そのときまでには、Wii2が発売されるかもしれませんけれどね(笑)。
いずれにしても、出力フォーマットがHDに切り替わるのが決まっている以上、対応せざるを得ない。その頃にはゲームに限らず何かを作るということを考えたときに、HDは当然のようになっていて、さらにネットワークへの対応はこれまで以上に普通になっていることでしょう。
弊社の場合には、そのとき作っているゲームタイトルが、現在とまったく違っているということはないと思います。でも、何十時間分のボリュームを作らなければならないといった価値観は、変わっているはずです。
ドラマやバラエティ番組は、制作がスタートしたときに全部決まっている訳ではなくて、色々な反響を聞いて変えながら制作が行われています。ゲームも、ユーザーの楽しみ方や売れ行きを踏まえて、定期的に仕様の追加やイベントを起こすといったアクションを行っていくようになるのではないでしょうか
ユーザーの間で盛り上がっているムーブメントに、開発スタッフがノって話題を提供しつづけられたというのは、ネットワークのおかげです。
ウェブ上のさまざまなところで「アイドルマスター」が一人歩きをはじめて話題になり、ダウンロードコンテンツの売り上げが伸びていったからこそ、我々も継続してサービスを提供しつづけることができました。
パッケージだけでは、どんなにやり込む人もそうでない人も、同じ金額を一度払って終わってしまいますが、そのゲームを愛してくれる人たちが支持してくれれば――そのマスは小さくてもいいんです――継続してサービスをすることができる可能性が生まれる。この点は、大きなポイントだと思います。
「アイドルマスター」の場合には非常に熱心な人たちが支持してくれたおかげで、クリエイターたちも「ここまでやるか!?」といわれるくらい作り込みをすることができました。これはもう、ユーザーが直接「ナムコプロガンバレ!」と応援してくれているようなものです。こういう関係は美しいと思いますし、できればワールドワイドでこのような現象が起きるコンテンツを創っていきたいですね。
また、クリエイターたちもユーザーの反応をダイレクトに感じることで、少なからず影響を受けています。次回作の「アイドルマスター ライブフォーユー!」では、彼らなりの回答をお見せできると思います。期待していてください。
今の日本のゲームメーカーは、自分たちは何ができてどうあるべきか、結構ぐらついているように思います。
やはり日本のゲームメーカーである以上、日本ならではというか得意な部分に根付いているべきだと思っています。日本人が指揮をとって米国向けの作品を作るとしても、感覚や商慣習といった部分で限界があるでしょう。ましてや現地で開発会社を探して簡単に作れるほど甘くもないでしょう。
もちろん「鉄拳」のように日本で作っていても、海外市場を意識している作品はあります。でも、意識する必要はあるけれど、そこに向けて媚びようとか合わせようとかするのは、むしろしてはならないことだと思っています。
日本人がプロデューサーやディレクターとして指揮をとるのであれば、彼らが面白いと思って、なおかつ海外でも売れたいと思うものを作らなければ駄目でしょう。
弊社の場合には、自分たちの作品を世界中で売りたいから海外展開をするのであって、世界中で売るために作品の中身まで迎合する必要はないと思っています。
そのとおりです。
ただ、先ほどのお話と矛盾しますが、日本のパブリッシャーが今の日本市場向けのみの作品を作るのは難しいとも思っています。
一通りのフランチャイズを新世代機でやってみて、今期はその結果が出ます。おそらく、今年の年末商戦の結果で今後の流れが一通りできあがるのではないでしょうか。そして、来年以降は、それに合わせたタイトルが作れるかどうかが勝負になると思います。
基本的には拡散する方向だと思います。これはゲームに限らず、エンターテインメント全般がそういう方向に向かっている、いわば時代の流れというものでしょう。
最大視聴率50%のドラマや、みんなが必ず見に行く映画というのがなくなったのと同じように、みんなが持っていて同じハードで遊ぶというような、ある意味単一化されてたゲーム機は、残念ながら登場はしないでしょう。本当は、そういうプラットホームが一番効率がよいですし売り上げも見込めますから欲しいというのが、正直なところですけれどね(苦笑)。
その中でも、ある一定のボリュームがとれないものは消えて行くことになると思いますが、それは仕方がないことです。
ゲームとアニメは日本ならではの産業といわれた時期もありましたが、今では日本の優位性というものは完全に薄れました。
でも、ニンテンドーDSやWiiによるユーザー層の拡大や、インターネットを用いたサービスの多様化によって、もう一度日本がゲームの先進国といわれるようになれるかもしれないチャンスが来ていると思います。
映像という部分については、海外メーカーに日本のメーカーは後れをとっています。ですが、ゲーム性そのもので負けたかというと、絶対に違うと思います。ゲームの本質を作り込んでいって、なおかつディテールも作り込めるというのが日本企業の強みです。
電化製品や工芸品などで発揮される日本人ならではのこだわりは、ゲームにもあると思います。作り込んでいった先にあるディテールというのが日本人ならではの味です。その最たる任天堂タイトルが世界中で新規ユーザーを獲得しているということは、今後はそういう作り込みに対して評価してくれる人たちが、世界中に増えていくことを意味します。
多様化が進む市場の中で日本ならではの新しいタイトルを創出することができれば、それは結果的にワールドワイドに展開できる商材になれると思っています。
我々がアメ車を作っても仕方がない訳で(笑)、日本人は日本車を作るしかない。そして、それが本当によいものならば世界中に通用すると信じています。
アイドルマスター ライブフォーユー!
(C) 窪岡俊之 (C) 2003 - 2008 NBGI
PROJECT IM@S
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境