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ウェブブランディングにおけるブランド認知
マスメディアを通じた従来の広告の最も大きな目的は認知度の向上である。有力なメディアは読者や視聴者の目に広く広告を触れさせることができる点に強みがある。こうして、もともとそのブランドに予備知識がなかった人からもブランド認知を得ることができる。
これに対して、ウェブブランディングではアクセスしてもらうための何らかのフックが必要となる。その仕組みを構築することによって、早い時期からイノベーター(新製品を最も早い段階で購入する人)やアーリーアダプター(新製品を早い段階で購入する人)の認知を得ることができる。
ブランド論における基本概念
ブランドの価値を議論するとき、そもそもそのブランドは認知されているのか、ということが最初の入り口となる。認知されていなければ好感の対象にも購買意向の対象にもならない。
一般に認知度と好感度は正比例する。また、好感度と購買意向も正比例の関係にある。
これらのことから、認知を得ることはブランディングの基本である。
【認知の前提は接触】
ところで、よく「あのブランドは知名度が高い」という言い方をする。しかしブランドのメッセージが何人に到達したかを知ることは個人的体験の範囲を超えている。実際には当人がそのブランドに関する情報に何度か接触したこと背景になっていることが多い。
とはいえ、これは認知の重要な側面を表している。認知の前提となる接触には、情報到達度(リーチ)という要素のほか、情報接触頻度(フリクエンシー)がある。
【認知するために必要な接触回数】
一般に、一回だけの情報接触で覚えてもらうことは難しい。しかも、接触回数と認知度は直線的な右上がりになるよりは、何回か繰り返すことで記憶の定着度が大幅に向上するといわれる。

よく、多くの人に記憶にとどめてもらうためには、最低3回は情報に接触しなければならないということを聞く。実際に超えるべき閾値(しきいち)は3回とは限らないが、一つの目安にはなると思う。
ウェブブランディングにおける方法論
果たしてウェブだけで製品認知は広がるか。
一般の人のメディア接触時間は圧倒的にテレビが長く、平均するとウェブサイトの5、6倍はあるのが実情である。大きな行動の流れとしてテレビや新聞、雑誌、メディアサイトなどのマスメディアがきっかけとなって企業ウェブサイトにアクセスすることはあるが、その逆の方向の流れはあまり想定しづらい。
このように、企業ウェブサイトには他メディア依存性があり、来訪してもらうためには他で作られたブランドが必要である。多くの人が「最初に知るのはウェブサイト」の時代が来るのはまだ先であり、ウェブサイトはまだプッシュできるメディアではない。
そこで、自社サイトへの来訪を促すような広告をマスメディアに出すクロスメディア戦略が登場するが、リーチは高いが費用も高いマスメディア広告の主目的を自社サイトへの誘導に据えるのは効率が悪い。マスメディアではウェブサイトの弱点である広くあまねくリーチして認知者を増やすことを中心とし、ウェブサイトは認知度を深めることを中心に組み立てた方が効果的である。
とはいえ、最近では新製品を発表してから発売するまでに最初のアクセスの山が訪れる傾向がある。そうなるようなウェブサイトでは、自社サイトに固定ユーザーを捕まえている場合が多い。ユーザーはフックになるブランドを基点にニュースリリースや検索、比較、クチコミによって製品知識を広げている。
したがって、新製品は発表したが、まだ発売前でマス広告を行っていない段階でも、先行してウェブサイト上の仕掛けを用意しておくことによって、情報感度の高いユーザーから認知の輪を広げていくことが次第にできるようになっている。
また、こうしたやり方が成果を上げられるかどうかは、普段から自社サイトのブランディングを積み重ねているかにかかっている。
榛沢 明浩
株式会社日本ブランド戦略研究所 代表取締役
東京大学法学部卒業。株式会社コーポレイトディレクションにて大手企業の事業戦略の立案を担当後、トーマツ・コンサルティンググループにて大手企業のM&A企業評価、経営管理システムの導入などを担当。2003年 株式会社日本ブランド戦略研究所 設立。
【主な著書】「図解ブランドマネジメント」(2001)東洋経済新報社、「知的資本とキャッシュフロー経営」(1999)生産性出版、日本公認会計士協会MCS中山基金賞受賞
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