金融サービスに取り組む価格最適化の教祖 - (page 2)

文:David Hornik 翻訳校正:株式会社アークコミュニケーションズ、谷口茜、國分真人2007年07月12日 08時00分

 それはよいアイデアだろうか?もちろん。ソフトウェアで利益率が10〜20%上がるのであれば、それはよいアイデアだ。市場は大きいか?巨大な市場だ。金融機関はもともとソフトウェアを売り込むにはとても厳しい相手だ。ただし、入り込む道が見つかればとてつもなく大きな顧客になる。そこで私は、人を見て投資判断をすることにした。私が出資したとき、Nomis Solutionsには4人の素晴らしい起業家がいた。別に他の優れた創業者3人を無視するわけではないが、もう1人の創業者であるRobert Phillips博士について詳しく話したい。

 Robert Phillips氏は、偉大な起業家の資質を最良のかたちで具現化している人物である。彼は起業を成功させ、損失を拒む(始終彼に会っていた頃、私は確信した。彼は魅力的な起業家であり、彼への支援は惜しまないが、決して雑学ゲーム向きの人材ではない)。Phillips氏はまた、これまで投資家に膨大な利益をもたらした「連続起業魔」でもある。Talus Solutionの創業者兼最高経営責任者(CEO)として、当時としては世界最大規模の価格最適化企業を立ち上げ、Manugisticsに何億ドルという金額で売却した。また、彼は価格最適化の教祖でもある。この分野に彼以上のエキスパートはいない。もし、飛行機で隣に座った男が自分よりずっと安い値段で航空券を買っていたことを知って腹が立ったら、Phillips氏を責めてもいいだろう。彼はかなり前に、航空業界に収益最適化ソリューションを導入したのだ。実際、彼は価格最適化の教科書を書き、スタンフォード大学とコロンビア大学のビジネススクールでそれを教えている。

 出資相手となる起業家として、Phillips氏ほどの人物は見つからないだろう。したがって、Phillips氏と共同創業者たちがNomis Solutionsという素晴らしい会社を設立したのも驚くことではない。顧客にはFord Motor Credit、HBoS、GE Consumer Finance、Washington Mutualなどの金融業界の大手がずらりと名を連ねている。そして、その成果も見事としか言いようがない。Nomis Solutionsのソフトウェアをインストールすることで、銀行は事業の利益率を10〜20%も向上させることができるのだ。数10億ドル規模のローンポートフォリオであれば、すぐに相当な額に達する。結果的に、Nomis Solutionsはきわめて厳しい市場に実にうまく入り込むことができた。

 私はPhillips氏の共同創業者の素晴らしい業績を無視するつもりはない。会社が市場のリーダーになるうえで優秀な従業員が大きな力となったことを過小評価するつもりも毛頭ない。それでも、Phillips氏が収益最適化の分野で世界の第一人者であることに変わりはない。価格最適化については、私は彼の勝ちに賭ける。つまり「結局は人」ということだ。

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