スマートフォンネイティブが見ている世界

スマホを取り上げると泣き叫ぶ子も--小学生にも広がるネット依存 - (page 2)

問題は社会生活や人間関係に影響があるかどうか

 成城墨岡クリニックの墨岡孝院長によると、同医院では一般的に使用されている「ヤングのネット依存尺度」を利用し、5項目以上該当する場合に“ネット依存”としている。その際、ネット依存とされたからといって治療が必要な状態というわけではなく、「制御不能」「社会生活(勉強・仕事)」「人間関係への悪影響」「禁断症状」の4点で問題が出た場合に治療が必要になるという。

 つまり、社会生活や人間関係に悪影響はないか、コントロール不能状態になっていないか、禁断症状は起きていないかどうかが重要なのだ。もし子どもにそのような傾向が見えるのであれば、すぐに手を打つ必要がある。ネット依存が進むと、視力低下、慢性疲労、不規則な食事による栄養失調、運動不足による肥満などにつながる。さらに進むと、遅刻、欠席が続き、不登校や退学、退職につながることもある。

 子どもがネット依存になってしまった場合はどうするか。子どもに、スマホやネットを利用し始めて得たものと失ったものを考えさせてみよう。そして、利用する前にやりたかったこと、好きだったこと、将来なりたいと思っていたことについて改めて考えさせよう。そうすることで、自分が利用しすぎている事実や問題を客観視できるようになる。アラームなどを使って利用時間を制限したり、利用時間に関する目標を立てたりすることも効果がある。ネット以外の時間の過ごし方を実践させよう。

 スマホもネットも魅力にあふれており、大人でもはまってしまう人は多い。子どもだけではコントロールが難しいものなので、特に低年齢のうちは自由に使わせるのはおすすめしない。一度利用し始めてからでは軌道修正が難しいので、持たせ始める時に「夜○時以降は利用しない」「夜間は端末は居間で充電する」「約束を破ったら保護者が3日間端末を預かる」などの利用のルールを決めるなど、大人が利用をコントロールする手助けをするといいだろう。

 小学校や中学校に行くと、「お母さんがスマホをいじっていて話を聞いてくれない」「私には使うなというのにお母さんはスマホばかりしている」という話をよく耳にする。保護者が子どもの利用に無関心な場合はもちろん、保護者自身がはまっていても、やはり子どもはネット依存になりやすくなる。子どもは保護者の端末との付き合い方をよく見ている。ぜひ、子どものお手本となるような使い方をしてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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