ビットアイルの成長支える“内外の要因”

 都市型データセンターのビットアイルへの注目度が高まってきている。

 ネット社会を支えるインフラとしてのデータセンターの重要度が再認識されているほか、同社はその“生い立ち”の強みも発揮。7万円台で収れんしつつあった株価が上放れへ動き出している。

来期以降はキャパ大幅増

 3月12日に今7月期1月中間決算を発表。連結売上高は前年同期比38.8%増の31億8200万円、経常利益は同52.6%増の4億4900万円となった。

 通期では売上高72億9800万円(前期比40%増)、経常利益11億円(同44%増)を計画。通期計画と比較した進ちょく率は売上高で43.6%、経常利益40.8%と低いが、これは例年通り。収益が下期に偏る体質であり、前期も中間期までの進ちょく率は売上高で44%、経常利益は38.8%だった。

 主力のインターネットデータセンター事業がラック数の増加と単価の上昇の相乗効果で売り上げを伸ばしている。マネージドサービスもラインナップ強化とともに、内製化の効果で収益力を高めている。中間期までの実績は順調で、通期計画には上振れ期待も高まってきている。

 現状、第1〜第3センターのキャパシティは稼働率の上昇により、今期中にフル稼働の状態となる見通しにある。そこでビットアイルでは2008年秋の開設を目指して第4センターの建設に着手。2月には鹿島建設に建設を依頼すると決議したと発表している。

 同新センターが稼動する2009年7月期には、キャパシティが従来の2940から5500へ大幅に増加する見通し。連結業績は現在も高成長路線を快走しているが、来期以降、増席効果で成長加速が期待されている。

物件取得における有利

 インターネットサービスの多様化、高度化を背景にデータセンターの需要は増加傾向が続いている。ただ、株式公開するデータセンター各社には業績を悪化させている企業も少なくない。なかでビットアイルが現在も高成長を持続している背景には同社の発祥が関係している。

 ビットアイルの親会社は倉庫業、トランクルーム、不動産業などを手掛ける寺田倉庫(非上場)。ゆえにビットアイルは物件を取得しやすく、自社物件を活用した自前設備を保有していることが強みとなっている。ビットアイルはこれを活かし、データセンター事業で首都圏でのシェアを伸ばしている。

 足元では提携戦略も積極化。3月11日、韓国のeSlimとの業務提携を発表。eSlimは低価格サーバーとオンサイトサポートをセットで提供し、急成長しているベンチャー企業。「Yahoo!コリア」「SKコミュニケーションズ」など、多くの現地優良企業と取引がある。ビットアイルはeSlimサーバーの日本国内における総販売代理店として、協力して日本市場を開拓していくという。

 また、同17日には動画配信ソリューションを手掛ける連結子会社のテラス、ジャスダック上場のビック東海との3社で、業務提携を発表。ブロードバンド環境の急速な普及により、動画の作成、配信、共有サイトのソリューションへの需要が高まっている。開発資金供給、ビック東海の営業力活用などでテラスの事業活動を援助。開発部門をテラスに集中させることにより、ビットアイルはデータセンター事業に、より集中していく。

 来期は、2007年7月に発表したCSKホールディングスとの提携効果も本格化してくる見通しにある。第4データセンター稼動による効果が寄与するのも来期から。収益拡大への期待感は日を追って高まっている。材料面ではSaaS関連としても注目されている。現在の株価水準を割安と指摘するアナリストの声もあり、株式市場での注目度も今後、より高まっていきそうだ。

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