スマートフォンネイティブが見ている世界

ガチャだけではない--子どもがソーシャルゲームにハマる理由

 皆さんはスマホゲームを利用しているだろうか。セガゲームスセガネットワークスカンパニーの「アプリ利用実態調査」(2015年4月)によると、15~49歳のスマートフォン保有者の「ゲーム」アプリ利用率は61%と6割を超える。スマホの所持率が上がり、基本利用料無料で始められるスマホゲームにより、ユーザーの裾野が広がっている。これにより、若年齢層の多くがゲームにハマり、依存状態になったり高額課金したりするトラブルが起きているのだ。

 たとえば、多くのソーシャルゲームやスマホゲームでは、時間とともに体力が回復して、またゲームができるようになる仕組みがある。利用していない時もゲームが気になってしまう中毒性を高める仕掛けの1つだ。ソーシャルゲームやスマホゲームには、ユーザーがつい使い続けてしまう仕掛けがあふれている。

 2015年2月、群馬県の20代の男が、月額4~5万円の携帯ゲームの課金により百数十万円の借金を負うなどして生活苦に陥り、高齢者3人を相次いで殺傷し、金銭などを奪う強盗を繰り返していた事件が起きた。

 このような例は極端だが、ソーシャルゲームやスマホゲームにハマって課金してしまう若者は後を絶たない。なぜ若者たちはゲームにハマるのか。その心理を理解し、対策の参考としていこう。

損失回避と人間関係でハマる子どもたち

 高校1年男子A太郎は、ハマっているゲームの回復時間になると、学校でも机の下に隠れてやっている。「せっかくできるようになっているのに、やらないと損だから。もう体力が回復する時間は身体が覚えている」という。A太郎は、体力回復に合わせて、夜中でもタイマーをかけて一度起きてゲームをする。当然、学校では眠くて仕方がなく、居眠りすることもある。「回復したのにやらないと強くなれない。眠いけれど仕方がない」。

 中学1年女子B子は、これまでゲームには興味を持っていなかったが、スマホを持つようになってゲームを始めた。ある時、保護者に「スマホをいじっている時はいつもゲームをやっている」と指摘され、自分が暇さえあればゲームをしていることを自覚した。それほど面白いと思っているわけではなく、元々は付き合いで始めたものだ。

 「ゲームをやらないと浮いちゃうし、招待されたら拒めない。体力回復アイテムのおねだりもされるし。やりたいんじゃなくて付き合いだから」。付き合いといいつつ、B子も十分ゲームにハマっているようだ。毎日せっせと体力回復アイテムを友達に送ったりねだったりしている。

 人は損失を回避したい生き物だ。得られたはずのものが得られないことを嫌うこの心理は、多くのゲームで利用されている。A太郎のように体力回復時間に操られてゲームをしていることもその1つだろう。そのほか、たとえばガチャには、「期間限定」「今だけお得」のような煽り文句がつきものだ。毎日ログインすればプレゼントがもらえたり、曜日ごとに得られるモンスターが違ったりと、ログインさせ続ける仕組みも同様だ。A太郎はこの仕組みに完全にハマっているのだ。

 もう1つは、人間関係だろう。ソーシャルゲームには交流や協力によってお互いが得する仕組みがあることが多く、B子のように「友達が使っているから使う」という子もいる。エンターブレインの「SNSアプリユーザー行動心理レポート」(2012年4月)によると、ソーシャルゲームを続ける理由は、「モノを集めたい」が30.8%でトップだが、「人とつながりたい」(20.3%)が続く。そのほか、「人に勝ちたい」(18.9%)、「人に認められたい」(6.8%)、「人の役に立ちたい」(5.0%)など、人とのつながりが続ける理由の中で目立つのが特徴だ。

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