この連載では、シンガポール在住のライターがアジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、アジアにおけるIT市場の今を伝える。
「Viscovery」は2011年に最初の拠点である台湾で公開されたSaaS型のヴィジュアル検索サービス。BtoBサービスのため、エンドユーザーは同社の顧客企業が提供するスマートフォンやタブレット端末向けのオウンドアプリの中でサービスを体験することになる。ヴィジュアルで検索するとはどういうことか。
カメラを搭載した端末でViscoveryを実装したアプリを起動すると、対象物をスキャンするためのカメラ機能が動作する。端末を対象物に向かってしばらくの間かざすと、アプリが対象物の画像を読み込み分析する。その分析結果とViscoveryのサーバにある情報とを照らし合わせることで、検索結果を表示するというものだ。
ユーザーと企業の利用用途はさまざまに考えられる。主にはオフライン to オンラインのEコマース。店頭の商品、もしくはテレビや雑誌などで紹介されている商品の映像や画像をアプリで読み込んだユーザーの端末に、その商品を紹介するウェブページやそのまま購入できるページを表示させることが考えられる。
イベントでも活用できるだろう。観光スポットや美術展などで名産品や作品などをアプリで読み込んだユーザーの端末に、それらを紹介する記事コンテンツのページを表示させたり、音声ガイダンスを再生させたりすることも可能。これならGoogle GlassやApple Watchなどのウェアラブル端末との相性もよさそうだ。
検索行動に関する情報はViscoveryもしくは顧客企業のサーバに蓄積することもできるため、そのデータを企業のデジタルマーケティングに活かすこともできるだろう。特にユーザーのオフラインにおける商品、テレビ番組やCM、新聞や雑誌広告などへの反応を確かめる貴重な手がかりになるかもしれない。
Viscovery はこれまで、台湾、日本、シンガポール、中国に拠点を置く累計で40以上の企業や団体に導入されてきた。顧客企業には、小売業ではドラッグストア大手のWatson、日系企業では空調総合メーカーのダイキンなど各産業の大手が名を連ねる。ユーザーによるスキャンの合計回数は200万回以上に及ぶ。
SaaS型とはいえカスタマイズする余地が大きいことから、企業が導入するにあたりかかる費用は目的や用途によってまちまち。同社は2014年、世界中の小売企業への拡販に注力してきたが、マーケティングを担当するChristina Lin氏は、将来的な展開としてBtoCサービスを開発する可能性も示唆した。
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