サイト内検索最適化ポイントの2つめは、「検索」を行った訪問者が、欲しい商品にたどり着くまでのプロセスをできるだけ短くするためのサポートをすることである。すなわち、検索したキーワードの結果が膨大にあった際、絞り込みの条件を提示し、購入意欲が冷めないうちに商品ページにたどり着かせることで、コンバージョン改善につながると言うわけである。
では、検索絞り込みのウェブ解析データからどのような最適化策が考えられるのか、コマースサイトの例をご紹介しよう。
訪問者は、商品タイプによって検索を絞り込む条件が異なる傾向にある。そこで、検索結果ページに表示される各商品タイプの絞り込み検索カテゴリごとに、どの絞り込みカテゴリが購入コンバージョンに結びついたかを検証する。複数ある絞込みカテゴリの中で、最もコンバージョン率が高かったカテゴリを、検索結果ページの上位に表示させるという最適化を行うことで、カテゴリごとのコンバージョンを改善し、最終的に売上を向上させる言うわけである。
米国の大手コマースサイト、Overstock.comの検索結果をみてみよう。「コーヒーテーブル(Coffee Table)」「セーター(sweater)」「TV」とキーワード検索をしてみると、それぞれの検索結果で異なる絞込み条件が提示される。
コーヒーテーブルとセーターでは、ブランドによる絞り込みが3番目にくるのに対し、TVではブランドの前にスクリーンサイズでの絞り込み条件が提示される。また、セーターの絞り込み検索では、「本のタイプ」と「出版社」というユニークな絞り込みが提示される。この絞り込みカテゴリをクリックすると、編み物の本が結果表示されるのだが、おそらくこれもウェブ解析によるOverstockの訪問者の傾向を反映させたものだと言えるだろう。
それでは、具体的に弊社米国本社のクライアントである、コマースサイトA社が行った最適化事例をご紹介しよう。
A社は、日曜大工の商材を売る、いわゆるホームセンターの店舗を持つ会社で、店舗で取り扱わない幅広いセレクションをオンラインで販売している。
当時A社の検索結果ページは、「価格の高い順」にソートされた商品が並べられていた。これは、誰が決めたとも、いつからその設定であったのかは誰もわからず、かなり長い間価格の高い順がデフォルト設定であった。あるとき、検索結果のソートオプション別にコンバージョン率を検証してみたところ、「トップセラー」でソートした時が最もコンバージョン率が高いことに気がついた。そこでA社は、「トップセラー」のソートを検索結果ページのデフォルトで表示するよう最適化を行ったところ、変更後たった1週間で売上40%UPを達成することができた。
また、父の日は、A社にとってクリスマスの次に売上を見込める重要なシーズンであった。そこで、前年度のこのシーズンに検索されたサイト内検索キーワードを調べてみると、ハンマーや懐中電灯など、先シーズンに店舗で売れ行きのよかった父の日ギフトセットの中身が検索されていることがわかった。
そこで、その年の父の日シーズンに、ハンマーや懐中電灯といったキーワードで検索された場合、検索結果にギフトセットをオススメ商品として表示させたところ、よく売れ、商品単体で販売するよりも販売単価の高い商品にUPセルすることができた。
##今回で、5回連載の最終回を迎えた。限られた時間と紙面の中で、「企業でウェブ解析を活用されるビジネスパーソンが半歩先を見据えたマインドセットをお持ちいただける」ような、概念や組織論、具体的な事例など、できるだけポイントを絞り込んで、わかりやすくご説明できるよう努力をしてきたが、全ての読者の方々がフルに満足できる内容ではなかったかもしれないと、後ろ髪が引かれる思いもある。
本来、私の仕事は弊社のツールをご利用いただいた上で、コンサルティング契約をいただいた企業様が、ウェブ解析データを元にオンラインビジネスを最適化いただけるよう、直接サポートさせていただくのが主だが、時間に限りがあるため、直接お仕事をさせていただく機会にも限りがある。しかし、このように間接的にでも、多くのインターネットマーケティングに携わる方々に、私が毎日刺激的と思っているウェブ解析の有用性の片鱗をお伝えできることができたのであれば、幸いに思う。
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