各パネラーの話の中から、クロスメディアが重要なことはわかった。だが、テレビCMが打てる大企業はごくわずかだ。その点をモデレーターの木暮氏が指摘し、費用対効果を考えるとサイトの規模によってどういうメディアを選ぶべきかを聞いた。
DeNAの守安氏は、最適なメディアは、サイトの特性やターゲットにする年齢層、獲得したい会員数に依存すると答えた。単純に獲得単価を抑えて開拓するには、リスクが少ないという利点からアフィリエイトを挙げたが、規模が出しにくいという弱点もあると語った。
会員獲得を月に何十万も集めるにはテレビを使わないと厳しい場合があるという守安氏の意見に、木暮氏はコストを回収できるか? という疑問を投げかけた。守安氏は自社の経験から、マス広告の効果によりユーザーが他のユーザーを集めてくれると述べながら、回収には時間が必要だと明かした。
次に木暮氏は、ユーザー数、紙媒体やPC広告などのクロスメディアはアクセス数を増やす際に効果的だが、一般サイトの広告単価は上がっていくのだろうかという疑問を述べた。そして、広告単価を上げるにはどうすれば良いかという質問を、リクルートの緑川氏に投げかけた。
緑川氏は、「上げなくてはいけない」と断言し、クロスメディアとしての広告価値が高まっていけば、モバイル広告の価値も高まると述べた。広告主である首都高速道路株式会社の事例では、「R25の広告を見てETCを付けたいと思うか」というリサーチを行ったところ、単独メディアでのプロモーションでは14%が、複数のメディアを利用した場合には45%がETCをつけたいと思うという結果が出た。
違うメディアに違う人のメッセージを掲載したため、浸透度は低くなったが、同じ視点でがっちり内容訴求することで購入喚起することができたという成功例だ。
昨今は広告単価が下がっていく状況だが、クロスメディアパッケージにすることで単価を上げることができると緑川氏は語った。R25モバイル式では、タイアップ広告での利益がほとんどを占めているという。
「購入喚起できれば価値は高まります。モバイルのようなメディアだと理解されにくいが、詳細を説明して効果を出せば、必ず理解は得られます」(緑川氏)
また、りーふねっとの岡氏に対して木暮氏は、携帯電話を活用してリアルのサービスにユーザーを集客する手法を訊ねた。携帯電話を口コミツールとして補完するにあたって、リアルタイムにアクションを起せるのが利点だが、それを生かすアイデアは何か?
その問いに対し、岡氏はクオリティが高いサイトはあっという間に広まると強調した。
「集客できるサイトとそうでないサイトの違いは、他社との差別化がはっきりしていること。差別化に成功しているりーふねっとの着メロサイトは、広告もアフィリエイトもないが、いまだにクライアントもユーザーも増えています」(岡氏)
パネルディスカッションの最後に、木暮氏が会場からの質問を募ったところ、「携帯電話は補完ツールと捉えられているが、一本立ちさせるには何が足りないか」という問いが挙がった。
それに対し、リクルートの緑川氏は、今回のパネルディスカッションでは補完ツールという言い方をしていたが、まだまだ一本立ちさせるには、携帯電話は弱いと答えた。まずは媒体の付加価値をあげ、モバイルはすごいと思わせなければ理解は得られない。今はクロスメディアでの強化が必要で、単価を上げてからモバイルで独り立ちさせることが重要だと述べた。これは紙媒体から新たなメディアを模索し、クロスメディアに至ったリクルートらしい、説得力のある意見だった。
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