[年始特集:2007]勝ち組負け組の格差広がるテレビ市場--SEDも「正念場の年」に

 2006年12月1日から地上デジタル放送が全国の都道府県庁所在地で視聴できるようになり、デジタル放送対応の薄型テレビの市場は急速に拡大しつつある。社団法人電子技術産業協会(JEITA)のデータによると、地上デジタル放送受信機器の2006年11月末までの累計出荷台数は1567万2000台となっている。

 地上デジタル放送受信機器は2003年12月の地上デジタル放送開始以来3年弱でついに1500万台を越え、薄型の大型テレビの価格も値ごろ感が出てきた。32V型のハイビジョン液晶テレビは、大手メーカーの製品でも12万〜15万円程度というのが一般的な価格となった。加えて格安テレビ専門のメーカーやプライベートブランドのメーカーは、さらに安価な製品を市場に出している。ただし地上デジタル放送に対応していても、BSデジタル放送には非対応のテレビが多く、大手メーカーの製品に比べ、画質面などでもやや見劣りがすることが多い。

 画素数1920×1080の37V型フルHD対応の液晶テレビは20万円台後半とまだまだ高額だ。しかし、フルHDでない、画素数1366×768のテレビであれば、37V型の大手メーカー製品の液晶テレビ、プラズマテレビともに20万円台前半と値ごろ感が出てきており、ネット通販などでは、さらに格安の製品も見受けられる。現在の大手量販店の売れ筋はこの37V型だという。

 その一方で、50V型以上の大画面テレビも売れ行きは好調で、このクラスの大型テレビはフルHD化が加速している。さらに2006年秋に発売された世界最大の松下電器の103V型のプラズマテレビは、実勢価格が560万円ほどだが、国内で7人の個人購入者がいるというから驚きだ。もっとも業務用では全世界で1000台以上が出荷されたというのだから、その割合はわずかではあるが。

 薄型テレビを事業的に見ると、松下電器産業やシャープ、ソニーが好調な一方、日立製作所やパイオニア、三菱電機などは苦戦を強いられている。同じく苦戦が続く日本ビクターを親会社の松下電器が売却を検討しているという話も伝わっており、テレビ業界にも再編の波が起こりそうな気配も漂う。

 さて、2007年のテレビ市場はどうなるのだろうか。まずサービス面では、2007年2月に松下電器やソニーなどが出資するテレビポータルサイト「アクトビラ」が開始される。このテレビポータルサイトに対応する薄型テレビの発売が各社から予定されており、テレビでインターネットサイトを見るというインフラが整う。放送と通信の融合の一端とも言える。しかし、このアクトビラについては、テレビメーカー主導の企画でもあり、メーカーサイドでは期待する声が多いものの、その他の業界からは、その効果に疑問視する声も多く、懐疑的な見方をする人も多い。

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