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CNET Japan Live 2016

顧客の本音を引き出すリサーチ手法「MROC」「cocoRoba」--リクルート坂本氏が解説

2016/03/25 09:00
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 便利だったり使いやすかったりする製品やサービスを作るには、テクノロジーに拘泥することなく、機能の取捨選択と適切なユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス(UI/UX)の設計が重要。しかし、開発者の考える機能やUXがユーザーにとって使いやすいかどうか、事前に判断することは難しい。そこでユーザーからの意見に耳を傾けるわけだが、本音はなかなか得られないものだ。

 ユーザーの本音を知ろうと実行するUXリサーチについて、リクルートテクノロジーズの坂本千映子氏は、「UXリサーチはユーザーの要望をその通り実現するための手法でない」と指摘し、その難しさを強調した。リサーチでは、声にならない声を聞き、ユーザー自身も気付いていない本音を見つけて問題解決へつなげることが必要という。つまり、本音の得られないリサーチ結果から実装した機能やUXは、ユーザーにとって必ずしも良いものではないそうだ。

UXリサーチはユーザーの要望をその通り実現するための手法でない、と指摘する坂本氏
UXリサーチはユーザーの要望をその通り実現するための手法でない、と指摘する坂本氏

 リクルートグループはどうやって本音を聞き出しているのだろうか。坂本氏は、2月18日に開催されたイベント「CNET Japan Live 2016 Winter Target 2020」の「リクルート式サービス開発 カスタマーの本音×人工知能」と題する講演で、本音を浮かび上がらせる調査手法「Marketing Research Online Community(MROC:エムロック)」と、MROCを構成要素とする人工知能(AI)ベースのマーケティング調査プラットフォーム「cocoRoba(ココロバ)」について解説した。

カスタマーの本音をすくい上げるcocoRoba

  • MROCとcocoRobaを解説

 坂本氏は、リクルートテクノロジーズのサービスデザイン1部マーケティングリサーチグループでグループマネジャーを務め、cocoRobaを着想してから開発、実用化まで率いてきた。カスタマーの本音をすくい上げる仕組みなどが評価され、2015年にリクルートグループのイノベーション賞などを受けている。

 その坂本氏は、「既存の選択式アンケートで本音をつかめない」と話す。例えば、選択式だと回答者の9割が「ちょうど良い」を選ぶような設問であっても、よくよく自由記述式で調べると不満を抱いている人が多い、といったことがあるらしい。つまり、既存方式の調査は、代表性、信頼性、常時性に課題が存在する。

 この3つの課題を解消する目的で構築したのが、cocoRobaである。cocoRobaは、大きく分けて以下の3つの要素で構成される。

(1)調査対象者の抽出:顧客タッチポイントとしてメール、ウェブサイト、アプリのプッシュ通知を利用し、リクルートグループの会員から調査対象者を集める。

(2)本音を引き出すMROC:長い期間オンラインコミュニティで進める自然な対話を通じ、意見を聞き、本音を拾い出す。

(3)膨大なデータをAIで分析:MROCでは大勢から膨大な会話文という非構造化データを集めるため、人間の手作業では分析に時間がかかりすぎてしまう。そこで、AIで構文解析する仕組みと、効率よく結果を表示するダッシュボードを開発した。

cocoRobaを構成する3つの要素
cocoRobaを構成する3つの要素

自然な会話文から本音を引き出すMROC

 カスタマーの本音をすくい上げるcocoRobaの中核は、オンラインコミュニティを活用する調査方法のMROC。調査対象となるカスタマーなどを数百人集め、オンラインのコミュニティ形式で数週間から数カ月間に渡って企業やリクルートの担当者が対話することで、意見をリアルタイムに深掘りしながら理解する手法のひとつとして用いられている。

 MROCのアプローチだと、なぜ本音が聞けるのか。その理由の1つは、自然な会話にあるという。選択式アンケートでは表現しきれない微妙な不満や要望も、ざっくばらんな文章なら吐露できるのだろう。

 また、調査が長く続くので、担当者と継続的な関係が築かれるうえ考えたり試用したりする時間がたっぷり確保され、自宅のようなリラックスした環境で意見を書けるため、本音を出しやすくなる効果もある。坂本氏の紹介した対話事例を見ると「今考えると……」といった投稿があり、MROCの“本音引き出し力”がよく分かった。

 さらに、オンラインコミュニティ環境で企業の担当者や調査の参加者が相互に作用し合う関係性も重要だそうだ。MROCのこの特性により、参加者同士でコメントをやり取りするうちに盛り上がり、つい本音が出てしまう。

cocoRobaの今後の展開

 cocoRobaの開発は2011年に開始し、リクルートグループ内での展開を可能にするための改修と自社会員を集客しやすくする機能を追加して2013年にグループ共通基盤化させた。そして、cocoRobaによるプロダクト開発リサーチを常時実施できる体制を整えるため、組織を立ち上げてブラッシュアップを施した。

 これまで、リクルートライフスタイルが展開するPOSレジアプリ 「Airレジ」で定常的に活用され、さらには利用している全国のクライアント先まで訪問して実施した”行動観察調査”なども同時に活用されてきた。現在は、リクルートの組織全体で活用できるよう準備を進めるのと並行し、現場に根付かせるためリクルート内の勉強会「メディアの学校」で取り上げている。

 カスタマーの本音を把握できるリサーチは、製品やサービスの質を向上させる可能性がある。何らかの調査が必要な状況ならば、このようなリサーチ手法を検討するのもひとつの方法だ。

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