのツールでなく、現実で人とつながるツールだというのが小泉氏の持論。「モバイルがあればいつもとは違う楽しみ方ができる、モバイルが生活を変える--そんなサービスをこれからも提供していきたい」と小泉氏は熱く語る。仙台から全国に向けて、行政と共に「モバイルがあると楽しく歩ける町」を提供していくことが新たな挑戦だ。

K sound design 小泉氏(中央)と取締役の原亮氏(右)は小学校時代の同級生。大学を休学してインターンで参加している鈴木康之氏(左)は、宮城県から上京して1人で六本木オフィスに常駐している

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