ネット業界の老舗、ネットイヤーが作り出す次の領域 - (page 2)

インタビュー:永井美智子(編集部)
文:坂本和弘
2006年10月16日 08時00分

--今後、ウェブ業界全体を見た場合、どういったところに注目されていますか。

佐々木:今まで企業は、自社のサイトやネット広告など自分のブランドや情報をコントロールできるメディアとだけ付き合っていけばよかった。しかし現在では、それらをコントロールできないメディア、たとえばインターネットなどを活用し、消費者が内容を作り上げていくCGM--参加者が互いに友人を紹介しあうコミュニティ型ウェブサイトやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など--に対応していかなければならない時期にきていると思います。

 他のメディアに依存してメッセージを発信していた時代から、自社がメディア化し、顧客に情報を発信していくようなスタイルが進んでいくのではないでしょうか。CGMを自社のサイトに取り込むのと同時に、その企業が持つビジョンや次に描いている戦略のステップを、ウェブを通じていかに顧客に伝えるかが鍵になるでしょう。後者の部分は企業でなければできない部分です。当社ではそういった環境の中で顧客と企業の接点を最適化するよう支援を続けていきます。

福田:今後は、いくらマス広告をうってもその商品が本当にいいものでなければ売れなくなっていく時代になっていく。逆に言えば、マス広告を打たなくてもいいものはネットによる口コミなど広がって売れていくという時代になっていくと思います。

--株式公開(IPO)についてはどう考えていますか。

佐々木:そうですね。視野には入れていますが、時期についてはなんとも言えません。やはり市場の動向によりけりです。上場は今後の戦略上の重要なステップだと考えていますので、なるべく早い時期にとは考えてはいるんですけどね。

--モバイルへの対応は。

佐々木:現在でも、auのオフィシャルモバイルサイトを作ったり、当社の顧客にモバイルサイトを構築したりしていますが、企業からのモバイルへのニーズも高くなってきていることを考慮し、いずれモバイル事業も専業化したいと思っています。今後お客様に対し、よりしっかり提供できるモバイル事業の仕組みが必要だと考えてはいるんですが、普通のウェブサイトと違いモバイルサイト制作はやや特殊なノウハウが必要になりますので、これからの業務を通して蓄積させていく必要はあると思います。

 このほか、新たな領域として、企業の顧客DB管理やコンテンツマネジメントシステムの開発、映像への対応などは課題となっています。

--ネットイヤーグループ全体が将来的に目指していく姿については、どのようなイメージを持っていますか。

佐々木:目指すのは、インタラクティブマーケティングのナンバー1企業ですね。ただ、ナンバー1を目指すということは、顧客数や会社の規模、売り上げだけではなく、質的にも「あそこは別格だね」といわれるようなブランドになるということです。なので、なんでもかんでも手を出すということではなく、ある程度市場を絞った事業展開を考えています。広告プロモーション領域に関しては将来的には入ると思いますが、いわゆる広告代理店のようなコミッションビジネスには手を出すつもりはありません。

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