すべての基本は期待に応えようとする誠実さ—“携帯放送連携”仕かけ人の素顔(第1回:大森洋三)

 「売る」ということがすごく苦手で、自分自身は本当の意味で営業マンではないと思っています──。インデックス・ホールディングス取締役の大森洋三氏は、意外にも取材冒頭でこう語りました。

 数々の新規ビジネス立ち上げや、携帯関連および放送業界に驚くほど幅広い人脈を持つ人物として、各方面から注目されている大森氏。ヤマハ時代の海外営業、サイバード時代の新規営業などにおいても、多大な実績を残してきました。

 そんな大森氏がなぜ、自身を営業マンではないと言い切るのか。また、今後の動向が注視されている“携帯放送連携”の仕かけ人としての素顔とは──。

 ビジネスのプロ「BEAT MASTER」の強さの条件と元気の素を探る本企画。第1回目にご登場いただく大森氏を読み解くキーワードは、「期待と誠実さ」です。

※こだまんが下のビデオで本企画の趣旨を説明いたします。

「日本!!ヤマハ!音楽!」

--大森さんは大学卒業後、ヤマハに10年勤めてからさまざまな会社を2〜3年周期で移っています。ここには何か戦略があったのでしょうか?まずはヤマハでの10年について教えて下さい!

大森氏 大森洋三(おおもり・ようぞう)氏:1986年日本楽器製造(現ヤマハ)入社後、海外事業を担当。ウェザーニューズにおいて、メディア事業拡大を実施。2003年サイバード入社。メディア戦略部部長を経て、インキュベーション室を統括。2005年インデックス入社。同年11月取締役に就任。2007年3月Zinga代表取締役社長就任(インデックス・ホールディングス取締役兼務)。趣味はヨットとフライフィッシング。

 ヤマハを受けたのは音楽が好きだったからです。当時は、ヤマハにとって大変厳しい時期でしたから文系採用されたのは僕を含む8人だけ。時には営業として、時には音楽教室のセンター長として幸運にもいい業績を出していたある時、海外に興味が湧いてきました。ちょうど会社の留学制度があったので、思い切ってメキシコのメキシコ自治国立大学へ留学しました。

 何故メキシコかって?

 ヤマハってメキシコで一番古い邦人企業なんですよ。だからメキシコへのパスがあったのでしょう。

 語学?

 当初はスペイン語はもちろん、英語もできませんでした。ですから、必死に勉強したわけです。

 しかし帰国後、スペイン語が話せるようになってから配属されたのが海外事業部。そして、任された地域が、今度はフランスとイタリアですよ。スペイン語を勉強してきたのに、なんで?って感じでしょ?僕もそう思いましたよ(笑)

 さらに、この部署ではミーティングはほとんど英語、朝読んでいる新聞はヘラルドトリビューンときました。会社が終わってから寝る前まで必死で英語を勉強しましたね。

 努力の甲斐あって、最終的には、イギリス以外のヨーロッパ諸国、アメリカ、アフリカ、中近東を任されるようになりました。音楽というのは万国共通だから、カバーすべきエリアも自ずと世界規模になるんです。

 途上国での新規市場開拓は、新しい街に着くとお昼頃にホテルにチェックイン。現地のイエローページのようなものが各部屋にあるでしょ。その電話帳で音楽に関係しそうな(家電店など)のページをビリッと破いたら、今度は片っ端から電話営業をするんです。「日本!!ヤマハ!音楽!」といいながら、とにかくお店に足を運んで、まずは笛やキーボードを置いてもらって、「必要なら連絡先に電話下さい」というようにね。

 アマゾンの奥地に1本7ドルの縦笛を売りに行ったこともありました。あれは楽しかったけどキツかった。

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