誰もが認める事業を自らの手で―サイボウズ創業者が示した世界を目指す者の条件(第3回: 高須賀宣) - (page 3)

--新たなビジネスを感じて米国に渡られましたが、不安などはありましたか?

 サイボウズで世界にいけないと自己分析した結果、米国は市場の立ち上がりが1年半も2年も早いと感じました。そして、ソフトウェアの世界のシェアのおよそ4割はアメリカが押さえている。となると、世界で一番になるためにはこの米国のシェアをまずは獲らないと話にならないんですよ。

 ならば、米国に行くしかない!−−。この思いだけです。

--言葉の壁に不安は感じませんでしたか?

 それはありましたが、自分にとってはあまり重要なことではありませんでした。なぜなら、やりたい仕事がそこにあるからです。行ったら行ったでどうにかなるだろうと思っていました。

--行ってみて実際どうですか?

 いやー、ものすごい大変ですよ(笑)でもそれは、生活するにあたってはということ。例えば、「Water」が通じないから一日何回「水!水!」って言っているんだろうと感じたりという意味においてです。

 しかし、ビジネスの現場では人種も文化も、言葉の壁さえ全く感じません。どれだけ面白いことを考えて、発言し、実行するか−−。それだけが評価の対象だと感じていますから、本当に面白いですよ。

--米国での高須賀さんのビジネスに対する反応はいかがですか?

 周りの反応は僕にとっては理想的ですね。リーディングエッジな方々とお会いしていますが、「これはすごい!」という意見と「何これ?何が凄いの?」という反応できっぱり二分しています。どちらかに偏るモデルはうまくいった試しがないので、二分するという点では、完璧なシチュエーションだと言えます。

 あと、サイボウズの創業者という肩書きは全く通じません。誰も知りませんからね。まさしくゼロスタートの状態ですから、本当にワクワクしますよ。

--お話を聞いていると、高須賀さんの原動力は「刺激」だと感じますが、人間同じ刺激を与え続けると慣れますよね。その辺りはどのように自分に刺激を与えているのでしょうか?

 僕にとっての一番の刺激は、周りが「できないだろう?」ということを実現する事ですね。松下で社内ベンチャー募集の際、サイボウズのビジネスモデルを出したときは「あー悪くないよね」という反応でした。だから辞めたわけです。

--それでは現在周囲の意見が二分している「LUNARR」について教えてください!

 もうすぐです!国内では10月2日に正式発表(インタビューは2007年7月に収録)しますよ。面白いマーケティングで面白い商品を世に送り出すべく、今、頑張っています。今回もそのマーケティングに関する打ち合わせで日本に帰ってきました。

--そろそろ時間になりましたので、皆様に聞いている定番の質問をさせて下さい。言わずもがなでしょうが、影響を受けた人物と本は?

 やはり、松下幸之助さんです。先ほども言いましたが、これまでもこれからも、自分の意思決定において、「彼ならどうするか?」が基本です。その松下幸之助さんの著書で一番好きなのが「指導者の条件」です。「商売心得帖」も好きですけどね。

--最後に今の日本の若い起業家の方々に一言。

 現在世界に通じる日本の企業は、第二次大戦後の高度経済成長期に伸びた企業ばかりで、その後出てきた企業ってないと思うんです。僕らの世代が頑張って、世界に通じるプロダクトやサービスで新しい「○○といえば日本の××」になれれば素晴らしいと思います。そのために僕もチャレンジしていますので、是非皆さんも楽しくチャレンジし続けて欲しいです。

Venture BEAT Project
こだまん(児玉 務)

1997年日本アイ・ビー・エム入社。ベンチャー企業との協業、インターネットプロバイダー市場のマーケティングを経て、2000年よりナスダック・ジャパンに出向し、関東のIT企業および関西地区を担当。帰任後は、IBM Venture Capital Groupの設立メンバーとして参画し、その後退職し米国へ留学。パブリックラジオ局(KPFA)での番組放送の経験を得て帰国後の現在は、「“声”で人々を元気にする」をモットーにラジオDJ、イベント司会、ポッドキャスティングの分野で活動中。「Venture BEAT Project」プランニングメンバー。好きな言葉は「アドベンチャー」。

ブログ:「Edokko in San Francisco 2007

趣味:タップダンス、ビリヤード、会話、旅、スペイン語

特技:アメリカンフットボール、陸上競技100m

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