スマホスリーブ型のワイヤレス充電器「Ampere」--Kickstarterで早々に目標達成

 外出先でスマートフォンの電池が切れてしまうと本当に不便な思いをすることになる。そうならないために、皆さんはどのような工夫をしているだろうか。おそらく多くの人は、充電器とケーブルを持ち歩き、電池が減ってきたら接続する。もしくは、アダプタとケーブルを持ち歩き、カフェなど電源がある場所を探すと思う。

 しかし、これでもまだ不便だ。充電器を持ち歩いていないと、電源にありつけなければ結局充電できない。それに、このケーブルという存在がやっかいだ。充電中に長さが余ってしまった分をどこかに収納しておかなければならないし、バッグに入れて持ち歩いていると、ほかの小物に絡まって取り出すのを邪魔したりする。

 そんな、外出先でのスマートフォンの充電問題を解決してくれそうなデバイスが、クラウドファンディングサイト「Kickstarter」に掲載され、現在資金を集めている。しかも、1月15日に目標調達金額6万ドルでキャンペーンをスタートさせたが、19日午前にはすでに約6万7000ドルにまで到達していた。

スマホケース 兼 充電器


「Ampere」のKickstarterキャンペーンページ

 「Ampere」は、一見落ち着いたデザインの大して変わり映えのしないスマートフォンケースに見えるが、実は世界初のスマートフォンスリーブ型のワイヤレス充電器である。革製のカバーが直方体型の充電器をつつみ、それに隣りあう空間にスマートフォンを差しこめば充電できる。

 充電するために、Ampereは「Qi technology」という技術を採用している。Ampere内のコイルから磁界を発生させ、スマートフォン内のコイルと共振させることで電力が発生する。開発するシンガポールのNovelsysによれば、「Nokia Lumia」「Nexus 5」「Nexus 6」に対応しており、サムスンとアップルの端末も、同社が提供するパッチを使えば利用可能とのこと。

 これを使えば、最大10時間までスマートフォンに電力を供給し続けることができる。「iPhone 6」なら2時間45分で、「Galaxy Note 4」なら2時間50分で、電池0%の状態から満充電できるそうだ。色は、黒・赤・茶にくわえ、Kickstarterキャンペーン限定で黒のカーボンファイバー素材のものも用意した。

 AmpereにはマイクロUSBポートが付いており、これを使ってAmpere本体を充電したり、もしくはスマートフォン以外の端末を充電できる。このUSBポートを使えば、従来のラップトップPCに付いているUSBポートの約4倍のスピードで充電できる。重さは160g、サイズは縦が5.2インチ、横が3インチ、厚さが0.6インチだ。


専用アプリで残りの充電量やバッテリ持続時間を確認する様子

 専用のアプリも用意されている。スマートフォンの充電を開始する時間を予約設定したり、Ampereとスマートフォンそれぞれの残りの充電量や、充電しなかった場合のバッテリ持続時間を確認できる。さらに、アプリからAmpereの居場所を知らせるアラーム音を鳴らせるので、誤って紛失したときにも見つけやすい。

 先述の通り、製造するNovelsysは現在、Kickstarterで資金を募っている。目標金額は6万ドル。資金は部品の製造と組み立てるラインの稼働に充てられる。市場に出回るときの希望小売価格は109ドル。Kickstarterの支援者には、割引価格79ドルで商品が届けられる。資金援助の締め切りは、2月14日までとなっている。

シンガポール国立大学を休学して開発

 Novelsysは非常に若いメンバーで構成されている。CEOのKenneth Lou氏を含む3人の共同創業者は、いずれもシンガポール国立大学に在籍する学生で、現在は1年間の休学をし、Ampereの事業に専念している。同校のインキュベーション事業NUS Enterpriseからの支援を受けており、すでに8万ドルの資金調達も経験してきた。


Novelsysの皆さん。左から2番目がCEOのKenneth Lou氏

 製品開発の動機についてKenneth氏は、「個人的に感じていた不満がきっかけ」と話す。「おそらく私と同じくアジアの多くの人がそう感じているように、スマートフォンのバッテリ持続時間はとても短い。にもかかわらず、従来の充電方法もしくは充電器などの機器は、重くて、面倒なものばかりだった」(同氏)。

 Kickstarterでのキャンペーン開始前に、すでに1600人からの事前告知リクエストがサイトに寄せられたことから、同氏はAmpereへの一定の需要があることを確信したという。キャンペーンでは20万ドル相当の事前オーダーを見込んでおり、現在並行して、Ampereの販売をしてくれる通信会社のリテールショップなどの店舗を探している。

 現在は、主に米国、シンガポールの市場向けに展開しているが、今後は東南アジアの周辺国にもビジネスの拡大を狙う。

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