自社開発のCMSでネット市場最高の利益率を目指すカフェグルーヴ - (page 2)

加藤さこ、永井美智子(編集部)2006年09月07日 08時00分

--シーエーシーの「kizasi.jp」とのコラボレーションで「シネマカフェBLOG BUZZ」というサービスを開始しましたね。

 これは、ブログ上で最も話題になっている映画をランキングで表示するものです。単なるブログでの登場数ではなく、登場数の急上昇度をもとにしています。たとえば、「『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジョニー・デップが来日している」というニュースが流れると、ブログに書き込まれる数が一気に上がるということがあります。ブログ登場数だけなら古い作品のほうが有利ですが、急にいろいろなブログで書かれるようになったトピックというのはそれだけ話題性が高いのではないかという発想です。

 実は現在、シネマカフェBLOG BUZZのプロフェッショナル版を開発しています。映画配給会社や金融業界向けに、より高度な分析機能を搭載した製品として、ASPで提供する予定です。このシステムを使うことで映画の買い付けや投資への検討材料ができ、マーケティングにも活用できます。

 映画は、「友達が観たから自分も観たい」というように、クチコミ効果が非常に重要です。そこで、当社では公開中の作品だけでなく、過去のすべての作品に対して、地上波での放送や、雑誌、新聞などでどのように取り上げられたかをトラッキングし、クチコミへの影響を分析しています。

--そういったツールは、これまでなかったのですか。

 過去の興行成績や観客動員数といった実績を使って映画がどの程度ヒットするかを予測する仕組みはありましたが、ここまでユーザーの行動履歴に基づいて統計学的に分析できるものはありませんでした。これまでは、何が原因で作品がヒットするかというのは、属人的な勘に基づく予測が中心だったんです。

 我々は映画の公式ページを年間で約200本ほど手がけているのですが、そのアクセス数などのデータを分析すると、ヒットする作品には同じような傾向があることをつかんでいます。ブログでの話題度を数値化することで、統計学的な予測ができるというわけです。

--ライバルとして見ているのはどのような会社ですか。

 ライバルはいないと思っています。映画情報を提供する企業をライバル視するよりも、どう共存共栄していくかを考えています。

 それよりも、映画とユーザーの接点を増やして、映画を見続ける人を減らさないことが大事です。1996年ごろまで劇場数は右肩下がりで、興行収入も落ちこんでいました。しかし、レンタルビデオが普及して、シネマコンプレックスが出てきたことで劇場に人が戻ってきました。今は劇場がどんどん新しくなるなど、追い風状態にあります。

--今後の展開は。

 アニメと邦画作品の情報は、海外にも提供したいと考えています。アニメはアジアと欧州、実写の邦画作品はアジアに出していきたいですね。

 基本的にはメディアを作るのが好きな会社なので、今後も新しいメディアを生み出していきたいと思っています。将来的には20サイトを作りたいと考えており、まずは年内に2サイト増やす予定です。誰もが「こんなメディアやっても儲からないでしょう」というようなメディアをつくる。「スーパーニッチリッチ」と我々は呼んでいるのですが、普通の人は会員になりたくてもなれないような、限られた人のためのサイトを計画しています。実現すればネット市場最高の利益率になると思います。

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