1996年の中頃に内定がでると、すぐさま内定者アルバイトをしました。アルバイトとして当時の営業マネージャーについたその日に、今月の受注目標持たされて「はい、よろしく!」と。「えっ?よろしくって何が?」と渡された商品は、人材のサービスで1枚ペラの紙でした。
その頃の求人募集の票は各社バラバラだったんです。セプテーニはそのフォーマットを統一化する変換サービスを持っていました。めちゃくちゃニッチなビジネスけれどね。当時のセプテーニにとっては凄く大事な収入源だったんですよ。その名も「求人票らくらくシステム」。
これをペラっと1枚、電話とペラ1で「よろしく!」ですよ。しかも僕学生ですからね。一方でバンドやっていたでしょ。テスト期間のときは、試験、試験、空いた時間に電話ボックスでテレアポ、夕方から出社みたいな。
昔からすかしていながら実は内面では、そんな自分が好きではなかったんです。望んでやっている反面、目指したい姿とは違うと常に思っていましたね。
そう思う中で、泥臭い事をやるということは成長していく上で、とても大事なことだと思いました。また、小さなベンチャー企業の中で、会社経営の現実を目の当たりにして、経営者の目線で、会社の本質を思考しましたからね。「会社とは何だ?」「ビジョンや企業文化って何だ?」「増収増益で成長するためのプロセスは何だ?」と。
自分の営業スタイルを確立してプレイヤーとして稼げるようになると、昔のすかした自分がまた出てくるわけですよ。大企業に首をつっこんだ時に感じた「人の敷いたレールを歩くのはつまらない」という思い。自己の成長という目標達成のためにやっているわけで、ある時点で目的を達成してしまうと飽きてしまうんですよ。
粗利で1億というのが最初の目標で、これを達成した時に空虚になってしまったんですね。求人システムもDMの発送代行のサービスも僕がつくったサービスではない。七村社長(現在は会長)に相談を持ちかけて、会社を辞めて自分で何かやるか、社内でやるかという選択の場になったんです。その時は、セプテーニとしても事業を変換する時期にさしかかっていましたから、僕の目的と会社の事業変換の時期がマッチした。これも巡り合わせですよね。
「ひねらん課」は僕が社内で新規事業をやろうと決めた1999年の4月に誕生しました。部下もおらず机とPC1台でスタートして、社長から「6カ月以内に何をするか決めろ!」というルールだけがありました。
「はてさて何をやろうか?何をすればいいのか」という本質を考えましたね。何十個も事業を考えて行くうちに、どうも自分のアイデアには軸がないことに気づきまして。何事も軸をもって、そこに肉付けをしなければいけない。さらに高い所に目標をおけないと、また自分が飽きてしまったらまずいなという思いもありました。
飽きない軸をつくろう。基準をつくろう。その基準を満たしたビジネスをやろうと。ふと、このセプテーニという会社の原点に立ち返りました。7人ではじめて7つグループ会社を作るということで会社として「7」という数字にこだわりがあるので、僕もそれに習い7つの基準をつくりました。以下がそれです。
1.自分がやりたいこと
2.会社としてやるべきこと
3.誇れる仕事であること
4.成長市場であること
5.儲かること
6.1番を目指せること
7.優秀な人材が集まる事業であること
これらの軸をフィルターにして、それまでに考えついた事業を濾過していくと、7つすべてを満たす事業が2つだけ残りました。その1つが「インターネット広告事業」。もう1つは「グルメコーヒー事業」だったんです。
どちらも素晴らしいので、迷いましたね。「どうしようか?」と思案する中、そこで自分が描ける経営計画のトップラインを計算してみました。インターネットは最低でも1000億いける。グルメコーヒーは100億から300億。なら1000億を目指そうということで「インターネット広告事業」に決めました。正直、インターネットと決めるまで、パソコンに触ったこともないんですけどね(笑)。このように方針を決めたのが、1999年の9月。ちょうど与えられた期限の最終月でした。
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