ネット利用はケータイが中心になる--モバイルに賭ける起業家たちの未来予想 - (page 3)

 ディスカッション最後のテーマとして、モバイルサービスの進化の方向性がテーマとして取り上げられた。携帯電話はPCと融合する方向に行くのか、まったく違うものなのか、各パネラーは、どのような点に注目しているのか。深田氏が意見を求めた。

PCとケータイは主従関係が逆転する

 エフルートの佐藤氏は、携帯端末の普及によって、将来的にPCが不要になると考えていると述べた。

 「エフルートでは、ネットへの入り口は携帯端末になることを目指しています。今後、何ができるかを考えていきたい。10代、20代にうけるというのではなく、全ユーザー、もちろんPCを使っていないユーザーにもリーチできると確信しています」(佐藤氏)

 jig.jpの福野氏は、個人的にPCは大好きで使い続けると前置きしながら、携帯電話にはPCにない機能がたくさんあると強調した。

 「持ち運べる、カメラが付いている、できることがいっぱいあってワクワクするのが携帯電話の良さです。ワクワクするものを提供し続けるという点でいうと、PCはハードウェアの進化がないので面白くない。ただ、PCとあわせてアプリケーションを考えることにより、多様なサービスが開発できると思っています」(福野氏)

ロケーションバリュー代表取締役の砂川大氏ロケーションバリュー代表取締役の砂川大氏。位置情報をいかに価値に変えるかを考え続け「おてつだいネットワークス」というサービスを立ち上げた

 ロケーションバリューの砂川氏は、エフルートの佐藤氏の意見に対し、基本的にPCはなくならないが、主従関係が逆になる可能性は感じているとの持論を語った。

 「ユーザー数で見ても、携帯電話からネットを利用する人が多く、わざわざPCを起動してネットを利用する人は減っていく気がします。大衆向けサービスは、携帯端末向けのものになるだろうし、そこが成熟することが大事だと思っています」

 PCに対する意識調査を試みるため、深田氏が「PCユーザーのほうが特殊になっていくか」という質問を会場に投げかけた。その結果、特殊になると考えている参加者は全体の2割ほどだった。

 会場からは、最近は小学校でPCの授業がある一方、携帯電話については学習しないことから、5年以上経過すれば、PCと携帯電話のバランスは違うものになるのではないかという質問が挙がった。それに対し、エフルートの佐藤氏は次のように答えた。

 「携帯電話でできなくてPCでできることがある限りは、PCは強いと思います。携帯電話の限界として、PCに比べてアプリケーションの自由度が低いところが大きい。2010年のSIMロック解除が起爆剤となるかはわからないが、ユーザーの依存性が高まって携帯電話が使われるようになると思います」(佐藤氏)

 PCと携帯電話の主従関係については、携帯電話が主で、携帯電話でできないことをPCで行うようになるだろうというのが各パネラーの共通見解だった。

キャリアの公式コンテンツの意義とは

 また、キャリアの公式サイトになることの優位性や意義についての質問もあった。課金コンテンツなどで公式サイトを運営しているエフルートの佐藤氏は、「公式のコンテンツビジネスはキャリアの流れをうまく生かして事業を拡大できました」と話す。一方で、現在注力している検索エンジンは「キャリアが公式にやると思っていなかった」という。グーグルやヤフーが公式コンテンツとなったことで、モバイル検索市場の競争が激化したとの見解を示し、キャリアの動向がモバイルコンテンツ事業者に与える影響は大きいとした。

 jig.jpの福野氏は、アプリなどの開発環境がオープンになったことでビジネスチャンスが生まれたと指摘し、オープン化が進んで欲しいと話した。同時に、「モバイルアプリを主軸にしている企業が少ないのは残念。アプリケーションで先進的なものが少ない状況です」と話し、アプリにももっと競争が必要だとした。この点にはゆめみの深田氏も、「auのBREWは公式アプリでないと作れないため、提供できるサービスが狭まってしまう」と指摘し、オープン化を望んだ。

 また、ロケーションバリューの砂川氏は、GPSに対するキャリアの思惑が3社それぞれ異なる点を課題として指摘する。auが早くからGPS対応端末を多く提供していたのに対し、NTTドコモやソフトバンクモバイルの対応端末は依然として少ない。「事業戦略を組む上で、キャリアの思惑が反映されてしまうところが難しいです。GPSのような機能はユーザーが増えるほど価値が高まるネットワーク効果があります」と話し、サービスを開発する上ではインフラの普及が欠かせないとした。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]