「ミクシィ頼み」からの脱却をはかるngi group、人気後退の理由とは

 ngi group株の人気が後退している。広告など先端分野のインターネット関連事業、ベンチャーキャピタル投資などのインベストメント事業を手掛ける東証マザーズの主力銘柄だ。

 今やソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手となったミクシィを育てた実績を持ち、常に東証マザーズ、大証ヘラクレス、ジャスダックの新興3市場の売買代金上位にランクインする人気銘柄でもある。特段の悪い材料が出たわけではないが、株価は下落基調が継続。21日の株価は年初来安値である12万1000円を更新した。

 なぜ、ngi group株はここまで売られてしまっているのか。

 ngi groupの2009年3月期業績は、連結売上高が前期比15.7%増の90億円、経常利益は同2.1%増の25億5000万円を計画する。2008年3月期まではインベストメント事業でのミクシィ株売却が収益を支えてきただけに、株式市場では今期の大幅な減益を見込んでいた。増益幅は小幅だが、株式市場の予測は大幅に上回る数字を示した。

 今期はインターネット関連事業で育成中のコンテンツマッチ広告のRSS広告社や、デジタル雑誌の富士山マガジンサービスなどが収益寄与してくる。また、グループ傘下に収めた名証セントレックス上場のフラクタリストも事業再編により、モバイルSEO(検索エンジン最適化)特化のビジネスモデルへと転換。成長が期待される状況となってきている。

 一方のインベストメント事業では国内有望ベンチャー企業への投資を継続する一方、中国やベトナムといったアジア市場へも進出している。現地企業への投資を手がけるほか、今後の経済急拡大局面へ向けた種まきを行っている。

 これまで同社の収益は「ミクシィ頼み」と揶揄されてきた。ngi groupの業績は今期以降、インターネット関連事業の成長とインベストメント事業の事業領域拡大により、そのミクシィ頼みの状況から脱却しつつある。

 そして最も市場の期待を集めているのは、NTTグループとのインターネット仮想空間事業での資本・業務提携だ。ngi group子会社の3Diは、ネット仮想空間のプラットフォーム開発を手掛ける。今後のインターネット業界のテーマの1つとして三次元化が注目される中、NTTグループでは次世代ネットワーク(NGN)の普及の起爆剤として3Diの技術に注目。ネット業界でのノウハウを持つngi groupと3社が組むことでNGN利用によるネット仮想空間普及に力を入れていく。NTTグループが認めた技術を持つ3Diの将来性も注目を集めている。

 5月30日には自社株買いの実施も発表。発行済み株式の1.19%に相当する1500株を3億円で取得するとしており、需給面でも同社株の見通しは良好なはずだった。

 株価の下落より株式市場が注目するのは売買人気の低迷だ。20日、ngi group株の売買高は、年初来初の5000株割れとなる4354株まで減少。ngi group株の出来高5000株割れは、2007年9月末以来のことだ。

 人気が後退しているのはngi group株だけはない。新興市場全般も売買が縮小傾向にある。新興3市場の売買代金は活況の目安である1000億円台を大きく下回り、500億円近辺が定着。ngi group株の売買高が5000株を割り込んだ20日は、ジャスダックの売買代金が年初来最低を更新し、新興3市場合計の売買代金も年初来最低となった。

 新興市場の主力銘柄であるngi groupのほか、ミクシィやネット広告と投資育成事業のサイバーエージェント、仮想商店街の楽天なども人気が後退している。これらの銘柄はいずれも実態面は好調。現在は厳しい状況が続いているが、これらの銘柄は新興市場に投資家の関心が向いた際に、真っ先に買われる傾向もある。新興市場の潮目を読む上でもngi group株の動向は注目されている。

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